中国 学習塾の”金もうけ”に待った 成長分野を突然「規制」

ビジネス

テレ東

2021.8.11

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中国の規制強化を受け閉鎖された学習塾

中国の教育産業でいま、大きな波紋が広がっています。中国政府は学習塾の運営企業に対し「利益を出してはいけない」とする異例の方針を打ち出しました。教育産業の市場規模は10兆円を超すと言われ、個別指導やオンライン学習などの事業で多くの企業が急成長を遂げてきましたが、突然の規制に戸惑いの声が上がっています。

中国・北京市内にある中国最大手の塾の教室の入り口には大きな鍵がかけられています。今回の中国政府の発表を受けてこの塾は閉鎖に追い込まれました。100人以上の生徒で賑わっていたという学習塾ですが、今はひっそりとしています。

中国政府が発表した塾への新たな規制では「既存の学習塾は非営利組織に転換させる」と学習塾の運営で利益を追求することを禁止しました。規制の対象は、小中学生に国語、数学、理科、社会など主要科目を教える塾です。

政府の発表を受け、教育業界には衝撃が走りました。塾のスタッフは「政策が決まれば受け入れるしかない。(政府には)勝てないんだから良い方法なんてない」と取材に答えます。
月謝が約5万円からというこの塾では、儲けを出してはならないという政府の方針に反すると企業活動を停止させられる恐れがあるため、教室を閉鎖。授業料の返還などの対応をとっています。

中国政府が規制強化に踏み切った背景にあるのは、深刻な少子化問題です。1人の女性が生涯で産む子供の数を示す合計特殊出生率は日本を下回ります。危機感を強める政府は、1世帯に3人までの子供を認めると同時に、教育政策の見直しも進めています。その一環で、高校まででおよそ4000万円に上るとされる高額な教育費にメスを入れることで、子供を産みやすい環境を整えようとしたのです。

街の人からは「支持します。国の政策により子どもの負担も減るし、家庭の支出も減ってみんなが楽になる」との声が聞こえる一方で、多額の教育費を支払ってきた親からは異論も出ています。

北京市内に暮らす湯さん家族。小学生の長女は週に4日、習い事に通っています。塾代は年間およそ150万円。父親の湯さんは今回の政府の規制に疑問を持っています。

「(塾規制の)政策を知ったときにどうしてそんなことをするんだと思った。なぜそこまでして子どもたちが塾で学ぶ機会を奪うのか」

湯さんは、塾の代わりとなる対策も考えています。

「多くの親はさらに多額の金を支払って家庭教師を雇うことになるだろう。この政策は最終的に政府の狙い通りにはいかないと思う」

今回の規制方針を受け、最大手の「新東方教育科技」の株価は規制発表前に比べ30%の水準に低迷。中国の教育産業には、日本も含め、外資系企業が多額の投資をしているケースも少なくないため、波紋はさらに広がりそうです。


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