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日本を知る、地域を考える@岡山県倉敷市児島:一輪の綿花がジーンズに~工場直販サイトとともにMade in Japanをブランディングする~前編

児島ジャパンブルー

トラベル

テレ東

2018.5.18

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東京一極集中などの人口問題で地方消滅の危機が叫ばれる中、多方面から地方活性化への取り組みや事業を行うとし、2014年秋、第2次安倍改造内閣発足と同日の閣議決定によって「まち・ひと・しごと創生本部」が設置された。しかし「一億総活躍社会」、「働き方改革」、「人づくり革命」などの新しいキーワードを次々に打ち出される一方、ニュース等で語られることすら減っている「地方創生」。


そこに暮らす地域住民が強烈な意思と構想を持ち、彼らの熱情によってプロデューサーが企画、実現に向けて戦略を練り、これを地方自治体が応援する――それが本来、地方創生のあるべき姿だが、実際はアイデアもやる気もない住民、仕事を終えたらすぐさま中央へと舞い戻るコンサル、中央の助成金を引っ張ってくることしか考えない自治体など、人口減や過疎化の危機に直面している当事者(もしくは関わる人たち)がどこか他人事で、あきらめているかのようにも映る。


もちろん、強い意思と構想、熱情から始まった取り組みや、全国で話題を集める地方発のヒット商品などを生み出す成功企業もある。ある優れた人物の想いや事業が新たな未来を拓き、地域に根差す企業や住民たちをリードすることだってあるだろう。


本企画では、そんな各地方の"先駆者"や"成功者"に地域の魅力と問題点、地域経済も含めて今後をどう見ているかを聞く。外部から見た客観的な課題も同時に伝えることで、地方が抱える諸問題の解決に向けた小さな一歩となればうれしく思う。



本気で立ち向かえば、世界を圧倒できるのではないかと考えた


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「テレ東プラス」編集部が向かった先は、昨年、倉敷、児島、玉島の旧3市の合併から50周年を迎えた岡山県倉敷市に位置する児島地区。


市の人口は48万3901人(うち児島は6万9669人、2017年12月現在)。岡山市に次ぐ中核市であり、京阪神を除くと西日本最大の工業都市でもある。江戸時代より紡績業で栄えた倉敷、今や日本一の繊維産地となった児島、綿の出荷で賑わった港町・玉島という具合に、綿花が町の成り立ちと深く関わっており、児島は倉敷市の中心部から南に30kmほど下った児島半島西部に位置する。


しかし、児島を含む倉敷エリアは、かつて「吉備の穴海」と呼ばれる海だった。江戸時代中期に備中松山藩と岡山藩による干拓が行われ、児島、玉島、連島などの島々が本州と陸続きに...。塩分を含む干拓地は米作りに適さないため綿花を栽培。やがて撚糸業へと広がりをみせていく。特に児島は、由加山参りの土産として人気だった真田紐や小倉織にはじまり、縫製技術を生かした袴地から足袋と幅広く生産。児島で獲れる綿が高級品として珍重されたこともあり、織物の産地へと発展する。


その後も1881年に、民間初となる下村紡績所(児島)や玉島紡績所(玉島)、1889年には英国式最新機械を備えた倉敷紡績所(現クラボウ)が設立され、明治以降も"和の伝統"と"洋の技術"を融合。1920年代には、児島で需要が下降した足袋に代わり、学生服の生産をスタートさせ、1940年代には全国の9割のシェアを占めるまでに成長。東京オリンピックを前にした1963年には、児島の学生服生産量が日本一となる。


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1965年には、学生服や作業衣を製造していた児島の「マルオ被服(現ビックジョン)」が、本場アメリカのデニム生地を使った国産初のジーンズ発売。1967年にブランド「BIG JOHN」を発表したことから「日本産ジーンズ発祥の地」と言われ、1973年に倉敷紡績が初の国産デニム生地を開発。現在は国産ジーンズのおおよそ7割以上が岡山県で製造され、そのほどんどが児島地区に集中することから「ジーンズの聖地」と呼ばれている。


紡績業、撚糸業、染色業、織物業、ミシン業者からボタン製造業者まで200社以上もの関連業社が名を連ねる世界でも稀なジーンズ産業集積地となったのは、400年前に撒かれた「一輪の綿花」に端を発していると言っても過言ではない。


「児島が陸続きになって今年で400年。四国を中心に色んな場所から民族が入って来た土地柄でもあるため、外へ向かって行こう、儲かることがあればやってみよう、競争しようという傾向があり、昔から近江商人、浪花商人よりも貪欲と言われています。時流にも敏感で、真田紐から足袋へ、学生服から作業服に事務服、そしてジーンズ...。児島は時代の変化とともに"売れる"と思えば、すぐに転換しますからね」


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そう笑いを交えながらも"児島人"の気風を誇らしげに語るのは、長らく欧米産のジーンズを礼賛し、追随してきた「ジャパンブルー」の代表取締役社長・眞鍋寿男さん。「世界一のジーンズをつくる」という志を掲げ、1996年に純国産ジーンズを製造販売する藍布屋(らんぷや)を設立した。


「"本当にそれでいいのか? 児島には江戸時代より培った高い技術力がある。本気で立ち向かえば、世界を圧倒できるのではないか"と。日本のメーカーは、まず国内向けに販路を拡大します。でもグローバルな視点が足りない。私は最初から"Made in Japan"で世界一になろうと考えました。児島の技術の粋を集め"日本人にしかできないもの"をつくれば、世界一になれるはずだと」(眞鍋さん)。


外国で「BLUE」と言えば一つしかないが...。


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「対して、染めの回数などにより濃淡を出す日本の藍染めは、紺、納戸、浅あさぎ葱、濃藍などと名前を付けられ保存されてきた。そんな文化を持つ国はほかにないです。さらには生地に縫製、加工といった技術は世界屈指のもの。海外のバイヤーにも『こういう歴史があり技術があるから、日本のジーンズはすごい!』と胸を張れる。しかも『この小さな町、児島でつくったんだぞ』と。同時に、職人さんにも胸を張ってほしいと思いましたね。広くは地元の人すべてに、誇りと自信を持っていただきたい。県外で出身地を聞かれ、照れくさいからか"倉敷"と答える若者に、堂々と胸を張って『児島です』と言ってほしいです」(眞鍋さん)。


「地元に誇りを持つ」。何か行動を起こすにあたり「強い意志を持つ」。伝統も大事だが、「自分をスキルアップして進化する」。これは、山口県を代表する銘酒となった「獺祭」を世界に広める旭酒造社長・桜井一宏さんの言葉(連載第1回で取材)。



海外のハイブランドから絶大な信頼を勝ち取った「ジャパンブルー」


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「世界一になる」という想いを胸に児島から世界に打って出て、今や世界26ヵ国に進出。高い技術力が世界のアパレルメーカーやデザイナーたちに認められ、海外のハイブランドから国内のドメスティックブランドまでが絶大なる信頼を寄せるジャパンブルーのジーンズ。「アメリカに憧れた男」から「アメリカが憧れる男」となった眞鍋さんの考えもこれに通ずる。


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「酒造業界も同じだと思いますが、産地があるからこそ成り立っている仕事。産地がダメになれば、イコール自分たちも終わります。だからまずは児島をジーンズで活性化し、より多くの人に児島まで来ていただくことが大事」(眞鍋さん)。


世界のナショナルブランドと互角に闘う児島だが、いざ地元となると住民の関心は薄く、同時に地方都市ならではの問題も抱えている。学生服の生産で賑わった時代には児島の中心だったものの、衰退の一途を辿り、今や"シャッター通り"と化した味野商店街は、訪れたのが平日の夕方だったとはいえ、あまりにも人通りが少なかった。


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「これを打破しようと2010年から動き出したのが『児島ジーンズストリート構想』です。それまでもマニアックなジーンズファンが児島を訪れることはありましたが、"ジーンズの聖地"と謳いながら工場ばかり。購入や観光できる場所が少なく、観光客の期待に応えることができなかった。観光客に日本のジーンズの都をPRする狙いもありました。今は平日の集客をどうするかが課題です」(眞鍋さん)。


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後編では、「ジャパンブルー」の工場を紹介。 「日本のものづくりから世界一のブランドをつくる」ことを目指し、Made in Japanの工場直結ファッションブランド「Factelier(ファクトリエ)」をスタートさせた「ライフスタイルアクセント株式会社」代表・山田敏夫さんのインタビューを交え、"児島ジーンズストリート"の全貌に迫る。


「JAPAN BLUE」
倉敷市児島においてデニムの藍(青)を追及するジーンズ・デニムハウス。伝統の技と現在の最新技術を用い、デニム生地を始めとしたテキスタイルから、ジーンズ・藍染め製品まで幅広く展開。インターネットではジーンズの通信販売、オーダーメイドジーンズと藍染め製品のオーダーを受注している。


公式ホームページ:http://www.japanblue.co.jp/


朝の散歩道
厳選いい宿
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昼めし旅
出没!アド街ック天国
博多華丸のもらい酒みなと旅2
ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z


「テレ東プラス」編集部では、今後も知られざる日本、また、日本全国で"地方創生"に果敢に取り組んでいる地域や人々を紹介していく予定だ。

特集~日本を知る、地域を考える〜はこちら

「ジャパンブルーをブランド化」についてもっと詳しく知りたい方はこちら
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