逆転優勝の紀平梨花 専属トレーナーが明かす強さの新事実とは

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2019.2.10

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紀平梨花 写真:AP/アフロ

 9日(現地時間8日)、フィギュアスケート世界選手権の前哨戦、四大陸選手権<アメリカ・アナハイム>女子フリースケーティング(FS)。大会前、左手薬指に怪我を負った紀平梨花(16=関大KFSC)、ショートプログラム(SP)は5位と出遅れたグランプリファイナルの女王が逆転優勝に向けてFSに挑んだ

 今季シニアデビューを果たした16歳の紀平。初戦でいきなり優勝を飾ると、GPシリーズでは2連勝。シニア戦負けなしで臨んだグランプリファイナルでも平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(ロシア)を抑えて初出場で初優勝の快挙を成し遂げた。

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 世界に衝撃を与えた紀平の2019年はアメリカ・コロラド合宿(1月16日~)から。かつてバンクーバー五輪金メダリストのキム ヨナ(韓国)らも教えた振り付け師のもとで演技を磨いた。


紀平梨花
「(四大陸選手権は)今の状態だと自己ベストも可能だと思うので自己ベストを更新できたら良いなと思っています」

絶好調で大会に臨む紀平に世界も注目した。

海外のスポーツジャーナリスト
「芸術面、技術面をうまくブレンドさせて素晴らしいスケートをする。完成されたスケーター」

海外のスポーツライター
「全体的に整っていて、現在唯一ロシア選手を倒せるスケーターだと思う」

しかし、大会2日前の公式練習中に転倒し、左手薬指の亜脱臼と診断された。

紀平梨花
「この状態でもなんとか頑張ります」

怪我の中挑んだSPでは代名詞でもある冒頭のトリプルアクセルを失敗。ここで得点(68.85点)を伸ばせず5位スタートとなった。


やはり怪我の影響はあったのか?

 3年前から紀平の専属トレーナーをしている橋本大侍氏は「指が痛いというよりは、使いづらいって言っていました。ジャンプの時に指を曲げるんですけど曲げなかったら、ちょっと、やっぱり体が開きやすいということは言ってました」と話した。

 それでも紀平は前向きだったと言い「怪我したから、やりづらいとかは口にしていないので、怪我したからこそ、怪我したなりのやり方で前向きにやろうと話しています」と語った。

 国内外問わず大会にはできるだけ帯同している橋本トレーナー。そんな橋本トレーナーだからこそ知っている紀平の強さの秘密を明かした。

橋本トレーナー「筋肉の質。日本人の中では群を抜いていると思います。僕が思うにはサッカー選手に似ています。すごく」


サッカー選手に似ているとはどういうことなのか?

橋本トレーナー「僕が思うには、腿には遅筋と速筋って筋肉が2種類あるんですけど、両方の筋肉がうまくバランスよくある感じです。サッカー選手ってそうなんですよ。どっちも大事なんで。体力もいるし、瞬発力もいるし」

「遅筋」とは大きな力を出すことはできないが持続的に力を発揮する筋肉繊維。一方「速筋」は瞬発力に優れるものの疲れやすいのが特徴。

この二つの筋肉がバランスよく備わっている紀平は後半でも質の高いジャンプが跳べるのだと橋本トレーナーはいう。さらに紀平を治療している際に体への研ぎ澄まされた感覚に驚いたという。

橋本トレーナー「1つの筋肉に対して大概は、普通の選手って1つしか言わないんですよ。ここが痛いとか、あの子は1つの筋肉に対して細かく3つくらい言うんですよ。この繊維。ここら辺。ちょっと右。みたいな。ミリ単位です。すごい特徴的ですね。一見ネガティブとか、細かすぎるとか思われる方もいらっしゃると思うんですけど、どちらかと言うとそれだけこだわるからこそ、良いパフォーマンスができるんだと思います」

「ジュニア時代は、あんまりう考えてなかったですよ(笑)。シニア上がってからですね。世界一を目指すということで変わりましたね」

目標は3年後の(2022年)北京オリンピックで金メダリストになること。可愛らしい笑顔とストイックな紀平。FS前の午前に行われた練習でSPでの失敗はすでに修正したという。

「ジャンプの時の手の位置を変えるって言っていましたね。微妙な差ですけど。普通であれば真っ直ぐだけど、ちょっとクロスするとか、そういうことは言っていました」と話す橋本トレーナー。

FSの構成を見てみると3回転ジャンプを8本入れた強気の構成。その中にはSPで失敗したトリプルアクセルも含まれていた。

そして、左手薬指に怪我を負いながらFSに挑んだ紀平。

演技冒頭のトリプルアクセルを完璧に着氷。

紀平「回転が全て遅くなるという傾向が怪我があってから感じていたので、跳び方の意識を変えていて、いつもは真ん中に寄せてくるんですけど、右のほうに寄せる意識を。今日の朝練から変えました」

その日の練習で修正し、本番で成功させる。天才的な技術を見せた16歳はステップもスピンも完璧な演技を披露。

トリプルアクセルは一回だけに留めたが全てのジャンプを成功させ、ノーミスの完璧な演技で153.14点の高得点をマークして合計221.99点で初出場逆転初優勝を果たした。グランプリファイナルに続き国際大会5勝目(5戦5勝)を挙げた。

試合後に紀平は「何点出るかなっていう予想をし忘れていて、お願い。高い点数が出ますようにって思っていたんですけど。(点数が)出てどんな演技だったか考えて、あっ 割と出てる と思って(笑)。153点ってすごい高いじゃん!って思って、ちょっと遅れて何ですけど、嬉しかったです。今まで頑張ってきた自信はあったから良かったかなと思います」と話した。

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紀平梨花 写真:千葉格/アフロ

四大陸選手権
順位 名前 合計点(FS/SP)

1.紀平梨花 221.99 (153.14/68.85)
2.エリザヴェート・トゥルシンバエワ 207.46(139.37/68.09)
3.三原舞依 207.12(141.97/65.15)
4.坂本花織 206.79(133.43/73.36)
5.ブラディー・テネル 202.07(128.16/73.91)
6.マライア・ベル 193.94(123.92/70.02)
7.イム・ウンス 191.85(122.71/69.14)
8.キム・イェリム 187.93(123.51/64.42)
9.ヴェロニク・マレ 170.46(115.49/54.97)
10.ラーキン・オーストマン 165.21(110.22/54.99)
11.ティン・ツゥイ 164.84(98.11/66.73)
12.イー・クリスティ・レオン 164.79(110.86/53.93)
13.キム・ハヌル 162.48(111.04/51.44)
14.ホンジー・チェン 150.50(96.06/54.44)
15.カイラニ・クレイン 149.52(88.88/60.64)
16.アレイン・チャートランド 147.54(101.65/45.89)
17.イサドラ・ウィリアムズ 138.26(90.34/47.92)
18.アリソン・クリステル・ペルティケト 136.97(85.31/51.66)
19.エイミー・リン 134.56(87.57/46.99)
20.アンドレア・モンテシノス・カントゥ 124.51(81.59/42.92)
21.ジョアンナ・ソー 117.82(67.82/50.00)
棄権.ブルックリー・ハン(棄権/54.22)