高校生と書道パフォーマンス!職人が作る“幻の墨”に大感動!:世界!ニッポン行きたい人応援団

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜夜8時54分 ※6月29日は夜8時)。

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書道パフォーマンス甲子園の強豪校へ


紹介するのは、フランス在住の「書道」を愛するジャンマルタンさん。

高校生と書道パフォーマンス!職人が作る“幻の墨”に大感動!:世界!ニッポン行きたい人応援団
“線の芸術”と評されるニッポンの書道。その作品は言葉の壁を超え、世界の名だたる美術館で美術品として展示収蔵されています。
フランスの国立機関で働く生物学者だったジャンマルタンさんは、15年前、日本人の友人に書道を教わり、虜に。以来、書道の本を読み漁り、独学で猛勉強。10年前に生物学者を辞め、現在は画家として、水彩画や墨絵に書を組み合わせた作品を制作しています。

6年前から書道教室の先生も務め、「フランスの人に書道の躍動感を伝えたい」と、独学で書道パフォーマンスの活動も。
「今は1人でやっていますが、大人数で書道パフォーマンスをやって、フランスでも書道の素晴らしさを多くの人に伝えたいんです」(ジャンマルタンさん)。
ニッポンで書道パフォーマンスを学びたいと願っています。

そんなジャンマルタンさんを、ニッポンにご招待! 念願の来日を果たしました。

向かったのは、県独自の「うどん県書道パフォーマンス大会」が開かれる、書道パフォーマンスの盛んな香川県高松市。100以上の高校で争われる「書道パフォーマンス甲子園」で3度の準優勝に輝く強豪校、香川県立高松西高等学校へ。
武道場で迎えてくださったのは、書道パフォーマンス甲子園の出場に向けて練習を重ねる書道部の皆さん。早速、パフォーマンスを見せていただきます。

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書道パフォーマンスは、約4×6mの巨大な紙に、音楽に合わせて力強く筆で文字を書き上げる総合芸術。8月の本戦出場に向け、皆さんが3か月かけて作り上げたパフォーマンスを特別に披露してくださいました。
ジャンマルタンさんは「涙が出そうなくらい圧倒されました」と感動。

すると、フランスからはるばるニッポンに来てくれたということで、皆さんから「一緒にパフォーマンスしてみませんか?」とお誘いが。4日後、発表会で披露することに。

案内されたのは、部室の書道教室。筆の後片付けを行いますが、なんと洗うのに1時間もかかるそう。パフォーマンスに使われる墨汁は、垂れないように粘り気が強くなっているため、しっかり洗い流さないと、筆が固まって使いにくくなるそう。

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皆さんが後片付けをしている間、ジャンマルタンさんは、顧問代理の福田実莉先生に普段どんな字を書いているのか披露。「道」の字を書くと「とても綺麗」と褒めていただきました。

今書いた字は柔らかい雰囲気でしたが、かたい表現、厳しい表現も書いてみることに。
お手本は、1500年以上前に中国の石窟内に刻まれた銘文「牛橛造像記」。その力強い文字は名筆といわれ、現代の書道においてもお手本にされています。
部長の小野栞奈さんによると、「古典の特徴や良さを理解すると、パフォーマンスにも活かせる」そう。

書道パフォーマンスの基本となる稽古は、昔の名筆をまねて書く「臨書」。
高松西高校では、1年生の間はパフォーマンスには参加せず、100以上ある古典を何度も写すことで、書道の基礎をみっちり学びます。
ジャンマルタンさんは「臨書は知っていましたが、その意味を理解していませんでした。ローマは1日にして成らずですね!」と納得。

そんなジャンマルタンさん、実は「夢」という漢字が好きなのですが、書くのは苦手。上が重く、バランスが悪くなってしまうのです。一方、小野さんが書くと調和がとれています。書道パフォーマンスの裏には、一文字一文字の確かな力があったのです。

翌日は、発表会で行うパフォーマンスの内容決め。去年メンバー全員で考え、作り上げた作品をベースに、ジャンマルタンさんの意見を加えていきます。
話し合いの結果、中央に大筆で「夢」を。装飾に竹の絵、その上にジャンマルタンさんが提案した「幽玄」をイメージした夜空のデザインをあしらうことに。

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昼食の後は、いよいよパフォーマンスの実践練習。2年生の久門葵さんが、大筆を使った「夢」の見本を見せてくださいました。しかし、ジャンマルタンさんが挑戦すると、お手本よりもバランスが悪い仕上がりに。

「書いている途中でバランスの悪さに気が付いたんですが、後半になるにつれ、修正が効かなくなってしまいました」(ジャンマルタンさん)。
机の上の書道とは違い、大書を書く際は、全体のバランスを俯瞰して見ることができないのです。

福田先生からは、半紙で練習をして字の造形を確認しておいてほしいとの指示が。文字のバランスを感覚に染み込ませることが大事なのです。

小野さんは、姿勢が高いことが気になったとアドバイス。書道パフォーマンスは文字のうまさだけでなく、書き姿も作品の要素。パフォーマンスする時は膝を使い、身体を上下させることで躍動感を表現します。

さらに、音楽に合わせて書くタイミングの練習も。ジャンマルタンさんは、まず夜空に「幽玄」の文字を書き、2曲目の盛り上がりに合わせ、作品の核となる「夢」の大書を書き上げます。その合間に、振り付けもこなさなくてはなりません。

練習を終え、「書のバランスや魅せ方、本番までに習得しなければいけないことはたくさんありますが、夢を叶えるための壁なので絶対に乗り越えます」とジャンマルタンさん。

明日から書道部はゴールデンウィークのお休み。果たして、本番までにパフォーマンスを習得することができるのでしょうか。

“幻の墨”を作る唯一の職人


この日、向かったのは大阪。ここでウェルカムサプライズ! ジャンマルタンさん憧れの書道家・永山玳潤さんにお会いできることに。
永山さんは、靖国神社、天岩戸神社での書の奉納、2016年JRA有馬記念の題字などで知られ、ドバイ・台湾・バンコクで作品が展示されるなど、世界でも高く評価されています。
永山さんの書をお手本にしてきたというジャンマルタンさんの想いを伝えたところ、快くご自宅に招待してくださいました。

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憧れの永山さんと対面し、握手を交わしたジャンマルタンさんは「最高です!」と感無量。最近仕上げたという「龍」の字も見せていただき、「未公開の作品を見られるなんて光栄です」と大興奮!
永山さんによると、字の形の8割は歴史的な書体から影響を受けており、2割はアレンジしたものだそう。「『書道』ですからね、歴史が大事だと思うんですよ」と話す永山さんに、「そこまで古典を大切にされているとは思いませんでした」と感動します。

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ここで、なんと「夢」の書き方を教えてくださることに。永山さんは、1か所に幅を作ることをアドバイス。すると重心が定まり、文字に命が宿るのです。
このアドバイスを踏まえて書くと、見違えるように生き生きとした「夢」に。

感謝を伝えるジャンマルタンさんに、「これからもフランスでどんどん頑張って活動していってください」と永山さん。最後に、永山さんが考案した特別な筆をプレゼントしてくださいました。

永山玳潤さん、本当にありがとうございました!

続いて向かったのは、和歌山県田辺市。フランスでは手に入らない、希少な松煙墨作りを見せていただきます。
古くからあるニッポンの墨は、油の煤から作られる油煙墨と、松の煤から作られる松煙墨の2種類。中でも、一から松煙墨を作る職人は国内に一人しかおらず、“幻の墨”ともいわれています。

幻の墨を作っているのは、墨職人歴36年の堀池雅夫さん。かつて紀州で盛んに行われていた墨の原料である松煙作りは、作業の過酷さや安価な墨の登場により、一度は途絶えたそう。そんな中、堀池さんは松煙作りの技を独自に復活。松煙から松煙墨を作る全国でも唯一の職人として、和歌山県名匠に認定されています。

墨の中で、最も長い歴史を持つ松煙墨。2000年前から変わらないという、煤と膠を使った幻の墨作りを見せていただくことに。

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まずは、松煙という松の煤を得るために朽ちた松を集めます。この朽ちた松を燃やして煤になるのは、松が分泌する松ヤニの中の成分。そして、この松ヤニが最も多く含まれているのが、朽ちても腐らない部分です。松ヤニには撥水や防虫の効果があるため、腐っていないことが多くの松ヤニを含むサインなのだそう。

続いて、小部屋が立ち並んだ建物へ。全面が金網で作られており、部屋の中に据えられた窯で松を燃やすと、煤が網につく仕組みです。
ある程度の量の煤がたまるために要するのは100時間。堀池さんは1日8時間、2週間かけ、たった1人で12部屋を行き来して松をくべ続けます。
約500kgの松を燃やして採取できる煤は、わずか10kg程度。江戸時代から昭和にかけては、障子で囲った部屋の中で松を燃やしていたそうで、火事が多かったとか。

ジャンマルタンさんは、金網から煤を落とす「煤取り」を体験。
天井の煤もすべて落としたら、集めた煤と、溶かした膠を混ぜ合わせます。膠と煤の割合は、堀池さんいわく職人の勘。その日の湿度や煤の粒子の大きさによって最適な膠の量は変わるため、触感を頼りに、過不足なく混ざった状態を見極めていきます。

ここからは時間との勝負。膠は常温でも固まってしまうため、ヒーターで温めた台の上で、手で練りながら生墨の中の空気を抜きます。しっかり練られていないと、乾燥させた時、ひび割れの原因に。

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空気が完全に抜けるように丸めて、木型に入る大きさに伸ばしたら、蓋をして押さえ、冷ますこと20分。木型から取り出すと、しっかりと固まった墨が!

続いてこの墨を灰の中に入れ、水分を徐々に抜く「灰乾燥」の工程へ。墨は急に乾燥させると割れてしまうため、水分をゆっくり吸ってくれる木の灰を使用します。

灰の中で1か月ほど乾燥させたら取り出し、半年から3年置いてようやく完成。
安価な墨が500円ほどなのに対し、堀池さんの松煙墨は約6000円。今回作った墨は、完成したらプレゼントしてくださるそう。

松煙墨で竹の絵を試し描きさせていただくと、「グッド!」と堀池さん。
ジャンマルタンさんによると、いつもは濃度の違う墨を使い分けるそうですが、自然な滲みで濃淡が出るため、その必要がなかったそう。

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松煙墨の最大の特徴はこの滲み。煤の粒子は、1粒1粒の大きさが異なるため和紙への浸透度合いも異なります。それが独特の滲みを生み、作品に趣を与えるのです。

「アーティストにとって、こうした宝のようなものを使って作品を作れるのは本当に名誉なことです」と伝えるジャンマルタンさんに、「これ(墨)を皆さんがこういう形(作品)にして初めて生きる」と返す堀池さん。
最後に、堀池さんが自ら描いた七福神の絵に、ジャンマルタンさんの名前を入れてプレゼントしてくださいました。

堀池さん、本当にありがとうございました!

続いて、墨と切り離すことができない硯について知るため、高知県三原村へ。
こちらで生産される土佐硯は6000万年前の石から作られ、使いやすさと品質の高さから実用的な硯「実用硯」として愛されています。

今回お世話になるのは「土佐硯加工製作所」。三原硯石加工生産組合の皆さんが出迎えてくださいました。
墨を磨るのは、硯の中の墨堂と呼ばれる部分。その表面には、鋒鋩という石の粒子が。
これがヤスリのような役割を果たし、墨を磨ることができるのです。
そして、この鋒鋩に土佐硯の特徴が。試しに墨を磨らせていただいたジャンマルタンさんは「こんなに墨おりの良い硯は初めて」と驚きます。

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墨おりとは、墨が磨れて墨液になること。通常は、速く磨ろうとすると、墨の粒子は荒くなってしまいますが、土佐硯は速く磨れる上に粒子が細かいそう。一般的な硯で同じ墨を磨り、違いを比較してみると、土佐硯の方が黒く艶があることがわかります。

そんな土佐硯がどのように作られるのか、教えていただくことに。
工房から車で20分、硯職人・中野正秋さんの案内で険しい山中を進むと、土佐硯の原石・黒色粘板岩が。形成されたのは、今から6000万年前だそう。
「上手く表現できないのですが、硬いのに柔らかくもある」とジャンマルタンさん。
硯は柔らかすぎると墨の硬さに負け、硬すぎると加工できません。長い年月をかけ、泥が蓄積してできた黒色粘板岩は、緻密な上に硬さと柔らかさを併せ持つ石なのです。

この原石の状態から、全て手作業で作られる土佐硯。まず、92歳の硯職人・榎順さんが大まかに石を削ります。そして職人歴40年の榎嘉彦さんが硯の形に仕上げる「ノミ彫り」を。最も彫りにくいのは、墨を溜める「池」の部分だそう。
ジャンマルタンさんも挑戦しますが、彫るのに苦戦。実は横方向には削りやすいのですが、縦方向に削ろうとすると石の目が邪魔をするのです。

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専用の突きノミの先端にはダイヤモンドの次に硬い鋼が使われており、柄の長さは職人が自分の体型に合わせて自作。柄に体を押し当て全体重を乗せることで、やっと縦の硬い目が削れるそう。教わったように体を使うと、削ることができました。

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その後も、嘉彦さんの指導のもと、削ること1時間。やっと硯の形に。砥石とヤスリで磨き上げれば、実用硯と名高い土佐硯が完成!
最後に、プレゼントにと作ってくださった硯をいただき、大感激のジャンマルタンさんでした。

三原硯石加工生産組合の皆さん、本当にありがとうございました!

3日間の集大成、書道パフォーマンスを披露


こうして迎えた書道パフォーマンス本番。ジャンマルタンさんは、「夢」の字の復習を。
この2日間、ホテルの部屋で自主練習をしたおかげで、皆さんに褒めていただきました。
もちろん、練習していたのは字だけではありません、スマートフォンで撮った映像を見て、パフォーマンスの復習もしていました。

本番はこの日の12時から。残り2時間でパフォーマンスの最終確認を行います。
復習していたおかげで流れは問題なさそうですが、字を書き出すと没頭してしまい、どうしても筆が速くなってしまいます。これでは、見ている人に「夢」という字の重みが伝わりません。

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そこで、部長の小野さんが、どうしても速書きしてしまうジャンマルタンさんのために、筆を大きく上げる力強い振り付けを追加。その後も、何度も振り付けの確認を繰り返します。

衣装に着替えたら、全体練習。通しで練習できるのはこの1回のみ。リハーサル用に書かれた下書きを見ながら、文字のバランスも確認します。
ジャンマルタンさんは、ゆっくりと「夢」の字を書いていきますが、書き終わってもまだ音楽が終わりません。本来なら、曲の終わりと同時に書き終えるはずなのに、30秒近く残ってしまいました。
曲はもちろん、みんなと息が合ってこそ美しいパフォーマンス。本番は、大丈夫なのでしょうか?

校内放送で、書道パフォーマンスを披露するお知らせが流れると、会場となる体育館前の広場に100人近い生徒さんたちが! 校長先生の姿も見えます。

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皆さんと円陣を組み、「やったるでー!」と気合を入れ、いよいよ本番。3日間の集大成を見せる時がやって来ました。

音楽がスタートし、ジャンマルタンさんが竹の装飾を描きます。そして、紙の上部に書かれた夜空の中に「幽玄」の字を。
「幽玄」を書き終えたら、小野さんと練習を重ねた「夢」の字。大きな夢を表現するために、力強くゆっくり筆を走らせます。
両脇を飾るのは、皆さんが想いを込めた書。ジャンマルタンさんは、永山さんに教わった通り、1か所に幅を作るように「夢」を書きます。

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曲の終わりと共に書き終え、「はっ!」と掛け声を。最後に自分の名前を書き、作品が掲げられると……今回の集大成とも言える見事な「夢」が。
パフォーマンスは大成功! 校長先生から「夢っていい言葉ですね、私も大好きです。西高生たちにとってもいい勉強になりました」と感想をいただきました。
1年生の部員・香川音弥さんも「心を一つにして大作ができることに、とても感動しました」と感想を。

この3日間、ジャンマルタンさんの活躍を見て、様々なお話をしてきたことで「これから色々頑張ろうかなって気になれました」と香川さん。ジャンマルタンさんは「困った時は時間なんて気にせず、いつでも連絡をください」と伝え、ハグを交わしました。

そして別れの時。書道部の皆さんから、お土産と似顔絵が描かれた寄せ書きのプレゼントが。ジャンマルタンさんは「皆さんの思いやりと優しさを大切にし続けてください。そして、今日私の夢が叶ったように皆さんもきっと夢を叶えてください」と、色紙と共にメッセージを送りました。

高松西高校書道部の皆さん、本当にありがとうございました!

帰国を前に、ジャンマルタンさんは「全てが想像をはるかに超える体験でした。この気持ちを伝える言葉が見つからなくて……いつかニッポンに戻ってきます!」と語ってくれました。

ジャンマルタンさん、またの来日をお待ちしています!

月曜夜8時からは「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!

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