湘南ベルマーレ J1残留を支えた芝生のプロフェッショナル

サッカー

2019.12.14

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12月14日、J1参入プレーオフ決定戦、J1湘南ベルマーレはJ2徳島ヴォルティスと引き分けJ1残留を決めた。サポーター1万3800人が歓喜に包まれたその1時間後、静寂に戻ったスタジアムで芝生を整備する1人の姿があった。

彼は「とにかくホッした」と胸をなでおろした。

湘南造園株式会社 佐藤光さん。湘南ベルマーレのチーム創設からグラウンド管理を務め、Jリーグベストピッチ賞を受賞するなど歴史と実績のある造園会社だ。

佐藤さんは現在39歳、2009年に湘南造園に入社して以来、サッカーグラウンドのキーパーを担当、今はベルマーレのホーム、Shonan BMWスタジアム平塚のヘッドグラウンドキーパーを務めている。

グラウンドに熱い情熱を注いでるプロフェッショナルである。

グラウンドキーパーは、選手がプレーをしやすく、怪我をしない、ベストなコンディションにグラウンドを整えるのが仕事だ。芝生の種まきや水撒き、芝刈りと言った一連の管理作業に加えて、プレーしやすい芝の長さなど選手やスタッフと情報を共有しながら、勝利につながる芝生を細部にわたって作っていくことが求められる。

その上で、佐藤さんがもっともこだわっているのは見た目の美しさだと言う。プレーする選手だけでなく、スタンドから見るサポーターにもその美しいグラウンドの緑を楽しんで欲しい、そんな強い想いがこめられている。

今年10月、佐藤さんに絶対絶命のピンチが訪れた。台風19号の豪雨でベルマーレの練習場が水没してしまい使用できなくなってしまったのだ。

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残留争いが佳境の最中、練習場を失ったチームは試合会場のBMWスタジアムで日々、練習を行うことになった。選手にとっては、ホームスタジアムで練習できることは良いことだが、グラウンドキーパーにとっては、すごく難しい仕事が求められた。

日々の練習でピッチの芝が消耗してボロボロの状況になっていたのだ。

その状況を想定して事前から動き始めていたのが佐藤さんだった。今季のリーグ戦のホーム最終戦、残留に向けた大一番まで時間はなかった。消耗して痛んだ芝を部分的に植え替えるため、別の場所に新たな芝を育成していた。

台風の被害を受けてからすぐに対応したプロフェッショナルな判断だった。グラウンド全体に及ぶおよそ1500ヶ所もの部分を新しく育った芝生に埋め変えた。

およそ10日間をかけて最高のコンディションに仕上げたのだ。しかも、プレーする者にとってだけでなく、見るの者にとっても美しい芝生に。

「やることはやった」と充実の表情を浮かべて、そう語った。

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残留を決めた今日の試合後、芝生の整備を行なっていた佐藤さんは、大一番を乗り越えてくれたグラウンドの芝生に対して「本当によく頑張った」と感謝の気持ちでねぎらった。

湘南ベルマーレのサッカースタイルは選手たちがスピードに乗って走るサッカー、そんなサッカーを見るのが楽しみでサポーターはスタジアムに足を運んでいる。その両者をつないでいるのが、ホームスタジアムのグラウンドだ。

隅々まで均一に短く刈り込まれ、美しく濃い緑のグラウンドにするために、湘南ベルマーレのシーズンが終了したその日から佐藤さんの仕事は始まっていた。


その日、人生が変わった ~サッカーがくれた未来~
テレビ東京:12月15日(日)午後4時 放送

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サッカーと出会い人生が変わった人々のヒューマンドキュメンタリー。
選手のためにピッチを守るグラウンドキーパー、街とクラブの発展のために組織を改革した市役所の熱血課長などサッカーに人生をかけている熱い人々を紹介する4つの物語。

出演者
【登場人物】
佐藤光(湘南ベルマーレグラウンドキーパー)
渡辺直樹(調布市役所)
近藤碧(アンプティサッカー日本代表)
米田惠美(Jリーグ理事)

【ゲスト出演】
杉本健勇(浦和レッズ)
石川直宏(FC東京クラブコミニュケーター)
巻誠一郎(元日本代表)