なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」

 
日本各地の“いいね!”を探してあらゆる地域へ「いいね!じゃぱん」。今回は長野県伊那市へ。全国的な課題である商店街の空き店舗問題を解決するため様々な取り組みにチャレンジする人たちを調査し、“いいね!”を紹介。

【動画】なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?「いいね!じゃぱん」長野県伊那市

なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」
長野県伊那市は、東京から車でおよそ3時間、中央アルプスと南アルプスに囲まれた自然豊かな町。登山愛好家から親しまれ、「高遠そば」「行者そば」などそばの産地としても知られ、“天下第一”と称される「タカトオコヒガンザクラ」の名所も。また、豊かな自然を生かした子育てや教育への取り組みも注目され、人気の移住地でもある。

そんな伊那市においても少子高齢化や後継者不足などから中心商店街での空き店舗が増加し課題となっていた。しかし、今、まちの人たちの連携や取り組みによって賑わいが戻ってきている。

【いいね!①】高校生が主体の「17とりどり祭」自分たちのまちの未来を自分たちで作り上げる


なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」
伊那市の中心市街地は、JR飯田線の伊那市駅、伊那北駅を中心に主に5つのエリアがある。伊那北駅周辺の山寺エリアでは、高校の統合による駅利用増加にともなう再開発が進み、若者と大人が集う交流スペース作りに力を入れている。

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こうした動きにともない取り組んでいるのが、高校生が企画から宣伝、運営も行うイベント「17とりどり祭~高校生がやったらこうなった」。

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準備の段階では、高校生たちがまちを巡り店主の意見を聞くなど今の商店街を詳しく調査。まちと関わることで“自分たちのまちの未来を自分たちで作り上げる”というコンセプトだ。

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実行委員の高校生は「地域の活性化や、もっといろんな人たちに伊那北駅を訪れてほしいという願いでお祭りを開催しています」(友野遥さん)、「中心市街地をもっと利用できると思うので、お祭りを通してもっと盛り上げていけたら」(羽場心音さん)と取り組みにかける思いを語る。今年は10月31日(土)に開催予定。ぜひ、訪れてみて!

【いいね!②】起業する若者を呼び込む取り組み「空き店舗見学会」


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長年、商店街を支えてきた人々も、まちの活性化のため取り組んでいる。伊那市駅周辺の荒井エリアに店を構える「内山金物店」は、廃藩置県(1871年、全国の藩を廃止し県を置き中央集権体制を確立した改革)以来150年間続く老舗の商店。

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店主の内山和夫さんによると、昭和24年(1949年)に大きな火事があり、その後、道が広くなり商店街が栄えたのだという。

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商店街の歴史を知る内山さんたちは再び活気を取り戻すべく、起業する人たちを呼び込む「空き店舗見学会」を実施している。こうした取り組みにより、荒井エリアの「通り町商店街」ではかなりの成果をあげ、空き店舗は2軒だけ。内山さんは「若いっていいなと思いますよ。チャレンジできる」と、まちの活性化を温かく見守っている。

【いいね!③】クラウドファンディング利用で解体危機の老舗料亭が生まれ変わる


まちを盛り上げようとチャレンジする若者たちにより、魅力的な店が増えている。

≪地域おこし協力隊 オシャレな内装のおいしいコーヒー店≫

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理髪店だった建物をリノベーションし、2024年6月にオープンしたカフェ「rear coffee」。

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オシャレな店内で楽しむさわやかでフルーティな味わいのコーヒー、金・土曜日ランチ限定の特製ハンバーガーも人気。

店主の和泉翼さんは、伊那市の「地域おこし協力隊」(地域に移住し一定の期間協力活動を行いながら地域への定住・定着を目指す総務省の制度)の一員だった。北海道札幌市でリアカーを引きコーヒーを売り歩いてきた頃、常連客から「地域おこし協力隊」の話を聞き、1ヵ月かけて長野県中を回り「景色や人の温かさが良かった」と伊那市を選んだという。

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「映画やドラマの美術の仕事をしていたので、ものを作るのは得意」という和泉さんは、2年かけて店を完成。元の建物の畳の下にあった木材や、屋根のトタンを内装に再利用。この日は、ネットで店内のインテリアを見て気に入ったというオーストラリアからのお客さんも訪れていた。最近、魅力的な店が増えている伊那市では、新しい店が出来ることで相乗効果が生まれ売り上げもアップしているそう。

≪Uターン移住 夫婦で営むベーカリーの絶品パン≫

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斜め向かいには、夫婦で営むベーカリー「rokusan PANYA」。店主の六波羅朝之さんは、Uターン移住後、空き店舗を改装し、2025年6月に店をオープンした。

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「地元の農家から直接小麦を仕入れて製粉したものでパンを作ることを大事にしている」と六波羅さん。シンプルな材料で作られたハード系のパンは、外側はパリッとかたく、噛むと小麦の香ばしさが広がる。

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リノベーション資金には「創業支援事業補助金」を利用。市内に設置する新たな事業所に対し、補助対象経費の2/3以内の額、上限30万円を補助。その他、特定創業者や指定業種などの条件に該当すると、最大で100万円の補助が受けられる。

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リノベーションを請け負ってくれたのは店の大家でもある同級生の小嶋郁哉さん。ご近所の「rear coffee」の和泉さんも手伝ってくれたそうで、市の取り組みや人との絆がステキな店舗を生み出した。六波羅さんは「この通りに商店街があるという認識を深められたら」と、自分の店だけでなく商店街の活性化を願う。

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≪クラウドファンディング利用 解体危機の老舗料亭が生まれ変わる≫

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大工仕事が得意でみんなから頼りにされている小嶋郁哉さんは、自転車販売店をリノベーションした「西町ガレージ」を2022年にオープン。2階は小嶋さんが経営するパブ、1階は古着の販売店が入っている。

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小嶋さんは、名古屋で就職した後、Uターン移住。リノベーションにはクラウドファンディングも利用し、目標金額の64万円に対して85万円が集まった。

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当時、西町エリアにはあまり店がなく、客足を伸ばすため駐車場を整備したり、店が増えるよう空き物件を探して紹介したり、様々なことに取り組んできた。「やる気のある若い人たちが多いので、僕ができることがあったら協力したい」と小嶋さんは、本業は夜のパブだが、今では昼間の大工の手伝いの仕事の比重の方が多いそう。

なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」
こうした経験を活かし、資金調達に成功し最近オープンしたのが「松喜」。解体の危機にあった老舗料亭を、クラウドファンディングなどを活用しリノベーション。飲食店やショップ、ギャラリーなどが入る複合施設として蘇った。

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オーナーの平賀裕子さんは、他にも商店街で蜜ろうキャンドル店、駄菓子店を経営し、金物店の内山さんが行う「空き店舗見学会」など、まちの取り組みにも積極的に参加している。

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クラファンだけでなくリノベーションも小嶋さんが手がけた。平賀さんは「郁哉くんのおかげでできているお店がたくさんあるし、みんな困ったことがあればなんでも相談する。まちに欠かせない人になりました」と感謝。

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1階の中華料理店「日月屋」店主の海老原明さんは、「rokusan PANYA」の六波羅さん同じく小嶋さんの高校時代の同級生。

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なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」
趣ある店内で、鹿肉と地元の豆腐が自慢のイチオシメニュー「山椒香る 土鍋麻婆豆腐」、人気の「シュウマイ三種盛り」など本格的な中華が味わえる。

まちの活性化に「どこでもよかったわけではなく、このまちがそもそも持っている温かさ、古いものを大切にする、なんとなく昭和っぽい、若い人たちがその価値観に惹かれ、大事にしてくれることがうれしい。そういうまちとして愛され続けてくれたら良いですね」と平賀さん。

なぜ地方の商店街に若者が集まるのか?空き店舗問題を解決した「移住したい街」
「面白い人を増やしていく。面白い人が“この商店街に来たい”というまちに」と未来を描く小嶋さん。平賀さんは「世界遺産になってもいいくらいのいいまち。失われつつある人のつながり的なものが、いらやしくなく素晴らしくいい」と魅力を語る。様々な思いの中で、まちの人たちのつながりが、暮らしやすさとやりがいのある仕事を生み出しているのだ。

9月26日(土)放送の「いいね!じゃぱん」(BSテレ東)では、引き続き長野県伊那市の「給食日本一」を支えた秘密や、珍しい山葡萄のワインなどを紹介。
 
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