小さな漁師町 土俵に賭ける青春「新潟県立海洋高校相撲部」

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2018.12.12

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心温まる話を探していたら小さな漁師町の土俵にたどり着いた。

「新潟県立海洋高校相撲部」

優勝を逃したインターハイの直後に取材は始まった。総監督の家は旅館を営み、部員たちはそこを寮代わりにして暮らしている。総監督の奥さんが母親代わりだ。お腹いっぱい食べさせてあげたい。それが母心。

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決して多いとはいえない食費をなんとかやりくりして、少しでも大きく丈夫な体になるよう心を込めて料理を作り続けている。

体育祭がやってきた。水産高校らしく、漁港を会場に仕立て上げ、船で競争をする。愛される生徒たち。特に相撲部員は町きってのアイドルだ。笑いの絶えなかった体育祭。しかし三年生の宮だけは、表情を曇らせていた。

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宮は最近、稽古でも元気がなく、最後の大会となる国体のメンバー入りも赤信号。卒業後の進路をどうするのかずっと悩んでいた。ある夜、寮の部屋を訪ねると、神妙な面持ちでペンを走らせる宮の姿が。

見ると履歴書を書いている。呼出。それが宮の進路希望だった。総監督の動きは早かった。宮の意志を知るとすぐに相撲部屋に連絡、面会の約束を取り付けた。

やってきたのは東京江戸川区の田子ノ浦部屋。受け入れに前向きな返答をもらっている。つまり今日は面接試験。呼出は中学からすぐ入門するのが一般的。高卒というケースは滅多にない。

しかし宮は親方のお眼鏡にかない合格。ただし呼出としてのハードな仕事をこなしていくため課題はダイエット。今160キロ以上ある体重をどこまで落とせるか。

目指す国体が迫ってきた。国体は五人が出場する団体戦のトーナメント。負ければ終わる。だからこそ、一番に賭ける強さが欲しい。ちなみに海洋高校のコーチ二人も現役。成年部門に出場する。三連覇を目指す優勝候補だ。

海洋高校の悩みはキャプテンの中村に続く選手がいないこと。三年生の丸山に期待が掛かるが、今ひとつ勝負強さが足りない。海洋高校の日本一奪還はその教えを出せるかどうかに掛かっている。

夕食はコーチの家にご馳走が並んだ。もちろん料金など取らない。選手たちはすぐにおかわり。お茶碗がお猪口に見える。そんな中、ダイエット中の宮くんは大好きなご飯を我慢してサラダを口に。

涙ぐましい努力。大会前には頭を丸めて気合を入れるのが部の伝統。全員一人残らず5厘刈りに揃える。家族のように過ごす彼ら。しかし三年生にとってはその日々ももうすぐ終わる。

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遂にその日が来た。残念ながら宮は国体の選手に選ばれなかった。派遣されるのは選手だけなので寮で留守番。仲間の勝利を祈りながらダイエットに励む。

アマチュア相撲の頂点を決める国民体育大会。海洋高校はコーチたちが出場する成年の部とのアベック優勝を目指す。予選は完璧、三戦全勝。いよいよ決勝トーナメントへ。

しかし...結果は決勝トーナメント初戦敗退。想像もしない結末だった。

三年生はある者は大学へ、ある者は社会へと、別々の道に進む。でも相撲人生はまだ終わりじゃない。それを結果で示してくれたのは先輩たちだった。

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成年の部、決勝戦。海洋高校OBチームの新潟県は見事に国体三連覇を達成した。仕事をしながら稽古に精進した先輩たち。人間はいつまでだって成長できる。三連覇を果たした先輩たちはそう教えてくれた。

一方、人生初のダイエットに挑んだ体重160キロオーバーの宮。糖質を控え、ゆっくり食べることを続けてきたその結果は?

「148.8キロ!」

土俵に賭ける青春。来年は一体どんな生徒と会えるのだろう?

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