人間関係は年齢とともに整理するべき? <ひとり老後>で幸せを感じる“小さな法則”をナビ!


――ここからは、編集部に寄せられた“ひとり老後”にまつわるお悩みを、岸本さんにぶつけてこうと思います。

Q:老後に備え「2000万円の貯金が必要」と言われていましたが、果たして本当でしょうか。

「よく言われる“老後資金2000万円問題”ですね。結局必要な金額は、自分がいつまで働くか、いつまで生きるかによって変わりますよね。例えば、60歳まで働いて90歳で亡くなるとすると、残された時間は360カ月。自分が営んできた家計の規模が15万円だったら15×360=5400万円が必要で、“年金と貯金だけでは賄えないから、70歳まで働こう!”となると、必要な貯金額はそこでまた変わります。
『2000万円必要』と言われても、急に貯金が増えるわけではないので、決まった金額の中でやっていくしかない。前編でもお話しした『不安になったら調べる』がここでも必要で、“UR賃貸住宅や公営住宅なら安く入居できるのか、低所得者への優遇はあるか”など、細分化して調べておき、家計をいくらサイズダウンすれば暮らしていけるのか、その上でいくら足りないのかをはじき出し、備えることになると思います」

ソロ活後編
Q:人間関係は、年齢とともに整理するべき?

「若いうちから“減らしていかなきゃ”と深く考えず、その時、その時の付き合い方でいいのではないでしょうか。社交がものすごく楽しい時期であれば、連絡先もバンバン交換して、つながっていけばいい。“もう体力的に無理!”であれば、減らしていけばいい。
私自身は人生の残り時間を考える歳になり、ストレスになる人間関係はなるべく持たないようにしています。今は、一緒に楽しめる人との関係を大切にしたいから。
本の中で取材した男性は、“相談事がある時、『夜に会おう』と言う人は信用できない。『昼にしないか』と返して承諾すれば信用する”と話していました。それぞれ状況が違うので、一概に乱暴なことは言えませんが、試してみるのも一つの手かもしれません。
ただ、時間が人を変えていくことはあるし、その時々で関係性も変わりますよね。距離を詰めない一方で、“この人とは一生ダメ”とも決めつけず、時の流れに任せるゆとりも持っていたいですね」


Q:最後に、40~50代でソロ活を楽しんでいる読者へ、“ひとり老後”に向けたアドバイスをお願いします!

「まずは、“ソロ活を存分に楽しんでほしい”が大前提。そしてそれができるのは、“周囲の人々の支えがあるからなんだよ”ということを忘れずにいてほしいです。
例えばソロキャンプができるのも、キャンプ用品を配達してくれる人、キャンプ場で点検してくれる人がいるからこそ成り立つわけで、ソロ活を楽しむことができるのは、人のネットワークや働きによって支えられているのだということを念頭におく。そうすることで、老後も自分にできる、人に役に立つことが見つけられるような気がします。
前でもお話ししましたが、長くソロ社会で生きていくためには、コミュニケーション力がものすごく問われますから

40~50代は老後を気にし始める時期でもありますが、あまり準備にとらわれないでほしいですね。まずは後悔がないように、存分に楽しんでください。そして、目の前の一つひとつに全力を尽くすこと。筋トレに例えるとしたら、老後を見据えた基礎体力や筋力がつく時期でもある。今から鍛えておけば、きっと将来思いがけない事態に遭遇しても、解決できる力を発揮できると思います」

ソロ活後編
ひとり老後、賢く楽しむ」(だいわ文庫)

岸本葉子 プロフィール】
エッセイスト。1961年神奈川県生まれ。大学卒業後、会社勤務、中国留学を経て、執筆活動に入る。食や暮らしのスタイルの提案を含む生活エッセイや、旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。
著書に『ちょっと早めの老い支度』(オレンジページ)、『もっとスッキリ暮らしたい ためない心の整理術』(文春文庫)、『50歳になるって、あんがい、楽しい。』(だいわ文庫)、『人生後半、はじめまして』(中央公論新社)など多数。

(取材・文/ふくだとも)

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
x
x