【相撲】自分を育ててくれた母と故郷を強く照らす、照強翔輝の強い思い

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2019.9.27

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そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

総武線錦糸町駅から徒歩8分。東京・江東区にある伊勢ケ浜部屋には現在19人の力士がいる。親方は第63代横綱、旭富士。

厳しい稽古で有名な伊勢ケ浜部屋の中で、勢いのある若武者がいる。照強翔輝(てるつよし しょうき)、24歳。

身長169cm、体重は幕内で3番目に軽い120キロ。照強は1995年、阪神淡路大震災の当日に生まれた。苦難に負けない子供は力強い産声を挙げると、母曰く「とにかくやんちゃ」にすくすくと育っていった。だが心の奥には優しさも。愛犬は片目に障害を持っている。この犬を見つけた時には、飼うのを反対する母にこう怒ったという。「そんな子ほどもらって大事にせなあかん!」

小学4年生の時、飛び入り参加した相撲大会で運命が変わった。初めて出た大会で2位。それが悔しくて悔しくて。やんちゃな少年にうってつけの世界。これしかないと中学を出て、すぐに入門。被災したふるさとを照らしたい。だから、しこ名は照強。増量に苦しみながらも死ぬ気で稽古を続け、8年目、22歳で十両に昇進。そして今年3月、ついに初入幕を果たした。

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カメラは力士たちのグアム慰安旅行にもお邪魔した。南の島、青い空と青い海に浴衣とちょんまげの伊勢ケ濱部屋ご一行様。島育ちだから、潜りはお手の物。シュノーケリングで大好きな魚とたわむれた。さらに付け人を引き連れブランドショップに繰り出しお買い物。買った財布のお値段、なんと60万円。幕下までは給料なし。それが相撲界。しかし十両から上は月給100万円以上が支給される。必死で稽古をして豪快にお買い物、若い衆に自分の背中を見せたい照強の心意気なのだ。

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話を7月の名古屋場所に戻そう。場所が始まる前、伊勢ヶ濱部屋は大阪で合宿を行なった。照強はそこで、ある特訓を積む。幕内に上がって2場所連続の負け越し。その理由がわかっていたからだ。以前の立会いでは、猫だましなど相手の意表をついていた。だが、その限界を親方は見抜いていた。幕内だから立会いをごまかしてあたるのではなくて正面からしっかり押し込んでその流れで相撲を取って欲しい。ごまかして勝っても、次は研究され通用しないというのだ。

6月、名古屋場所直前の立会いの特訓。正面からぶつかっていくことを照強は決めていた。

迎えた7月場所。正面からぶつかり、真っ向勝負を続ける照強。終わってみれば幕下16枚目が優勝争いを演じ12勝の大活躍。しかも、そのうち10勝が押し出しだった。

千秋楽を終えるとその夜、深夜に淡路島の実家へ。場所中に亡くなった親戚に線香をあげ、地元後援会にあいさつに出向くなどスケジュールはびっしり。働く母を横目に地元の行事へと向かう。嬉しかったのは、土俵での活躍が認められて地元、南あわじ市のふるさと応援大使に任命されたこと。自分が中学を出るまで母は女手ひとつ育ててくれた。
やんちゃで母を手こずらせた自分がささやかだが、恩返しできた。

一方、母の息子への思いは...
母「(相撲中継は)もう見ないです。ハラハラドキドキしすぎて見られないです。」
いつまでたっても母にとっては可愛い息子なのだ。
             
そして迎えた秋場所、前頭九枚目の照強は残念ながら4勝11敗と大きく負け越した。しかし照強はすぐに前を向く。
自分を育ててくれた母と故郷を強く照らしたい。その強い思いは決して折れることはない。

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