“チアリーダー”と”チアガール”は違う!? Bリーグ チア指導者が語るアツい想い

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2019.10.11

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試合開始およそ6時間前から激しいリハーサルを繰り返すB-ROSE。彼女たちの取り組みは選手に負けず劣らずプロフェッショナルだ/B-CORSAIRS

B1に所属する横浜ビー・コルセアーズのチアリーダーズである「B‐ROSE」。彼女たちをディレクターとして指導する植村綾子さんの熱い想いに迫った。

「チアリーダーを夢のある職業にしたい」Bリーグ チア指導者が語るアツい想い

チアリーダーが大切にする"チアスピリット"

「"チアリーダー"と"チアガール"は違うんですよ」(植村さん)

ひと昔前の世代の人たちは、笑顔で明るく応援する「チアガール」と混同しがちだが、チアガールは和製英語で、チアリーディング先進国のアメリカでは通じない。植村さんも「笑顔で明るく応援する"だけ"では、チアリーダーと呼べません」と話す。「チアリーダーは、チアスピリットを大切にしています。これは、人を励ます気持ちや思いやる気持ち、前向きさ、お互いを尊敬する協調性などを指し、チアスピリットがないと、どれだけパフォーマンスを頑張ったところで、思いは選手や観客には届きません。チアスピリットは、ダンスの能力やステキな衣装以上に、なくてはならないものなのです」

さらに植村さんは、チアスピリットがチアリーダーだけのものでもないことを強調する。

「たとえば家族を『行ってらっしゃい』と送り出したり、友達に『元気ないね。どうしたの?』と声をかけることも、チアだと思っています。踊らなくても女性でなくても、気持ちの持ち方ひとつで、誰もが誰かのチアリーダーになれるわけです」

植村さん自身が、チアの力を改めて感じた出来事がある。妊娠し、大事を取って入院した際、外出許可が出たので、指導するプロバスケットボールチーム、横浜ビー・コルセアーズのチアリーダーズ「B-ROSE」の練習を観に行った。

「ドアを開けた瞬間、メンバーが笑顔で健康的に踊っている姿から、みんなの溢れ出るエナジーを感じました。初めて私自身がチアに励まされ、こうして気持ちがナイーブになっている人を元気づけることができるチアは本当にすごいと再確認できました」

「笑顔あふれる豊かな社会に」を理念とするプロフェッショナルチアリーディング協会、そして、そこでディレクターを務める植村さんは、そんな社会を目指してチアリーダーを育成し、チアスピリットを広めることをミッションとしている。

本場アメリカのチアリーディング

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B-CORSAIRS/T.Osawa

チアリーディングの本場アメリカでは、生まれてきて子どもが最初に手にするボールがアメフト用の楕円形のボールと言われている。それほどアメリカンフットボールが根づき、男の子だったらNFLの選手に、女の子ならNFL各チームが抱えるチアリーダーに憧れる。「応援」から生まれたチアリーディングの歴史は、優に100年を超えるのだ。

「アメリカにおけるチアリーダーのステイタスは、日本では考えられないほどに高いものです。とくにNFLやNBAの各チームが新シーズン開幕前に行うチアリーディングチームのオーディションには、30人前後しか席がないメンバー入りを目指して、800人とか1000人という人たちが集まることもあります」

アメリカのプロチアリーダーたちは、厳しい難関を突破してきただけに、ダンスの能力が高いのはもちろん、容姿端麗だったり、素晴らしい人間性を持っていたりする。人として一流でなければ、プロのチアリーダーにはなれないという土壌がある。そういう点では、日本のチアリーディングはまだまだアメリカに及ばない。ただ、日本人には、器用で努力を惜しまない特性があるため、ダンススキルではアメリカに対しても十分に勝負できるという。

「実際、高校や大学のチアリーディング部やチアダンスのチームが、世界大会や全米の大会で優勝しています。また、最近は"アジアンビューティー"を武器にして、NFLやNBAのチアリーディングチームで活躍する日本人も増えてきています」

そのような日本人チアリーダーの存在が日本国内でもっと広く知られ、認知されるようになると、日本のチアリーディングが本場アメリカにより近づくに違いない。

これからのチアリーディングへの期待

植村さんは、今後のチアリーディング界に対して、「日本全体のスポーツエンターテインメントの楽しみ方が向上し、たくさんの観客の前でチアリーダーたちが存分に舞うこと」を望んでいる。

プロバスケットボールのBリーグは、2016年の開幕から4シーズン目を迎え、日本では屋内スポーツエンターテインメントの最高峰として、盛り上がりつつある。だが、「もっとたくさんの方に楽しみ方を知っていただき、選手、チアリーダー、観客が作り出す一体感の中で、本物のプロスポーツとプロのエンターテインメントであるチアリーダーが織りなす景色を見てみたい」と、輝ける未来に思いを馳せる。

それを実現するためには、子どもや若いチアリーダーたちに、「BリーグやXリーグのチアリーディングチームに入って踊りたい」「B-ROSEのメンバーになりたい」と思ってもらわなければならない。そこは今、チアリーディング界を引っ張るチアリーダーや植村さんのような現場に携わっている人たちの努力にかかってくるだろう。

「夢や憧れを抱いて海外から日本のチアローダーズオーディションを受けに来てくれるようになったら最高ですね」と植村さん。これからもチアリーディングを通して、世の中の人々を笑顔であふれさせていくつもりだ。

植村綾子 プロフィール
一般社団法人プロフェッショナルチアリーディング協会ディレクター、横浜ビー・コルセアーズチアリーダーズ「B-ROSE」プロデューサー兼ディレクター。
3歳から始めたモダンバレエ、新体操の経験を活かして、大学ではチアリーディング部などに所属。卒業後は、日本社会人アメリカンフットボールXリーグのチアリーダーとして活躍。「NFAチアリーダーズ・オブ・ザ・イヤー」を四度受賞に導く。現在は、豊富な経験を活かし、プロチア協会ディレクターとして、複数のチアリーディングチームをディレクション。バスケットボール日本代表オフィシャルチアリーダーズ AKATSUKI VENUS(R) presented by PASONAの指導にもあたっている。また「B-ROSE」のプロデューサー兼ディレクターとしては、後進の育成にも尽力。3児のママとしても奮闘中。