【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ

 
日本各地の“いいね!”を探してあらゆる地域へ「いいね!じゃぱん」。今回は長野県伊那市へ。「給食日本一」を支えた秘密から、珍しいヤマブドウを使用したワインまで、“いいね!”を紹介。

【動画】「給食日本一」を支えた秘密「いいね!じゃぱん」

長野県南部にある伊那市は、東京から車でおよそ3時間の人口およそ6万5000人のまち。南アルプスと中央アルプスに囲まれた豊かな自然環境と、ミネラル豊富な水に育まれたお米の美味しさは昔から評判で、他にも野菜や果樹など複合的な農業が行われている。

【いいね!①】「給食日本一」の秘密


【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
南アルプスのふもと、山間の厳しい地形の中で農業を行ってきた「長谷地域」の学校給食は日本一⁉ その秘密は、農業と子供たちを繋ぐ取り組みにあった。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
家族で米農家を営む小松一輝さんは、9年前に生まれ育った長谷にUターン移住。現在は理学療法士と農家の二足の草鞋を履き、家庭菜園でキュウリなどの夏野菜、大根、ジャガイモなどの根菜類を作っている。この地で農業を営む魅力は「標高が高く昼と夜の寒暖差がかなりあるので、作物にとっては過ごしやすい環境にあるのかなと思います」と。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
多忙な中、小松さんは地元の野菜を学校の給食に提供する活動を行っている。活動のもととなったのは自身の経験。かつては「麦わら帽子の会」が学校給食に地元の野菜などを提供していたが、会員の高齢化などにより2002年に解散。子供の頃に食べた伊那の野菜の味が忘れられなかったという小松さんは、「微力ながら自分で出来る範囲で、子供たちの給食で地元の野菜を届けられれば」と活動を復活させたのだ。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
納品までは大変…という地域の農家を回って野菜を預かり、地元の学校の給食調理場まで届けている。「大変な時もありますけど、それよりも自分がやりたいというやりがいの方が強い」と小松さん。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
長谷学校給食共同調理場では、長谷小学校・中学校の生徒、教職員合わせて毎日150食分の給食を作っている。この日のメニューは、長谷でとれたお米、農家から提供された玉ねぎが入ったもずくスープ、小松さんが農家から預かり運んできたピーマンのピーマンチャンプルーなど、地元の新鮮な食材が使われている。この給食のおかげで、「苦手だった野菜が食べられるようになった」という子供たちも多い。

栄養教諭の松井葉月さんは、地元の新鮮で美味しい野菜が“当たり前”に給食で食べられるということが「大人になると当り前じゃなかった、素晴らしいことだったと気づき、“ありがたい”にかわってくる。そしてまた“ありがたい”を学校に届けてくれる」と食が繋ぐ心について語る。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
こうした取り組みにより、全国から選りすぐりの学校給食が集まり献立を競う「全国学校給食甲子園」第1回大会で優勝。地元で獲れた食材や郷土の味をふんだんに取り入れた給食が高く評価され、優勝を掴みとった。現在も、当時の思いを受け継ぎ給食作りをしているそう。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ

【いいね!②】食で繋がる伊那市と東京新宿区の交流


【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
多彩な農業が盛んな伊那と関わり深いのが、東京・新宿区。現在の新宿御苑は、江戸時代に高遠藩主・内藤家(現在の伊那市高遠町を治めた譜代大名)の下屋敷があった場所で、今も“友好提携都市”(2006年より)として農業、環境、文化など様々な分野で交流が続いている。

2025年の「全国学校給食甲子園」第20回大会では、新宿区立西戸山小学校が優勝。優勝したメニューには、伊那産の食材も使われている。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
“友好提携都市”となった平成29年度から、伊那市が新宿区に農作物を有償提供。2日に1度、各学校に伊那から新鮮な農作物が届くのだ。米、アスパラガス、リンゴなど、令和8年度は3600㎏を予定しているそう。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
この日のメニューはこちら。伊那から届いたゴマを使った「小松菜のごま酢和え」は給食甲子園で優勝した人気メニュー。伊那のお米は「甘くてふっくらした触感」「いつもよりも特別感があるので好き」「世界一!」と子供たちに大人気。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
給食を担当する学校栄養職員の菅田望さんは「新宿には農地がもうほとんどないので、子供たちが農業や生産者さんと触れ合う機会が少ない。だからこそ給食で伊那市の食材を使って、給食の時間に動画で生産者さんを紹介することで触れ合いや理解を続けていきたい」と交流について語った。

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【いいね!③】特別なヤマブドウで造ったワイン


【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
伊那市ではワイン用のぶどうの生産も盛ん。ワイン造り一筋30年の「伊那ワイン工房」村田さん夫妻は、ワイン農家からぶどうを預かり、依頼主の細かなニーズに応えた限定品のワイン造りを得意としている。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
村田さん夫妻が醸造した中でも珍しいものは、特別なブドウを使ったワイン「山紫」。伊那市が信州大学と7年以上かけて品種改良したヤマブドウ「信大W-3」から生まれたワインで、濃密な果実味と程よい酸味を感じる味は肉料理と相性バツグン!

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「山紫」に使う特別なブドウを育てているのは、ヤマブドウを育てて45年の城倉友幸さん。信州大学技術専門職員時代には全国大学農場技術賞を受賞し、現在も熱意は変わらず様々な品種を生産している。

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自然に生息している本来のヤマブドウは、果実が小さくかなり酸っぱい。

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研究を重ね品種改良により誕生したヤマブドウ「信大W-3」は、城倉さんも「こんなヤマブドウ見たことない」と驚くほど果実が大きく、高い糖度、濃厚な果実味、豊富なポリフェノールを持つのが特徴。

【日本一の給食の秘密】アルプスの恵みで育った米や野菜が地元と大都市の子供を繋ぐ
貴重なヤマブドウ「信大W-3」の中から、糖度20%以上のものだけを贅沢に使いヤマブドウの素材のみで醸造したワインは、芳醇な香りで、しっかりとした野性味ある味わいに。

こうした伊那の人々がずっと守り通してきたアルプスの恵み、美味しい作物を作る知恵が作り出した景色は、訪れた温かい気持ちにしてくれるのだ。

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