一ノ瀬メイ、西田杏 2人のパラスイマー 東京五輪出場を見据えて

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2019.3.22

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一ノ瀬メイ、21歳。

4種目の日本記録を持つ女子大生パラスイマーだ。来たる東京五輪で自由形を始めとする複数のメダルをその目に見据えている。父がイギリス人、母が日本人。

彼女は生まれつきの体を隠さない。水泳は1歳半で始めた。13歳でアジア大会銀メダル、18歳でリオパラリンピックにも出た。リオの後には挫折もあった。結果を残せず、強化指定選手から外された。

そして去年6月、迎えたリベンジの舞台。この大会で好記録を出せば強化指定選手に復帰できる。一ノ瀬は3種目にエントリーし、100メートル背泳ぎで自己ベストを更新するなど、見事な成績を収め、強化指定選手の座を取り戻した。

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障害ってなんだろう?そう思わせてくれるヒロインをもう一人紹介しよう。一ノ瀬は近畿大学の四年生だがこちらも同学年。西田杏は東京学芸大学に通う。

あだ名はアンコロ。ジャニーズのNEWSを愛する22歳。一ノ瀬とは障害の程度が違うため、同じレースには出ることはないものの、高校時代から日本代表で切磋琢磨して成長してきた。

目指すはパラリンピックと前々から決めていた。高校2年のアジアユースでは金と銀、2個のメダルを獲得。翌年、得意のバタフライで念願の日本一に。順調だった。それなのに...

100メートルバタフライの世界ランクは一昨年5位まで上がりメダルが見えた。そう思った矢先、予想だにしていなかった大きな壁が立ちはだかる。それは突然のルール改正。

今まで西田は右手だけを使う片手泳法でバタフライを泳いでいた。片手泳法は決して珍しくない泳ぎ方だ。ところが去年1月、何の前触れもなく、片手泳法が禁止されてしまったのだ。今までの泳ぎ方だと失格。激変したルールは、彼女の良さを奪い去るものだった。

でもルールはルール。彼女は片手泳法をあきらめ、両手で泳ぎ始める。その結果、陥った大スランプ。短い右腕を無理に動かすことでリズムが崩れ、ぎこちない動きになってしまった。フォームの改造に一体どれだけ時間が掛かるのか。

苦難はそれだけではない。大学4年生の西田には就職活動というもう一つの戦いもあった。面接に飛び回ったが、内定通知はまだ届いていない。パラアスリートの就職は実績や将来性に左右される。

西田は三年前、リオパラリンピックへの出場を逃した。就職に結びつく実績はまだない。就活に不安を抱えたままの去年9月。パラスイマー日本一を決めるジャパンパラがやってきた。

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そこで同級生の一ノ瀬メイは見事な泳ぎを見せる。自由形で日本新記録、他の2種目でも大会記録を打ち立てる。卒業後の進路も、母校の大学職員に決まっていた。

一方の西田、ルールが改正されたバタフライは出場を回避し、もうひとつの得意種目・自由形に勝負を賭けたが自己ベストにすら及ばないタイムに終わった。

胸をよぎるリオの代表争い。あんな悔しい思いは二度としたくない。悩んだ時には、動いてみる。この日は東京・代官山にやって来た。その目的は新たなトレーニング。トレーナーの森川さんは箱根駅伝の出場ランナーなども手掛ける体作りの専門家。西田のサポートを無償で引き受けてくれた。

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西田は得意種目のバタフライを諦めたわけではなかった。ルール改正に対応するために特訓を始めていたのだ。課題と向き合い、努力する。アスリートのその姿に健常者も障害者もない。

東京へ。今年初の公式戦は世界選手権の代表選考を兼ねた大会。

西田はルール改正後、初めてバタフライにエントリーした。狙うは自己ベストの先、41秒台。ルール改正から1年。取り組んできたフォームの改造の成果は?

西田のタイムはなんと39秒台!東京への道がはっきりと見えた瞬間だった。課題を見つけ、努力を重ねて乗り越える。その喜びは、アスリートのもの。彼女はそれをつかみとった。

さらなる朗報も届いた。4月から三菱商事の支援を受け、事実上のプロになる。ここからが正念場。代表争いは、来年3月まで続く。

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