「寝る場所がない」「所持金がゼロに近い」人たちへ...コロナ禍での再出発を支援:ガイアの夜明け

ビジネス

テレ東

2021.10.22 ガイアの夜明け

コロナ禍での生活困窮者をサポート


10月22日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)では、長引くコロナ禍で深刻な影響を受けている非正規雇用労働者の今を特集。苦境から抜け出そうと立ち上がった人々の、再起をかけた闘いを追った。


新型コロナウイルスの感染拡大が雇用に大きな影響を及ぼす中、「今日、寝る場所がない」ところまで追い込まれた人たちが駆け込む場所がある。東京・新宿区にある「リライト」は、生活困窮者に寮がついた仕事を紹介するサービス「いえとしごと」を運営。多くの人に手を差し伸べている。

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ある日、30代の男性がオフィスを訪ねてきた。男性は仕事も住む場所もなく、ネットカフェで暮らしているそうで、「1日1食ぐらいしか食べてない」と話す。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、調理を担当していた居酒屋が倒産。さらに、身分証が入った財布を落としてしまったため、就職活動ができずにいるというのだ。

今は男性が望む飲食店の求人がないため、工場の派遣の仕事を紹介。男性が使えそうな公的支援についても説明する。相談者の多くは役所に行ったことがなく、さまざまな支援があることを知らない。結局この男性は「なるべく早く自立したい」と考え、支援を受けるのではなく、工場で働くことを選択した。

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深刻な話ににこやかな態度を崩さず、相談者の対応をするのは「リライト」の社長・市川加奈さん(28)。26歳の若さで会社を設立した。「いえとしごと」の問い合せ件数は1日平均14件、面談者数は1日3~4人だ。相談者の直接の訪問に応じるが、基本はオンライン面談で対応。電話番号や身分証がない人の相談も積極的に受け付け、仕事を紹介している。

別の日、大量の荷物を抱えた女性がオフィスにやって来た。20代の女性は、勤務していた土産物店が閉店し、上京したが仕事が見つからないと話す。役所での相談では生活保護を勧められたが、親への連絡必須に難色を示し「リライト」に駆け込んだ。

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生活に困っているようには見えないが、所持金はわずか900円。最近はこうした路上生活寸前の人が多く、「見えないホームレス」と呼ばれている。ホームレス自立支援法は、無料宿泊施設の滞在者や野宿をする人が対象で、ネットカフェなどに宿泊する人たちには支援の手が届いていない現状がある。

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市川さんは進学を機に都心に出るようになり、ホームレス状態の人を見て衝撃を受けた。みんなが見て見ぬふりをする...何もできない自分に歯がゆさを感じ、貧困問題に関心を持ち始めたという。働くことを望む人がいる一方で、人手不足で会社がつぶれていく現状に疑問を感じ、「つなげることでどちらもwin winの関係になれるのではないか」と支援ビジネスを始めた。

市川さんが紹介する主な仕事は警備や介護、工場での仕事。2年間で約25社に442人を紹介した。「リライト」では、すぐに紹介料を受け取るのではなく、働き始めてひと月後に紹介料をもらうようにしている。働いてみないと続くか分からないため、このようなシステムにしているが、市川さんは「これでもなんとかなる」と、日々奮闘している。

7月26日。受付終了間際の午後6時に、今すぐ相談したいと22歳の若者がオフィスに飛び込んできた。土井健一さん(22歳・仮名)は、3歳から一人で育ててくれた母親が亡くなったのを機に、仕事と家を失ったという。ネットカフェに寝泊まりし、日雇いで働いていたが、コロナで仕事が減り、収入が途絶えた。所持金を聞くと「ゼロに近いです」。

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市川さんが希望の業種を聞くと、土井さんは「介護」を選ぶ。高校卒業時、先生に介護職を勧められたことがあったからだ。市川さんはすぐに介護会社の社長に連絡を取り、その日のうちに面接の手はずを整えた。

午後9時。土井さんは千葉県市川市にある介護施設に向かった。東京と千葉で有料老人ホームやデイサービス施設を運営している「みやびサポート」の社長は、介護の仕事をしてみたいという土井さんの気持ちを確認し、採用を決めた。寮の部屋も与え、給料日までは1日1000円の前借りにも応じてくれるという。市川さんが築き上げてきた信頼が、こうしたことを可能にしているのだ。

市川さんと出会って4時間後、土井さんは仕事と住む場所を手に入れることができた。ベッドで寝るのは久しぶりで、

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ふぅと一息つく。土井さんは「とにかく頑張らなければ、それだけです」と笑顔を見せた。

しかし、このあと予想外の事態が。翌日、先輩とともに新宿区のデイサービス施設に向かった土井さんに何があったのか。

大手が参入しない「ニッチでスモールビジネス」


コロナ禍での雇用減少は、性別によって大きく異なる。総務省の調査によると、就業者数の推移は、初めて緊急事態宣言が発出された2020年4月に大幅に減少しているが、特に女性は非正規雇用の割合が多いため、男性の倍近く減っている。そんな中、ある開業支援ビジネスが注目を集めている。

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東京・武蔵村山市に住む刈谷さん(44)は、小学3年生の娘さんと2人暮らし。今年1月から中古の学生服販売店「さくらや」を始めた。中学生のシャツが470円(税込)で販売されており、お客は「安い」とつぶやく。

調理のパートをしていた刈谷さんは、最近夫と別居。より収入が見込める仕事を探したが、コロナ禍で見つからない。そこで知ったのが「さくらや」のパートナー募集だった。基本は1日5時間、週4日の営業で、「子育てしている自分にとっていいなと思った」と刈谷さん。子どもとの時間を確保しながら月の売り上げ30万円を目指す。

学生服のリユース「さくらや」の1号店は、香川県高松市にある。「さくらや」創業者で「サンクラッド」代表の馬場加奈子さん(49)は、2011年に「さくらや」を開業。当時は3人の子どもを持つシングルマザーだった。以来、1日5時間、週4日の営業を実践し、2015年からは「さくらや」の店舗運営希望者の募集を開始。加盟料は170万円で、開業のノウハウを教え、その後は月9500円の会費だけ徴収する。各店が独立採算制で、自宅での店舗運営も可能だ。全国に78店舗あり、年間売り上げの平均は約400万円。コロナ禍で出店希望者が増えたという。

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「さくらや」高松店は、開店と同時に子どもを連れたお客でいっぱいになる。新品で買うと上下で3〜4万円する女子中学生の制服が、一番安い組み合わせなら10分の1の値段で買える。品揃えも豊富で、高松店には制服などが約1万点も。馬場さんは、大手が参入しづらい理由を、制服の種類が細かく分かれているためと話す。高松市内の小、中、高校でも約90校が制服を採用。集めるだけでも大変なのだ。「すごくニッチでスモールビジネス」と馬場さん。

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競争相手が少ないという理由以外にも、時短営業できる秘訣がある。番組が馬場さんに同行した先には「高松信用金庫」があり、施設内に置かれた回収ボックスには、お客や職員が入れた学生服が積まれていた。この現場が仕入れのもとで、支店長も「信用金庫のイメージアップにもつながる。何より来店したお客に、参加したことで喜んでもらっている」と歓迎する。ちなみに「さくらや」では、店頭で仕入れる時はお客にお金を支払うが、回収ボックスに入っていた場合は、買い取り分の額を、あとでまとめて子供の貧困対策基金に寄付している。

そんな「さくらや」に人生をかけ、滋賀県彦根市でも再起しようとする人がいた。中西裕子さん(55)と娘の満梨奈さん(21)。今年4月に夫をがんで亡くし、決断した。中西さんはパートで働いていたが、コロナで将来に不安を感じた。「弱い立場の人から仕事がなくなる状況を見た時、自分でなんとかしないといけないと。自分と娘で仕事を始めた方がいいかと思っていた時『さくらや』の話を知った」と話す。

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満梨奈さんは病気を抱え、長時間働くことが難しい状況だ。「主人が亡くなる時に子どもたちのことをすごく心配していて、主人のためにもなんとかしないと」。しかし、将来、満梨奈さんが一人でも続けられるようにと始めたもの、2人は慣れない仕事に戸惑っていた。

そこへやってきたのは、全国を回って開業のサポートをしている馬場さんだった。まずは宣伝のために3人で近所の店を回り、チラシを置かせてもらえるように交渉する。馬場さんの見事な手本の次は、満梨奈さんが一人で挑戦。交渉を始めるも、緊張のあまりチラシを1枚しか渡せない満梨奈さん。その後は中西さんのサポートもあり、無事チラシを置いてもらうことができた。

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満梨奈さんは「息を吸うのも難しいくらい緊張して...。でも頑張って最後まで伝えられました」と安堵の笑みを浮かべる。

だが課題は山積みだ。「さくらや」を始めるには、最低1000着の制服が必要で、中西さんが制服の回収に協力してくれる企業を探すが、電話をかけても反応は悪い。「20年間主婦しかしてないのに...」と中西さん。慣れない営業に悩む中、果たして店を軌道に乗せることはできるのか?

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ガイアの夜明け

ガイアの夜明け

事実はニュースで、真実はガイアで。松下奈緒がナビゲートする経済ドキュメンタリー番組の決定版。

放送日時:テレビ東京系列 毎週金曜 夜10時

出演者

【案内人】松下奈緒【ナレーター】山中崇

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