インカレ4連覇!超強豪女子水球部を襲った「異例の事態」とは

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2020.5.11

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そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

発展著しい東京のベッドタウン、千葉県八千代市。駅から車で20分ほど行った田園地帯の一角に、ポツンと練習場がある。

秀明大学女子水球部の拠点、ウォーターポロアリーナは国内唯一の女子専用水球プール。電光掲示板や客席を備えた日本水泳連盟公認の施設で、日本代表の強化合宿に使われることもある。

【動画】秀明大学女子水球部 インカレ4連覇!超強豪チームの強さの秘密に迫る

トレーニングルームも備えたこの上ない環境。5年前、13億円の費用をかけて完成した。

部の歴史はこの練習施設とともに始まった。

2015年、たった8人の部員で船出した女子水球部は、その年の大学選手権インカレに初出場すると、誰もが驚く初優勝。そこから破竹の快進撃でインカレ4連覇を達成した。

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強さの礎は徹底的な体力強化。

専用プールのなせるわざで泳ぎ込みも存分にでき、その距離は一日4キロにも及ぶ。

水球の試合は8分のピリオドを、計4ピリオド。選手は絶え間なく泳ぎ続けボールの奪い合いは肉弾戦となる。

日本一の女子水球部を作った鬼監督

数多くの日本代表を輩出してきた秀明大学。そこにはこわもてのキーマンが。

加藤英雄監督、60歳。日本一の女子水球部はこの鬼監督の手腕で築かれた。

高校時代から水球一筋。才能は選手としてよりも指導者として大きく開花した。系列高校の監督を30年に渡って務め、4度のインターハイ優勝など数々の栄冠を手にしている。

5年前、戦いの舞台を大学に移すと、すぐさまインカレ4連覇という結果を残した。

チーム強化の鍵は鬼監督の厳しさ。しかし、それだけではこの多感な女子たちをまとめることはできない。

加藤監督は選手とのコミュニケーションを何より大切にする。一人一人、目を見て向き合う。それだけに保護者たちからの信頼も絶大だ。

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順調だった水球部に異例の事態が起きる

去年の春まで順調だったこの水球部だが、異例の事態が起きた。なんと新入部員が一人も入らなかったのだ。

追われる者の宿命。逆転を目論むライバル大学がスカウトに力を入れた結果、入って来るはずの有力選手がことごとくよそへ行ってしまった。

現在の部員は10人。試合に出るのは7人なのでギリギリ。

しかし、さらなる悪条件が。日本代表にも入っている部員がインカレに出られなくなってしまったのだ。

ポジション変更でメンバーをやりくりし強行出場することもできたが、やり慣れていない分、怪我をする危険が高い。鬼監督は英断をくだしインカレは辞退することとなった。

4年生最後の大会となった関東学生リーグも人数不足で途中辞退。

創部以来、初めて逃した栄冠。

鬼監督が部の将来を託した"自称・平和主義"の新キャプテン

悔しさからの再スタート。こんな時こそリーダーが重要になる。

新キャプテンに指名されたのは自称・平和主義の松浦優花。

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キャプテンを選んだのは鬼監督。

「一番練習するし、公平感がある」

鬼の目にはしっかりと光るものが映っていた。

全国大会にも出られなかった高校時代。大学に入ると日本代表の先輩たちに圧倒された。だが未来を信じて重ねた努力は、彼女をチームの中心にいざなった。

ではこれから先、さらなる将来を彼女はどう描くのか。

実は彼女、目指す道は既に決まっている。それは警察官。自分は日本代表を狙えるほどの選手ではない。それなら体を動かせる仕事をと、採用試験の勉強を続けている。

だから水球は大学で最後。

新キャプテンの思い切った提案

これが最後だからと彼女は鬼監督に思い切った提案をしていた。

それは国体出場を諦め、インカレに出場すること。実は国体とインカレの時期が重なり、どちらを重視するかは選手次第だった。

その状況で、迷わずインカレを選んだ新キャプテン。覇権奪回への強い思いは鬼監督と通じていたのだ。

人は希望に生かされる存在。たとえ辛い毎日でも希望を手放さずに進めば必ず未来は来る。

立ち上がって前を向いた彼女たちに、そう教えられた。