すけっち

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2014

5月21日 #8 「ぐるぐる」


東京・台東区谷中を拠点として、子どもと大人が一緒になって「あそび」を生み出す創作教室があります。教室の名前は「ぐるぐるミックス」(主催:東京都/東京文化発信プロジェクト室/一般社団法人谷中のおかって)。
子どもも大人も遊びを通じていろいろな人と出会い、出会いの中で他の人との違いに触れ、違いを知る中で自分なりの楽しみを探す。暮らしの中にそんな遊び場をつくりたいと、4歳と5歳の子どもを対象に2011年に始まった「ぐるぐるミックス」。主に幼稚園で活動しています。

教室開催の日、スタッフが集まり、最終の打ち合わせを行ないます。
今日の遊びは、風を集める「風あそび」。ビニール袋を使って“風を集めるもの”を作り、袋に風が集まる感触や、袋が変形する様子を楽しんでもらいたいとスタッフが考えました。
「ぐるぐるミックス」統括ディレクター ・大西健太郎さんは、「子どもたちの遊びを大人が考えて、子どもに伝えようとする時って、凄く考えるんです。難しいことだと思うんです。子どもって、自分と違うものを見ている存在なんだなって見える瞬間があるんです。それは、大人にとって子どもを尊敬するような瞬間でもあったり」と、発見に驚くことも多いと言う。

子どもたちは、風を集めるもの作りに夢中になり、外へ飛び出して風と遊ぶ。その遊び方は無限に湧いてくるようです。それこそ、ぐるぐるミックスが目指すことなのです。
スタッフは言います。「子どもなりに、楽しんでいるみたいなことが見える時があるんです。その瞬間を一緒に共有できるのが凄い面白いなって」と。

お寺の本堂では「かげあそび」。
透明の容器に色を塗って光源にかざしたり、いろいろなかたちで影を作って楽しむ。そんな遊びの提案でしたが、女の子が踊りだし、その影を見ていた子どもは、「踊ってる踊ってる!フラメンコダンサーだけど、自由の女神が踊っている」と、そこにもいくつもの発見がありました。

地域のアーティストや専門職の人たちを招いての教室も、ぐるぐるミックスの特徴のひとつ。
「ケーキつくり~ぐるぐるパーティ~」の日。「谷中のおやつ屋がようし」のパテシエ・野田俊行さん のケーキ作りの技をじっくり見て、子どもたちはケーキの飾り付けをします。約束事は、材料は必要な分だけ使うことと、食べ物を粗末にしないこと。

大西さんは言います。「つい心が躍ってしまうような瞬間を日常に帰っていった時に、その周りの人たちが影響されるのではないかなと思うんです。それが、遊びが生み出すものだと思うんです」と。そして参加した子どもの母親は、「いろんなものに興味がでてきて、家でも、教わったことをもう一回やったりするので、廃材とかをとっておくようになりましたね、私が」とほほ笑む。
遊びには、いろいろな思いが渦巻いています。