Jリーグ・新人王「カレン・ロバート」ビッグクラブへの移籍を夢描いたサッカー人生

サッカー

2019.5.11

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サッカー日本代表(U23)2004年 カレン・ロバート 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

今から15年前に行われた天皇杯3回戦。


Jリーグ王者の横浜Fマリノスと市立船橋高校サッカー部が激突したこの試合で、伝説を作った男がいる。それが「カレン・ロバート

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生まれ故郷は茨城県土浦市。北アイルランド人の父と日本人の母の間に生まれた。幼い頃は二重国籍だったが後に自分で日本国籍を選んだ。小学生の頃は柏レイソルのジュニアチームでプレーし全国優勝も経験。高校は名門・市立船橋へとすすみ、二度の全国優勝を果たし超高校級プレーヤーとして注目され、鳴り物入りでジュビロ磐田へ。

Jリーグ二年目には13ゴールを挙げ、新人王を獲得。そして今、33歳になったカレン・ロバートはイギリス・イングランドにある7部リーグでアマチュアと一緒にプレーしていた。

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そこまで身を落としたのかと日本のメディアは驚きを隠せなかった。暮らしぶりを知りたいという打診を、彼は断らなかった。

移動は公共バスでクラブまで2時間。なぜかと言えば安いからだ。現在の月収はおよそ15万円なので節約を心掛けている。片道2時間かけて到着したクラブハウスはお世辞にも綺麗とは言えない。シャワーはお湯が出ないそう。これが7部の現実。

プレミアリーグを頂点にした巨大な実力ピラミッド。プロアマ混合の7部リーグはちょうど真ん中のあたり。サッカー発祥の地、イングランドには驚くべきことに24部までリーグがあるのだ。

そんな7部の選手たちの希望を繋いでいるのがFAカップの存在。FAカップとはプロアマ両方が参加できるカップ戦。下位のクラブは目の色を変えて上位に挑む。そこでの活躍が移籍に直結するからだ。

カレンの野望もそこにあった。チームはあと一つ勝てば予選を通過し本戦に出場できる。過酷なサバイバル生活を送るカレンの一番の癒しは...

実は現在、妻子を日本に残しての単身赴任。息子は6歳になるが海外を渡り歩く生活が長く、共に過ごせた時間はひどく短い。

25歳でオランダへ渡ったカレン。そこを足がかりに、さらなるビッグクラブへの移籍を夢描いていた。しかしそこで道を踏み外してしまう。イングランドへの移籍を望んだが、代理人が話をまとめられず、行き先を失う。

結果、レベルの低いタイに移籍。

その後も韓国、インドとレベルが高いとは言えない国を転々とした。選手としての旬の時期は無駄に過ぎ、そのうえで駄目押しのように最悪の事件が起きる。信じて任せていた代理人に騙されるという前代未聞の出来事。決まっていると聞かされていた移籍話は全て嘘だった。

そこから1年間、プロとして致命的な空白。ステップアップの道はこれで閉ざされた。

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しかし、そこから始まった別の挑戦がある。千葉県のサッカークラブ、ローヴァーズ。カレンはそのオーナーだ。ローヴァーとはさすらう人の意味。カレンの人生にも通じる。木更津市にあるこの練習場はタイで受け取った4千万円を投じて作った。設立5年目を迎えるローヴァーズ。

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手塩に掛けるこのクラブから将来Jリーガーが巣立つことをカレンは夢見ている。高校サッカー最大の伝説の一人、カレン・ロバート。33歳になった男は今、少年たちに背中を見せるために現役を続けている。

そして迎えた大一番。

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FAカップ、予選最終戦。勝ち抜いて本戦に進めば上位クラブにアピールするチャンスが大きく広がる。そこから移籍をつかんで選手としてもう一花咲かせたい。相手は格下、8部のクラブ。しかし苦戦を強いら、カレンは得点に絡むことができずチームも敗戦。目の前にあった希望の火は、はかなくも消えてしまった。

上を目指すサッカーはついに終わった。

カレンはクラブからの退団を決める。これからはローヴァーズのオーナーとして生きるつもりだ。

まだまだ駆け出しのクラブだからやるべきことは山ほどある。

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