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ここはヤバい異界の入り口か! 香川県・小豆島で体験するアートと祈祷の旅

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テレ東プラス

2019.12.18

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香川県が、ついに「うどんだけじゃない」と言い始めた。
醤油に砂糖に海の幸。城にアートに小豆島(しょうどしま)......そう、香川県の価値を爆上げするブースター、それが小豆島だ。え、行ったことない? なぜ行かぬ(怒)!

小豆島は、人呼んで"瀬戸内の地中海"。珍しい島グルメも豊富で、どこを見てもオーシャンビュー。『魔女の宅急便』ほか数々の映画のロケ地にもなり、瀬戸内芸術祭のアートも点在するなど、旅人をうっとりさせるモノでいっぱいなのだ。

kagawa_20191212_01.jpg▲小豆島・土庄港で迎えてくれる有名なモニュメント「太陽の贈り物」(チェ・ジョンファ氏・作)

これだけ聞くと旅人好き向けの島と思いがちだが、実は、妙にシブくて精神をゆさぶる異界もあちこちでぽっかりと口をあけている。「ここは本当に現実?」――そう問いたくなるような体験ができるとっておきのスポットをご案内したい。

東京から約3時間でスイッ! 遠いようで近い小豆島


kagawa_20191212_02.jpg▲東京・羽田空港から香川県・高松空港までは約80分。JR高松駅から徒歩10分の「高松港」では「Liminal Air -core-」(大巻伸嗣氏・作)が迎えてくれる。ここからフェリーで「草壁港」へ。約60分の船旅だ。

そもそも小豆島は、400年の伝統を誇る醤油製造で知られ、100年前に日本で初めてオリーブ栽培が始まった島でもある。小豆島ブランドのオリーブオイルは絶品だ。

瀬戸内海では2番目に大きい島で、現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」(以下、瀬戸芸)の舞台でもある。瀬戸芸は、3年に1度、瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催されており、2019年も春・夏・秋の3シーズンにわたって開催され、大盛況で幕を閉じた。

kagawa_20191212_03.jpg▲島の中には、今もアート作品が点在している。これは、坂手港のシンボル「スター・アンガー」(ヤノベケンジ氏・作)Photo: Kimito Takahashi

会期が終わると失われるアートも多いが、今年の瀬戸芸で大きな注目を浴びていた世界的アーティストの作品は通年で鑑賞できる。最初のスポットは「ジョルジュ・ギャラリー」だ。さっそく訪ねてみよう。

古民家に出現! 残された制作現場として世界初「ジョルジュ・ギャラリー」


kagawa_20191212_04.jpg▲ここが、瀬戸芸で大きな話題となった古民家「ジョルジュ・ギャラリー」。

kagawa_20191212_05.jpg▲舞台となるのは、小豆島アートプロジェクト代表・石井純氏の祖父母がかつて暮らしていた家だ。

ギャラリーには、フランス人写真家のジョルジュ・ルース氏の3つの作品が展示されている。ジョルジュの手法は、廃墟や取り壊し予定の建物をキャンバスとして幾何学模様を描き、カメラに収めるというもの。これから失われる建物を鮮烈なイメージで彩り、最期を看取るようなジョルジュの作品は、人とともに歩んできた建物の記憶を、見る人の脳に焼き付ける。

kagawa_20191212_06.jpg▲築100年あまりの古民家は、奥行きのある懐かしい造り。家屋全体がギャラリーになっている。

時空、よじれてない? 和室に現れた金色の瞑想空間


kagawa_20191212_07.jpg▲古民家の玄関を入ってすぐ右手、16帖の広い和室にそれはあった。

和室を彩る金色の部分は、京都からきた金箔職人4人が貼ったという本物の金箔、あるいは真鍮箔によるものだとか。ぴったりと張り付いた箔がとても薄くて、タタミのデコボコまではっきりわかる。グニャグニャとした金色がうごめくような空間はなんだか少し不気味だ。

でも、視点を変えながら見ていると、「あっ」と思う瞬間がくる。まるでトリックアートのように、とある場所から見ると、ピタリと金の円環が生まれる。

kagawa_20191212_08.jpg▲「SHODOSHIMA 2018 ©️Georges Rousse」金色箔のインスタレーション。

キラキラ輝く金色の球体が、突如出現したみたい。ふと、神社の拝殿に祀られた鏡を思い出す。解説には「彼は縁側から射し込む柔らかな光と調和することで、アメージングな瞑想空間が出来上がることがこの家にとって最高の空間になることを確信」し、表現したとある。

kagawa_20191212_09.jpg▲こちらがジョルジュの作品。「SHODOSHIMA 2018 ©️Georges Rousse」の3作品のうちの1つだ。

kagawa_20191212_10.jpg▲ギャラリーオーナーである石井 純氏とジョルジュの出会いのきっかけとなった「阪神アートプロジェクト」

この「小豆島アートプロジェクト」の代表である石井純氏は、1995年の阪神・淡路大震災の折にジョルジュ・ルースを招聘。「阪神アートプロジェクト」として、被災した建物で8つの作品を制作してもらった。それを契機にルースとの親交を深め、今回、祖父母の古民家に作品作りを依頼したのだそう。ルースは快諾し、全国から集まったボランティアとともに3作品を制作したという。

kagawa_20191212_11.jpg▲「SHODOSHIMA 2018 ©️Georges Rousse」ロフトのインスタレーション

kagawa_20191212_12.jpg▲2階の屋根裏に、制作現場が保存されている。

併設の「KOHIRA CAFE」では絶品タルトをパクリ


kagawa_20191212_13.jpg▲こちらにも古民家の風情が残っている。ここは敷地内に併設された「KOHIRA CAFE(コヒラ・カフェ)」。

kagawa_20191212_14.jpg▲毎日焼き上げるという甘いタルトが絶品だ。写真はイベントの際に登場したハーフサイズで、本来は倍のサイズでいただける。「キャラメルナッツのタルト」と「島産イチジクのタルト」(350円・税込)。

カフェスペースでは、瀬戸内の自然に育まれた旬の果実、みずみずしい有機野菜などを使ったフードやスイーツを提供している。ギャラリーを訪れた際はぜひ立ち寄ってみてほしい。

さて、世界的アーティストが古民家に残した不思議な世界を楽しんだら、今度は古くから残る聖なる修行場へお連れしよう。小豆島が密かに抱えてきた異界の深さに驚かれるはずだ。

空海ゆかりのストイックな修行島


kagawa_20191212_15.jpg▲絶景と名高い小豆島八十八ケ所霊場・第二番札所「碁石山」。

四国といえば八十八ヶ所霊場(お遍路)が有名だが、実はこの小豆島にも、空海が修行や祈念を行なったとされる「小豆島八十八カ所」がある。四国中に比べれば、はちきれんばかりの密度だ。

kagawa_20191212_16.jpg▲お寺への入り口に鳥居がある。神仏が融合していた江戸時代の頃の名残がそのまま残っている。離島を旅すると、時代の流れからこぼれ落ちたような地点にしばしば出会う。

kagawa_20191212_17.jpg▲ゼエゼエハアハア、急な石段を息を切らして上がる "浪切さん"、その正体は浪切(なみきり)不動明王だ。

浪切不動明王は、空海が密教の勉強をするために遣唐使の船で中国へ向かっていた時の伝説に由来する。嵐で船が沈没しかけた時、自分で彫った不動明王像を掲げた空海。大浪はまっぷたつに割れて、無事に唐までたどり着いた......と。「んっ、モーゼ?」な伝説をお持ちのお不動さまなのであった。

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▲標高は約300m。想像をはるかに超える眺望の中、いかめしいお顔で炎を背負い、佇む浪切さん。海上安全を司り、目下の海を見守ってくださっている。

この小豆島の霊場は、弘仁5年(814年)に弘法大師・空海によって開かれた。険しい地形が多く、岩場や切り立った崖が多かったことから山岳修行に向いていたのだ。「小豆島八十八ヶ所霊場」として整備されたのは江戸時代のことだという。四国霊場とほぼ同じ時期にできた兄弟霊場なのだそうだ。

kagawa_20191212_19.jpg▲崖下には御本尊たる浪切不動明王が奉られた本堂「鳳凰窟」がある。

修行を行う行者にとって、険しい山を駆ける回峰行がある一方で、座禅や瞑想など動かずに行う修行もある。崖下にある本堂に向かうと、本堂はなんと岩の中にめり込んでいた! いや、寄り添うように建てられていた。

中は天然の洞窟だった! 宇宙的な護摩修行を体験


kagawa_20191212_20.jpg▲鳳凰窟の内部はダイナミックな岩盤がゴツゴツと突き出た洞窟だった。意外と広い空間だ。

写真の正面の岩壁に、まばらにポツポツとくっついた白い粒をご覧いただけるだろうか? 実はこれ、硬貨なのだ。よく見ると、1円、5円、10円、さまざまな硬貨がくっついている。な、なんだこりゃあ。どうしたんだこりゃあ。聞けば、柔らかい地質の岩で、金属を押し付けるとめり込むのだそうだ。

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kagawa_20191212_22.jpg▲不動明王といえば「護摩祈祷」。煩悩の象徴である護摩木をお香や米、油、漢方薬などとともに燃やし、不動明王に大願成就をお願いする真言密教の修法である。

祈祷所としての役割を色濃く残すこの寺では、毎日、護摩祈祷を行っている。今日もこれから護摩祈祷があるという。 "就職成就"や"安産成就"など6種類ある護摩木の中から1つを選び、年齢と名前を書いて納めた。祈祷の中で、これを聖なる火にくべてもらい、満願成就を祈るのだ。

前には仏壇、後ろには祈祷台。洞窟の中で火を焚いて、一酸化炭素中毒は大丈夫なのだろうか? 心配をよそに、読経が始まる。目を閉じて、手を合わせ、願いごとを胸のうちで唱える。暗闇に朗々と声が響く。ここはもう真言の宇宙だ。

うっとりと聞き惚れていたら、バチバチバチッ! 爆竹のような音を立てて、背後で護摩木を燃やしはじめた。うぐっ、熱い!

kagawa_20191212_23.jpg▲明るくするとこんな感じ。炎にかざしてもう一度お参りして護摩祈祷は終わった。

kagawa_20191212_24.jpg▲洞窟の中にはうっすらと白い煙が充満し、隙間からこぼれてきた光がくっきりと浮かびあがる。

護摩祈祷は終わると、神秘的な光の筋の中で、煙のゆらめきが見える。どこからか、うっすらと風が吹いてくる。火を焚くと、いつもこうして新鮮な空気が流れ込んでくるという。

kagawa_20191212_25.jpg▲お気遣いにほっこり。

東京からたった3時間で着いてしまう、遠いようで近い小豆島。この島は、見たことのない世界へと私たちを誘い、脳を揺さぶり、心を揺さぶり、ダイナミックな癒しをくれる。もし代わり映えのしない毎日に飽き飽きしたら、あるいは目まぐるしい日々に疲れてしまったら、ぜひこの島にピョンと飛び込んでみてほしい!

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【取材協力】
ジョルジュ・ギャラリー
住所:香川県小豆郡小豆島町馬木甲881-9
電話番号:080-6725-9494

碁石山
住所:香川県小豆郡小豆島町苗羽
電話番号:0879-82-2181

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