すけっち

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2014

5月11日 #6 「水晶(みずき)の手」


3月10日、東京・町田市で行われた「東日本大震災チャリティー公演 式町水晶コンサート~心のままに~」(会場:和光大学ポプリホール鶴川/主催:町田市文化・国際交流財団)。ピアノ、ベース、パーカッション、ヴァイオリンの4人のユニットによるコンサートです。開催を呼びかけたのは、ヴァイオリニスト・式町水晶(しきまちみずき)さん(都立山吹高等学校通信科3年生)。彼は、脳性麻痺と闘っています。

1996年10月、未熟な状態で生まれた水晶さん。脳性麻痺と診断されたのは3歳の時。この日から、母・式町啓子さんと共に、障害との闘いが始まりました。
啓子さんは言います。「私たち家族がいなくなっても一人で生きていかれるように、もうそれだけでしたね」と。そして、4歳からヴァイオリンを始めるのですが、それは、「訓練したら指先も動くんじゃないかっていう、直感ですかね。指先は麻痺していたので。不器用というか、持つ力も弱かったですし」という理由からでした。
一方、水晶さんは、「キーっていう音じゃなかったですよ。ちゃんとした音が出て。いい音かどうかは憶えていないんですけど。音がして面白いっていうか。脳にとってもいいみたいですね、指を動かすっていう作業が」と当時を語り、「麻痺もこんなに改善できたのは、ヴィオリンのお蔭です」と啓子さん。

しかし、麻痺の進行に脅える日々は続いています。「中指の調子が悪くて、こう勝手に震えちゃう」と訴え、東京都立北療育医療センターを訪れた式町さん。医師の、「手の指先の感覚がちょっとおかしいとか、細かい動作がし難くなったっていうことだと、首からの問題である可能性はゼロではない。ただ水晶くんはそういう状況ではない。ヴィオリンをやっても勿論いいと思います」との診断に、安堵の笑み。

式町さんは6年前から、ヴィオリニスト中西俊博さんの指導を受けています。
中西さんは、「彼の悩みを一緒に研究していくのがいいかなと思っている。何を弾くかではなく、どう弾くか、楽譜通りではなく自分なりの弾き方を出さないと」と指導し、式町さんは「通常と同じ練習法じゃ全然駄目なんです僕。先生が色々考案してくれて。もし趣味でやるんだったら、逆に弾くことが辛すぎて出来ない」と言う。
麻痺の様子を見ながらのレッスン。式町さんは「根性的なものは、僕も心のどこかにはあったと思うんですけど、多分先生が育ててくれたんだと思います」と話し、中西さんは、「彼があそこまでやっているんだから、自分も頑張れたんだと思う。本当にいっぱい学んだ」と言う。

式町さんは言う、「耳が聴こえない方、目が見えない方、勿論普通の方もそうですけど、色んな人が楽しめる満足して頂ける音楽を作りたい」と。
彼の指は、どんな夢を奏でるだろう。