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2015年8月29日放送分

 

■特集

「中国経済減速の先にあるリスクとは」

ゲスト:日本総研 藤井英彦氏
     マーケット・リスク・アドバイザリー 新村直弘氏

世界同時株安に今週も大揺れだったマーケット。
週後半は上昇に転じ一息ついたが、これで不安が消えたわけではない。
中国経済が減速していく中で、今後リスクとして警戒すべきなのは何だろうか?
新興国経済に詳しい藤井氏は「新興国の通貨安」をあげる。
アメリカの利上げ観測が強まるにつれ、新興国に流れ込んでいた資金が流出し、新興国通貨が下落した。
通常なら通貨安は輸出増加につながるが新興国の場合、国内でインフレが進みこれを抑え込むため利上げし、景気を圧迫するという悪循環となっている。
2012年以降、先進国の輸出入はほぼ横ばいだが途上国間の輸出入は右肩上がりで増加してきた。
中国を中核に原材料を輸出し製品を輸入する新興国相互間の取引が活発化し、経済の拡大メカニズムが働いてきた。
しかし中国の景気減速、新興国の通貨安を背景にこうしたメカニズムが働かなくなっている。
これが新興国経済のリスクを増加させている。
綱紀粛正、不動産インフレ抑制などの影響で減速してきた中国経済は、この春から政府が金融を緩和し新規投資を後押しさせる方向に転じており、製造業などを中心に設備投資は上向き始めている。
ただ新興国の通貨安が長引くと中国の輸出伸び悩みが続く。
アメリカの利上げが注目されている限り新興国通貨安は解消しにくく今後も警戒する必要がある。
商品市場に詳しい新村氏は年末にかけて原油相場は上昇するとみているが、もし「原油安の長期化」が続くとリスクになるとする。
現在の原油安はアメリカやカナダのシェールオイル生産が減らないこと、OPECが減産しないこと、さらに制裁解除でイランも輸出を増やすとみられることなど供給が潤沢とみられる反面、需要は伸び悩むという予測をもとに投機筋が売り仕掛けているからだ。
原油安は中東産油国の財政を直撃しており、最も豊かなサウジアラビアでさえ外貨準備高は今年に入って減少に転じている。
産油国の国内では食料やエネルギーへの補助金が抑制され始め、国内も不安定な状況にある。
今後このような状態が続くとテロとの戦いに必要な軍事費にも影響が出てきかねない。
テロ勢力との戦況次第では予想したほど原油生産が進まないということも起こりうる。
そのようなときに投機筋が買い戻しに走れば、原油価格急騰、株価下落という可能性もゼロではない。
こうしたリスクを防ぐにはどうすればいいだろうか?
基本的には今回の波乱の原因となった中国経済が安定する必要がある。
そのためには中国政府が財政出動などで実需を伴う景気対策を打ち出すことが求められる。
「中国は来年から新しい5か年計画を迎えることもあり、政策的にも手を打ってくる」(藤井氏)とみられる。
元々先進国の超金融緩和策に寄りかかって拡大してきた世界経済が調整局面を迎えたことがマーケットの動揺を誘った面があるが「こんな時こそ冷静な政策対応が必要」(新村氏)ことを投資家も認識しておく必要がありそうだ。


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