格闘家だってノリノリで踊りたい!タイ人の女子スター候補生の素顔

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2019.6.6

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 立ち技最強の格闘技ムエタイの本場タイで女子選手の地位は極端に低い。大相撲の殿堂・東京・両国国技館の土俵が女子禁制と同様に、ムエタイの二大殿堂といわれるルンピニーとラジャダムナンの両スタジアムも女子が上がることは禁じられている。

 筆者は、かつてリングサイドで観戦していた欧米の女性客が酔っぱらってエプロンまで上がって写真を撮ろうとしてスタジアムの関係者から引きずり下ろされた場面に出くわしたことがある。

 よって女子のムエタイ選手が出場できるリングは二大スタジアム以外となる。かつて女子ムエタイが盛んに行われていたバンコク郊外のオームノイスタジアムにはリングがふたつ用意されていた。ひとつは男子、もうひとつは女子用に使われていたのだ(※現在はひとつになっている)。

 そうした中、すでにONEで2本のチャンピオンベルトを獲得しているスタンプ・フェアテックスは希望の星になりつつある。

昨年10月のバンコク大会では日本ではキル・ビーのリングネームで闘っていたチョン・カイティン(台湾)が保持していたキックボクシングルールのONE世界アトム級王座を奪取。その勢いで今年2月のシンガポール大会では米国と日本のハーフであるジャネット・トッド(米国)とムエタイルールの同級世界王座を争い勝利を収めた。

 これでスタンプはONE史上初の同階級でふたつのベルトコレクターとなったが、トッドとの試合後には意外な事実を打ち明けた。

「正直、自分が勝てるとは思っていませんでした。まだ実感が湧きません」

 素顔は幼さが残る21歳ながら、この一戦はシンガポール大会のメインイベントとして組まれた。それだけでも主催者がいかにスタンプに期待しているかが伝わってくるではないか。スタンプも「大変光栄に思う」と振り返る。「男女混合イベントで女子がメインを張るということはそれだけでもすごいと自覚しています」

 スタンプの挑戦は立ち技だけにとどまらない。昨年7月にはアジアの人材発掘と育成を目的にした「ONE Warriors Series」でMMA(総合格闘技)にも挑戦。スタンプは1Rわずか19秒でTKO勝利を飾っている。

「もともと私はMMAをやるためにONEから声をかけられた。でも、キックやムエタイに挑戦するチャンスをもらったので、そこは譲らないでチャンスを掴みました。今後はMMAもできるように寝技の練習もしています」

 6月15日、中国・上海で開催の『ONE Championship LEGENDARY QUEST』でスタンプは再びメインイベントに抜擢。アルマ・ユニク(オーストラリア)を挑戦者に迎え、ムエタイ王座の初防衛戦に臨む。ユニクはWBCムエタイ世界女子バンタム級王者なので、現役世界王者同士のタイトルマッチということになる。

 それでも、スタンプはタイ人。多くの男子の同胞と同じように、こんなことを口にした。「誰とでもオファーがあったら、私は闘う準備をするだけです」

 ONE Championshipは、女子選手にも男子選手と同じようにチャンスを与えることを理念とする。上海でもK-POPをBGMに、スタンプはノリノリのダンスを披露しながら大観衆を熱狂の渦に巻き込むのか。

文=スポーツライター 布施鋼治

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