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●新橋〜沼津●
一、汽笛一声新橋を はや我汽車は離れたり
愛宕の山に入りのこる 月を旅路の友とて
五、鶴見 神奈川あとにして ゆけば横浜ステーション
涙を見れば百舟の 煙は空をこがすまで
六、横須賀ゆきは乗替と 呼ばれておるる大船の
次は鎌倉鶴が岡 源氏の古跡や尋ねみん
七、八幡宮の石段に 立てる一木の大鴨脚樹
別当公暁のかくれしと 歴史にあるは此の陰よ
九、北は円覚 建長寺 南は大仏星月夜
片瀬 腰越 江の島も ただ半日の道ぞかし
一一、支線をあとに立ちかえり わたる相模の馬入川
海水浴に名を得たる 大磯みえて波すずし
一二、国府津おるれば電車あり 酒匂 小田原とおからず
箱根八里の山道も あれ見よ雲の間より
一六、三島近年ひらけたる 豆相線路のわかれみち
駅には此の地の名をえたる 官幣大社の宮居あり
一七、沼津の海に聞こえたる 里は牛伏せ我入道
春は花咲く桃のころ 夏はすずしき海のそば
●東田子の浦〜弁天島●
一九、世にも名も高き興津鯛 鐘の音響く清水寺
清水につづく江尻より ゆけば程なき久能山
二〇、三保の松原 田子の浦 さかさにうつる富士の嶺を
波に眺むる舟人は 夏も冬とや思うらん
二三、春咲く花の藤枝も すぎて島田の大井川
むかしは人を肩にのせ わたりし話も夢のあと
●豊橋〜岐阜●
三〇、豊橋おりて乗る汽車は これぞ豊川稲荷道
東海道にてすぐれたる 海のながめは蒲郡
三一、見よや徳川家康の おこりし土地の岡崎を
矢矧の橋に残れるは 藤吉朗のものがたり
三四、名たかき金の鯱は 名古屋の城の光なり
地震のはなしまだ消えぬ 岐阜の鵜飼も見てゆかん
三六、天下の旗は徳川に 帰せしいくさの関が原
草むす屍いまもなお 吹くか胆吹の山おろし
●彦根〜神戸●
三八、彦根に立てる井伊の城 草津にひさぐ姥ケ餅
かわる名所も名物も 旅の徒然のうさはらし
四六、東寺の塔を左にて とまれば七條ステーション
京都 京都とと呼びたつる 駅夫のこえも勇ましや
四八、東に立てる東山 西に聳ゆる嵐山
かれとこれとの麓ゆく 水は加茂川 桂川
四九、祇園 清水 知恩院 吉田 黒谷 真如堂
ながれも清き水上に 君がよまもる加茂の宮
五三、扇おしろい京都紅 また加茂川の鷺しらす
みやげを提げていざ立たん あとに名残は残れども
五七、三府の一の位して 商業繁華の大阪市
豊太閤のきずきたる 城に師団はおかれたり
六二、神戸は五港の一つにて あつまる汽船のかずかずは
海の西より東より 瀬都内がよいも交じったり
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