長友佑都【5度目のW杯出場】を引き寄せた“驚異の回復力”の裏側 専属シェフが語る“食の力”

長友佑都【5度目のW杯出場】を引き寄せた“驚異の回復力”の裏側 専属シェフが語る“食の力”▲加藤超也シェフ

「2026 FIFAワールドカップ」で5度目のW杯出場を決めた長友佑都選手(39)。
レジェンドとして注目を集める長友選手は3月の試合中に足を痛め、「右ハムストリングス(太もも裏の筋肉)の肉離れ」と診断されたが、驚異の速さで回復。
その舞台裏に、専属シェフとして長友選手の信頼を得ている加藤超也氏の存在があったことはたしかだ。

その加藤シェフが、4月に「鶏が主役!超たんぱくめし」(主婦の友社)を出版。
本書では、「成長期の子どもになにを食べさせたらいいか」、健康体でいるためにタンパク質=鶏肉を食べることの重要性はわかっているが、「レシピバリエーションが同じで飽きる」と悩んでいる方に向けて、加藤シェフの経験と実績を伴った「鶏レシピ」計55品を掲載している。

「テレ東プラス」は加藤シェフを取材。長友選手を驚異のスピードでピッチへと復帰させた食の力とは? 未来のアスリートを育てる家庭料理から午後の眠気を防ぐランチ術まで、話を聞いた。

【動画】「腸活」の新常識!普段の食事で選ぶ時、一体何を食べるといいのか?

“食事はその人の可能性を広げてくれる”と信じています
――「スポーツを頑張るお子さんやサポートする親御さんに捧げたい一冊」とのことですが、書籍に至った経緯を教えてください。

「アスリート専属シェフとして活動するようになって10年になりますが、そこで培ったものをリアルに表現し、より多くのご家庭で再現していただきたいことが、今回の本に詰まっています。
主なターゲットは未来のアスリート、それをサポートする親御さんで、ぜひこの一冊で“食事の持つ役割”を知っていただきたい。家庭向けにアレンジしているため、実際にプロに提供している食事内容と異なる部分もありますが、手軽にアスリートの食の世界を体感していただける内容になっていると思います」

――将来アスリートを目指すのであれば、子どもの頃から正しい知識や意識を持った上で食事をすることが大切だと。昨今の親御さんの間では、もはやそれが常識に?

「そうですね。個人的にはこの10年で“食に対する意識”が変わってきたなと感じています。
実感として湧くのは、トッププロの選手や高校生または大学生選手の食事について“何を摂取したらいいのか”という問い合わせを多くいただいていること。食に対して興味関心が高まっているなと。

親御さんが食の情報を得た上でお子さんにアウトプットするという入り口もありますが、逆にお子さんが情報を得て“ケガをしない体づくりをしたい”と親御さんにお願いするケースもあります。どんな入り口でもいいのですが、アスリートだけにとどまらず、健康のために食がフォーカスされる世の中になるというのは非常に嬉しいです」

――本書では、長友選手が愛する「唐揚げ」のレシピはもちろん、鶏の内臓を使った料理も多く登場します。日々の生活の中で、こうした内臓の料理を摂ることのメリットは?

「栄養素の部分で言うと“鉄分が摂取できる”というのは、内臓系の料理の一番大きなメリット。鉄は酸素運搬能力の向上を図り、糖質・ 脂質のエネルギー代謝を助けるビタミン B 群が豊富で、スタミナの維持をサポートします。
鶏レバーは、激しい運動後の貧血予防につながりますし、鶏ハツは筋肉を動かすエネルギーをつくるビタミン B 群が凝縮されていて、バテにくい体をつくります。
今はスーパーでも普通にレバーやハツが手に入りますし、栄養素が豊富な内臓料理は美味しく簡単に作れるはずなのに、皆さんが手に取っている姿を見ることはあまりない。ここに課題解決の要素があるのではないかと思い、本書では、自宅で簡単に作れる内臓料理も多く掲載しています。苦手な人でも、調理法で美味しく食べられるということを知ってもらえたらいいですね」

長友佑都【5度目のW杯出場】を引き寄せた“驚異の回復力”の裏側 専属シェフが語る“食の力”▲鶏レバーやハツを使った「スタミナポモドーロ」


――子どもの頃から自分に必要な食事、栄養素を摂る生活を習慣づけておけば、日本のアスリートのレベルもさらに上がる、日本を代表する選手たちの底上げになっていくと言えそうです。「人生100年時代」と言われている今、日本人が健康で長生きするためにも。


「私は“食事はその人の可能性を広げてくれる”と信じています。長友選手の5度目のワールドカップ出場も、39歳という年齢で、常識的に見ると難しいと思われる人がそれを実現しているというのは、日々の努力はもちろんですが、この10年、しっかり食事と向き合って、本人がひたむきに自分の体のコンディショニングを怠らなかったからだと思います」

――長友選手のお話が出ましたが、加藤シェフが食事を管理する際、一番大切にしていることがあれば教えてください。

「食を通じてエネルギーを伝達する立場にいるので、私自身が常にいいマインドで、いいエネルギーを送り込むということでしょうか」

長友佑都【5度目のW杯出場】を引き寄せた“驚異の回復力”の裏側 専属シェフが語る“食の力”
――5度目のワールドカップ出場が決まった時、加藤シェフの胸中は?

「長友選手とは、本当に濃い時間を過ごさせていただいているので、とても感慨深かったです。自宅でメンバー発表を見ていましたが、名前が呼ばれた際は、いろいろな思いがこみ上げました。
私が10年続けてこられたのは、ひとえに長友選手の人間性が素晴らしいということ。ご家族の理解もあり、本当に素晴らしい環境で仕事をさせていただいているなと感じます。長友選手の現地での活躍が楽しみです」

糖質の乱高下を抑制すれば、自然と午後の眠気も解消される


――夏に向けて「体を絞りたい」という人も多いと思いますが、何かいいアドバイスはありますか。

「ダイエットの前に、必要な栄養が摂れていることが大前提です。ダイエットというと、極端に脂質を制限するなど目先のことに走りがちですが、それより前の段階で、タンパク質を十分摂れているかどうかを基準に置いていただきたい。
タンパク質は、代謝を上げる意味で非常に大切。代謝を上げるためには、自分の持っている筋肉を維持する、トレーニングをしている人はそのために必要なタンパク質を十分摂るということが最優先事項。
ダイエット中にお腹が空いたら『ゆで卵や煮卵』を食べる、タンパク質と同時に摂取するといいという意味では、本書にもありますが、『切り干し大根』や『ささみの和えもの』などを意識的に摂る。

食事にミネラルが豊富な『めかぶ』を組み合わせるのもおすすめです。水溶性の食物繊維は糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値スパイクを防ぎます。
またアスリートのケースでいうと、ミネラルを摂ることで、足のつり予防やけいれん予防という効果も期待できます。何かを抑えることだけでなく、ご自身のライフスタイルに合わせて、必要な栄養素を積極的に摂るということも、ぜひ考えていただきたいですね」

――ランチの後、急激に眠くなって「パフォーマンスが上がらない」と悩むビジネスパーソンも。食事で気をつけることはありますか。

「まず“セットメニューを食べないこと”でしょうか。よくあるラーメン、半チャーハンセットなどは、余分な糖質を摂りすぎてしまいます。
自分の活動に対して、処理能力以上の糖分を摂りすぎると、血糖値が一気に跳ね上がって眠気の原因になるので、ランチはラーメン一杯だけにしておくとか、適正な糖質量を意識しましょう。
あとは、意識的にベジタブルファーストを心がけること。サラダや野菜を食べるのが無理な状況であれば、食前に『めかぶ』のパックを1つ食べて食物繊維を摂取するのもおすすめです。
このような方法を取れば糖質の乱高下は抑制できるので、自然と午後の眠気も解消されます」

――加藤シェフのご経験の中で、“食の力”を感じた瞬間は?

「まさに、今回の長友選手の代表入りです。3月の試合で起きたハムストリングの肉離れは筋肉の断裂なので、断裂した周辺が炎症し、血液が滞って固まっている状態。
アジなどの『青魚』は血液の循環を促す効果が期待できる食材なので、より意識してメニューに取り入れるようにしました。

通常、たった2週間ではなかなか引かない炎症なのですが、MRIを撮ったところ、きれいに出血がなくなっていたことが分かりました。ワールドカップ本番に間に合うか難しいという可能性もあった中で、長友選手は多くの努力をし、結果、間に合わせることができたのです。
ご本人も『びっくりするぐらい早く治った』と言っていたので、改めて青魚の威力を実感しました。オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれてますし、青魚の重要性に関しては、10年の経験を持って自信を持って伝えています。ほんの0.1%かもしれませんが、食事の効果も結果につながったのかなと思っています」

――最後に、加藤シェフのように「アスリートを食でサポートしたい!」と考えている若い世代に向けてメッセージをお願いします。

「どんな仕事においてもそうですが、一番大切なのは人間性です。
長友選手とのお付き合いは、最初に私がダイレクトメッセージを送り、アポイントを取ったことから始まりましたが、“その時に抱いていた熱量を、今でも持ち続けているか”ということを、常に自分に問いかけています。
持続することは当たり前で、最初の情熱をどれだけ燃やし続けられるか…それこそが真のプロフェッショナルであると。そしてその姿勢を続けていけば、必ずそれは仕事にも人間力にも反映されると信じています。

私はサッカー選手でも日本代表でもありませんが、長友選手をサポートすることによって、同じ船に乗り、目標や夢を一緒に追うことができます。とてもやりがいがある仕事です。ただそれと同時に、忍耐力や精神力、ブレない自分も求められます。
長友選手と一緒に闘えることが何より嬉しいですし、それと同時にシェフとして、日本の未来のために食の付加価値を上げることが使命だと感じています」

記事画像▲「鶏が主役!超たんぱくめし」(主婦の友社)

【加藤超也 プロフィール】
1984年生まれ。株式会社Cuore所属。2016年からサッカー日本代表・長友佑都選手の専属シェフに就任。医学的エビデンス×機能性のある料理を追求し、多ジャンルのアスリートのサポート、食についての情報発信をしている。
2020年から無添加・化学調味料・保存料不使用のプレミアム・ポタージュ「THE POTAGE」をプロデュース。書籍監修に『長友佑都のファットアダプト食事法』(幻冬舎)、著書に『食べて脂肪が燃える魔法のレシピ』(幻冬舎)、『今日もお疲れさま!超回復めし』(主婦の友社)。

(取材・文/蓮池由美子)

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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