名門・桐光サッカー部女子マネージャー 父娘で戦った3年間

サッカー

2020.1.19

自宅で第98回全国高校サッカー選手権のテレビ中継を見る一人の女子高校生。

「あまり見たくないですね。出たかったです」

彼女は鈴木美南(みなみ)さん、高校3年生。神奈川県の桐光学園サッカー部のマネージャーだ。

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桐光学園はOBに元日本代表・中村俊輔、現役にも東京オリンピック代表候補がいる名門校。しかし、美南さんのここまで道のりには多くの苦難があった。

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美南さんの父・桐光学園サッカー部 鈴木勝大監督

小さい頃、器械体操に励んでいた美南さん。9歳の時、股関節の骨が柔らかくなる重い病に。このままだと歩けなくなると診断され、やめざるを得なくなった。

美南さん「(できなくなることを)考えたことがなかったから悲しかったです」

父の勝大さんは元Jリーガーで桐光学園サッカー部の監督。

美南さんの母「何もやらなくなって、お父さんの試合を見に行くようになってから元気が出て、サッカー部のマネージャーをやりたいと言うようになりました」

桐光学園サッカー部のマネージャーをしたいという目標ができた美南さん。しかし、その道のりは簡単なものではなかった。

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鈴木美南さん

桐光学園は男女別学のためサッカー部では創部から39年、一人もマネージャーを認めてこなかった。伝統が立ちはだかるも、美南さんは決して諦めなかった。

美南さん「(桐光学園の試合を)見に行くうちにすごい楽しくなって、色んなところまで一人で行くようになりました。3年間全部行きました。」

美南さんは中学時代、毎試合のように足を運び、3年間を高校サッカーのためだけに尽くした。さらに、まだ中学生にも関わらず、ミサンガを部員55人分作るなど、3年間の努力は選手や学校関係者、そして、当初マネージャーを認めていなかった監督で父の勝大さんも動かした。

美南さんの父「何よりも彼女のここでやるっていう決意が強かったです。信頼できる人に相談すると「絶対やらせるべきだ」と。僕が決断することの方が時間が掛かったのかもしれないですね。」

周りを納得させて破られることのなかった伝統を乗り越えた美南さんは、憧れのサッカー部マネージャーをつかみ取る。

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鈴木美南さんと鈴木美南さんの父・桐光学園サッカー部 鈴木勝大監督

しかし、誰も通ったことのない道、その後も苦難の連続だった。
 
美南さんの母「いつも一人で泣いて、こんなのサッカー部じゃないっていつも言っていましたね」

美南さんの父「(美南さんは)もちろん嫌な思いもしました。今日まで誇れることは、(美南さんから)辞めたいとか行かないとか、そういうことは一日たりとも一言たりともないんですよ」

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鈴木美南さんと鈴木美南さんの父・桐光学園サッカー部 鈴木勝大監督

「自分から動くようになれた」と美南さんを成長させてくれた高校サッカー。

父と一緒に笑うべく、迎えた高校生活最後の選手権・県大会決勝はマネージャーとして、勝利を祈り、試合を見守った。しかし、全国にはあと一歩届かず。悔しさがこみ上げるも、最後まで自分の仕事を全う。美南さんの高校サッカーが幕を閉じた。
  
美南さんの父「(この3年間は)僕にとっても貴重な時間ですし、この子がいたから僕も頑張れた部分もあります。本当に感謝しています。選手権に連れて行くことができなかったことが申し訳ないです」

美南さん「最初は自分も何もできなくて、迷惑をかけたり、全然できないことが多かったです。それでも3年間見守ってくれたことを感謝しています」

父と駆け抜けた3年間。最後に美南さんはやりきった表情を見せた。