「大坂なおみ」シンデレラから永く人々の憧れとなる真の女王へ

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2019.6.20

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大坂なおみ 写真:アフロ

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

全仏オープン。グランドスラム三連覇を狙う大坂なおみは初戦で追い込まれる。第1セットを0-6で落とし、第2セットもタイブレークの崖っぷちからミスが出る。その時だった。彼女が笑ったのは。

この笑顔にこそ成長の秘密は隠されていた。

1年前に時間を戻そう。当時20歳で世界ランク20位だった大坂の全仏3回戦。ミスをしては表情を曇らせる。

そんな場面が何度も繰り返される。ミスをすると自分に苛立つ悪い癖が彼女にはあった。だがそこから半年ほどの間に全米・全豪と立て続けに優勝。世界ランクも1位にまで登り詰めた。

日本人初の快挙は彼女を時の人にする。生まれたシンデレラ。そこにはどんな魔法があったのか。

大阪に生まれた大坂なおみ。母は日本人、父はアメリカ人。3歳でアメリカに移住し、姉の影響でテニスを始めた。北海道で漁師をする祖父は思い出をこう語る。

祖父「無口で静か。よく泣いていたが優しい子」

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15歳でプロ転向。子供の頃から対戦を夢見る選手がいた。それはセレナ・ウィリアムズ。グランドスラムを23回に渡って制した歴史的女王。その圧倒的な強さを、大坂は見て育った。

大坂の心を突き動かした決定的な出来事があった。2001年、試合会場に巻き起こった凄まじいブーイング。その渦中にいたのがセレナだった。準決勝の対戦相手だった姉、ヴィーナスが怪我を理由に棄権。それがセレナを勝たせるためと疑われたのだ。

セレナはこの大会で優勝したが、ブーイングは表彰式まで続いた。その後、彼女は13年間に渡って、大会をボイコットすることになる。大坂は8歳の時にその試合のビデオを観た。そして決めた。

「セレナのような選手になる」

無垢な憧れは出会いも好転させる。大坂の周りに、セレナにちなむスペシャリストが集まって来た。まずはフィジカルコーチ。アブドゥル・シラーはセレナを3年間指導した実績を持つ。

もう一人のキーマンは、サーシャ・バイン。8年に渡ってセレナのヒッティングパートナーを務めた彼は一昨年、大坂のコーチになった。すると、彼らが真っ先に取り組んだのがメンタルコントロール。ミスをしても落ち込むな。次は大丈夫と前を向こう。そう諭した。

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そして成果は現れる。去年9月、全米オープン。大坂なおみは幼き日から憧れ続けた女王と決勝で戦った。女王セレナは強かった。しかし、試合をより楽しんだのは、大坂だった。この日、大坂なおみは日本人で初めて四大大会のチャンピオンになった。

物語は続く。なんと今年の全豪でも優勝。全米オープンに続く四大大会2連勝で、日本勢初の世界ランキング1位となった。

選手としての進化に引っ張られるように人としての成長も遂げていた。インスタグラムに綴った長文のメッセージが、その証。

「最近、多くの親御さん達から自分の子供が私を見習っていると言われ、びっくりしました。すごく驚いて、大きな責任も感じました。なぜならお手本である人が、どのくらい大切かということを分かっているからです。テニスのことだけじゃない。次の時代のために何か感化するっていうこと。思い始めたのは私が子供の時に「夢は大きく、自分の夢に向かって進め」と、励ましてくれた人達のことでした。8歳のとき、ボロボロの公営コートで練習してたのは昨日の様。で実際、今、私が子供達を励ませる立場であることは本当に凄い光栄です」

迎えた全仏。

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残念ながらグランドスラム三連覇とはならなかった。

しかしミスをした自分を責めてしまうかつての大坂はもういなかった。世界の子供たちが自分を見ている。そう思ったら自然に前を向けた。

近い将来、彼女はシンデレラではなくなる。時間がたったら魔法がとけてしまうシンデレラではなく、永く人々の憧れとなる真の女王と、きっと呼ばれる日がくるだろう。


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