<開かずの金庫>の舞台裏!“無敵の鍵職人”玉置恭一のポリシー「壊して開けるなら誰でもできる」:所さんのそこんトコロ


「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(毎週金曜夜8時)。

人気企画「開かずの金庫を開けろ!」で、数々の難攻不落の金庫に挑んできた“無敵の鍵職人”玉置恭一さんを直撃。知られざる金庫開錠の舞台裏から、防犯のプロだからこそ伝えたい家庭での防犯対策まで、たっぷり聞いた。

【動画】「開かずの金庫」にお宝が!?「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」

「壊して開けるだけなら誰でもできる」“無敵の鍵職人”のポリシー


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——鍵・金庫のスペシャリスト、防犯アドバイザーとして活躍する玉置さん。今の仕事を始めたきっかけを教えてください。

「22歳の時、勤めていた会社がなくなって、新しい仕事を探していました。
求人誌を見ていたら『鍵のサービススタッフ募集』という求人がたまたま目に留まって。『面白そうやな』と思い、応募したのがきっかけです。

それまで鍵を開けたことはなかったのですが、前の仕事ではプレジャーボートの整備をしていたので、工具を使ったり、機械を触ったりすることには慣れていました。
練習を重ねて現場に出るようになり、いろいろな経験を積み、今では後進の育成や技術を統括する立場になりました」

——鍵職人という仕事の魅力は、どんなところにありますか?

「困っているお客様の力になれることです。
鍵職人は、『家に入れない』『何かが開かない』といった時に呼ばれる仕事。直接、人の役に立てることが、この仕事の一番のやりがいだと思います」

——確かに、鍵が開かない時って、本人にとってはかなり切実な状況ですよね。

「そうなんです。だから、開いた瞬間に喜んでいただけると、こちらもうれしいです」

——鍵を開けるためのトレーニングは、普段からされているのでしょうか。

「鍵職人になるには、ものすごく練習が必要です。特に、ピッキングのように鍵穴を触って開ける技術は、とにかく練習を重ねるしかない。僕自身も、腕が鈍らないように今でもトレーニングしています。
一方で、古い金庫を開けるには、練習だけではなく経験も必要です。開けた後に中の構造を見て、『こういう仕組みだったのか』と覚えていく。その積み重ねが、自分の知識になっていきます。

普通に鍵職人として現場を回っていても、100年前の金庫に出会うことはそうありません。僕はこの番組でかなりの経験を積ませていただき、知識や技術をアップデートし続けています」

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——番組では金庫を開けるイメージが強いですが、実際のお仕事では、玄関の鍵などを開けることが多いのでしょうか。

「住宅の玄関や窓の鍵を開けたり、修理したりする仕事が中心ですが、金庫を開けてほしいというご依頼もあります。
今は後進を育てる立場なので、僕が現場に出ることはほとんどありませんが、『他の業者では開かなかったから、どうしても玉置さんに来てほしい』と、ご指名で依頼が入ることが稀にあります。
他の業者から『壊さないと開けられない』と言われた方が、『玉置さんなら壊さずに開けられるかもしれない』と呼んでくださることもあります」

——番組でも、なるべく金庫を壊さずに開けることを大切にされていますよね。

「『開かずの金庫』には明治や大正時代のものも多くあり、ご家族に受け継がれてきた歴史を知る大事な手がかりです。
壊して開けるだけなら、特殊な工具さえあれば僕じゃなくてもできる。僕はできる限り傷つけずに開けることにこだわっています」

——なるほど。単純に「開けばいい」ということではないんですね。

「そうですね。金庫そのものにも歴史がありますから。できるだけ元の状態を残して開けたいと思っています」

——番組で金庫を開ける時、特に大変なことは何ですか?

「一番は、『僕が開けないと、このコーナーが成立しない』というプレッシャーです。
撮影スタッフや金庫の持ち主のみなさんが、『もちろん開くんですよね?』という目で見ているわけじゃないですか(笑)。そのプレッシャーとの戦いが一番大きいです」

——テレビで見ている側は「玉置さんなら絶対開けるだろう」と思ってしまいますが、ご本人には相当なプレッシャーがあるんですね。

「そうなんですよ。
ありがたいことに、番組への出演を続けるうちに『玉置さんに開けられないなら、誰も開けられないだろうな』と思ってくださる方も増えてきて。ここ数年は、『自分が開けられないなら、誰も開けられない』と思って挑めるようになりました。古い金庫に限れば、知識や技術は自分が日本一だと自負しています」

——開錠に何時間もかかることもありますよね。長時間にわたる作業は、体力的にも大変ではないですか?

「僕はやり始めると集中しちゃう方なので、作業中は全然苦じゃないんですよ。何時間かかっても休憩はいらないし、ご飯も食べない。
ただ、次の日になって『なんで首が筋肉痛なんやろ? 手もえらい痛いな…』と思ったら、金庫のせいだった、ということはよくあります(笑)。

長時間かかった末に開いた瞬間は、達成感というより安堵の方が大きいです。
その日に開かなければ、後日あらためて開けに来なければならず、撮影スケジュールを組み直さなければならない。開いた瞬間は、僕よりスタッフさんの方がホッとしているかもしれないですね」

「100年以上前のものが目の前に現れる」金庫開錠のロマン


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——これまで開けてきた中で、一番印象に残っている金庫は?

「6年ほど前に、アメリカで開けた『スクエア・キャノンボール』です。伝説の大泥棒、ジェシー・ジェームズから財宝を守るために作られたとされる金庫で、開錠には2日間かかりました。
※当時の記事

巨大で、ものすごく頑丈な金庫でした。昔、ダイナマイトで金庫を破壊する強盗がいたことから、そうした手口への対策まで施されていて。見たことのない金庫だったので、普段の経験や知識をそのまま使えなかったのが難しかったです。

日本からも道具を少し持って行きましたが、飛行機に乗せられるものには限りがあります。2カ月ほどの間に3回ほどアメリカへ行き、国内でも移動していたので、最後の方は入国する時に怪しまれていました(笑)。それだけ苦労もしたので、達成感も大きかったです」

——「開かずの金庫」といえば、中から出てくる“お宝”も楽しみです。これまでで特に驚いたものは?

「小判が何枚かまとまって出てきた時は、『これこそ、みんなが求めていたお宝だ!』と思いました。最近は金の価値も上がっているので、昔の値札が付いたままの金のネックレスが、何倍もの価値になっていたりして。
金銀財宝でなくても、江戸時代の書物など、昔のものを見られるだけでワクワクします。100年以上前のものが、金庫を開けたことで目の前に現れる……ロマンがありますよね。

キャッシュレス化もどんどん進んで、現金や貴重品を家庭の金庫にしまっておくこと自体が減っています。
今は、先代から受け継いだ金庫を開けてほしいという依頼も多いですが、これから先は、そもそも金庫を持つ家庭が少なくなっていく。そうなれば、『開かずの金庫』も減っていくと思います。今こうして開けさせていただけること自体が、ありがたいです」

——防犯アドバイザーとしても活動している玉置さん。防犯のプロとして、家庭でまず意識してほしいことは何ですか?

「本当に基本的なことですが、とにかく鍵を閉めてください。
すぐそこにゴミを捨てに行くだけだからと、鍵を開けたまま出る方もいまだに多い。でも、今はもうそういう時代じゃないです。
昔の空き巣は家主と出くわしたら逃げることが多かったですが、今は人がいると分かった上で押し入ってくるケースもあります。『ちょっとだけだから大丈夫』『2階だから窓を開けて寝ても大丈夫』という意識は、本当に危ないです。
まずは、無施錠の状態を作らないこと。そして、侵入を試みられたとしても、入るまでの時間を稼いで諦めさせることが大事。鍵を閉めることが、防犯の第一歩です」

——鍵職人として、これから目指していることを教えてください。

「これまでの鍵業界で蓄積してきた実績や知見をを評価していただき、2022年にダスキンからお声がけいただきました。現在は新規事業である鍵の駆けつけサービス『ダスキンレスキュー』の立ち上げメンバーとして、加盟店の技術研修やサービス品質の統括を担っています。

まだダスキンが鍵のサービスを手がけていることを知らない方も多いと思います。5年、10年後には『鍵のことならダスキン』と思ってもらえるブランドに育てたい。加盟店を全国に広げ、どの地域でも安心して頼っていただけるサービスにすることが目標です」

——技術を全国に広げていくのも、今の玉置さんの役割なんですね。最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

「このコーナーは、金庫からどんなお宝が出てくるのかを見るのが一番の楽しみだと思います。
でも僕としては、開けるまでの過程や、解錠の技術にも注目してもらえたらうれしいです。『今日も早く開けたな』とか、『今回は玉置さんでも苦労しているから、相当難しいんだろうな』とか。そんなふうに、開くまでの過程も楽しんでもらえたら、鍵職人冥利に尽きます」

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【玉置恭一 プロフィール】
鍵職人。株式会社ダスキン レスキューサービス事業 統括テクニカルマネジャー。「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」の人気企画「開かずの金庫を開けろ!」で、“無敵の鍵職人”として数々の金庫を開錠。長年培った鍵の知識や技術を生かし、現在はスタッフへの技術指導や研修をはじめ、防犯に関する啓発活動にも取り組んでいる。

「ダスキンレスキュー」HP
玉置恭一 Instagram

(取材・文/みやざわあさみ)
 
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