スー女に大人気の力士・千代丸 激動の相撲人生に密着

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2018.11.17

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昨今の相撲ブームを牽引する千代丸一樹27歳。体重193キロの千代丸が向かうのは、土俵の上ではなく満員御礼のトークショー。ファン「千代丸たん! カワイイ」。千代丸人気は相撲好き女子、通称"スー女"の間で絶大だ。

土俵の鬼... 元琴欧洲率いる鳴戸部屋「弟子を強くするためなら」

この日、名古屋で行われたイベントでも千代丸は引っ張りだこ。軽妙なトークを披露したかと思いきや、今度はすぐに赤ちゃん抱っこイベント。人気力士は忙しい。

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千代丸を角界に引き上げたのは九重部屋の先代親方、千代の富士だ。人気と実力を兼ね備えた昭和最後の大(だい)横綱。しかし、病には勝てず、2年前、61歳という早すぎる生涯の幕を閉じた。志半ばに倒れた千代の富士の遺志。九重部屋の相撲道は、元大関・千代大海に受け継がれている。

「限界を超えろ」

それが先代親方・千代の富士が残した言葉。親方から伝えることはできる。"超える"か"超えない"か、あとは自分自身との戦い。千代丸は現在、前頭十枚目。愛くるしいキャラクターばかりが取り沙汰されるが、親方は千代丸に自分を超える力を見ている。だからこそ、その視線は厳しい。

九重親方「性根入れてやらんか。楽した相撲とるな」
九重親方「立たせろ!早く起きろ!」

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誰もが通る試練。足を止めれば、成長も止まる。力士にとって師匠は、親代わり。人気と実力を兼ね備えた先代のような力士に育って欲しい。しかし四股を踏まないといけない場面。激しい稽古に疲労困憊した千代丸は、自分の中で限界を作り立ち止まってしまった。親方は千代丸の実力を認めているだけに歯がゆい。九重部屋の相撲道、千代丸は未だ道半ばにいる。

平成3年に鹿児島県に生まれた千代丸。中学は柔道部、地元では敵なしだった。その噂はすぐに広まり、九重部屋の後援会の方が見学に訪れ、ほどなくして先代の九重親方(千代の富士)からスカウトされた。大型新人と期待され鳴り物入りで入門した千代丸。しかし、現実はあまりに残酷だった。

千代丸が入門した翌年、兄を追うように弟・千代鳳も入門。すると千代鳳はわずか4年で十両に昇進。兄・千代丸より先に関取となった。この時、先代の九重親方は千代丸に奮起を促すため、あえて残酷な役目を課す。それは実の弟・千代鳳の付け人。

付け人とは、荷物持ちや着替えの手伝いなど、身の回りの全ての世話をする役目。相撲界は何より番付が優先される世界。千代丸は受け入れ、弟・千代鳳の付け人となった。実の弟に追い越された千代丸。屈辱の時代をこう振り返る。千代丸「やっぱり悔しいというのはありましたね。このままじゃ終われない」。弟の付け人という先代からの無言の叱咤激励に、千代丸は燃えた。

弟が関取になって、およそ1年。平成25年9月、史上17組目の兄弟関取が誕生した。その後、幕内を8場所過ごし三役を目指すも、まさかの十両に陥落。肩の怪我が原因で得意の押し相撲ができなくなったのだ。しかし、怪我の影響で止む無く変えた取り口。これが、吉と出た。

持ち前の太鼓腹を活かした千代丸ならではの「四つ相撲」。去年、名古屋場所で13場所ぶりの幕内復帰を果たした。進化した千代丸は大器の片鱗を見せる。今年の春場所で大関・豪栄道、大関・高安とひと場所で2大関を撃破。人気に実力が、追いついてきた。

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勝負の世界に優しさは必要ないと言う人がいる。けれど千代丸を見ていると、優しい者が勝つ。そんな姿を見たくなる。千代丸は2人の親方の教えを胸に秘め、今日も限界の先を目指す。

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