【公式】卓球ジャパン!2022年7月9日OA
7月9日放送の「卓球ジャパン!」は、WTTコンテンダーザグレブで混合ダブルスで優勝した張本智和/早田ひなペアの活躍に迫った。
3カ月ぶりの国際大会となった"はりひな"ペアの進化を元日本男子監督で現在は木下グループ総監督の倉嶋洋介氏をゲストに迎えて、DEEPに解説した。
"はりひな"が準決勝で対戦したのは、今回、新たにペアを結成した宇田幸矢/伊藤美誠の"うだみま"ペア。結果、4人全員が全日本卓球のシングルス優勝経験者という超豪華な対戦となった。
伊藤は、東京五輪の混合ダブルスで金メダルを獲った後、インタビューで「もう金メダルを獲ったので、これから先、混合ダブルスで目標を立てることは今のところはない」と語っていた。混合ダブルス引退宣言ともとれる発言に、寂しさを感じていた卓球ファンも多かったはずだ。
その伊藤がここにきて宇田とのペアを結成したのだから、期待が高まる。
第1ゲームは、その伊藤のボールに張本がミスをする場面が目立ち、宇田/伊藤が先取した。伊藤のボールは変化が大きく、男子でも返すのが難しい。
しかし、それが意外なところにも波及する。
「伊藤のボールの変化が残って返ってくるので、パートナーが次のボールを打つのが難しいんです。今までは水谷だったから難なく返していましたが、宇田がそれに対応するには練習が必要です」(倉嶋氏)
ところが倉嶋氏によると、当の伊藤は誰とペアを組んでも「組みやすかった」と涼しい顔だという。合わせるのは常にパートナーの方であり、伊藤は何も気にしないのだ。伊藤らしい自由奔放さだ。
一方の張本/早田の武器は、張本の女子並のピッチの速さと、早田の男子にも負けないパワーだ。通常の混合ダブルスにおける性差の枠を超えたプレーが強みといえよう。
第2ゲームからは伊藤の変化に見事に対応し、3ゲームを連取してこのライバル対決を制した。
敗れたとはいえ、変幻自在のプレーをする伊藤と、世界でもトップクラスの両ハンドの攻撃力を持つ宇田の"うだみま"ペアも今後が期待できる。
しかし、パリ五輪に出場できるのは1ペアのみ。
「オリンピック、2ペアとかにならないんですかね?(笑)」(MC平野早矢香)
「3つぐらい枠ほしいですよ。陸上の男子100mだって3人出られるんですよ?」(MC武井壮)
そう言いたくなる両者の素晴らしい戦いだった。
張本/早田が決勝で対戦したのは、世界ランク4位の黄鎮廷/杜凱琹(香港)。中国以外の右利き同士では世界最強と言われるペアだ。世界ランク5位の張本/早田も過去の対戦で1勝3敗の強敵だ。
張本の得意技と言えば速いチキータだが、香港ペアはその速いチキータを前で素早く打ち返すのが得意というとんでもないペア。この難敵に対して張本が見せたのが横下回転チキータだった。ボールの横をとらえることで右利きの選手のフォアハンドの内側に曲がり、しかもかなり持ち上げないと落ちるという非常に返しにくいボールだ。
今大会で張本は、随所に速いチキータを混ぜながら、この横下回転チキータを多用しており、決勝でも香港ペアはまともにラケットに当たらないミスを連発した。張本のプレーの幅が広がっていると倉嶋氏は見る。
「横下回転チキータを防ぐために相手は上回転系のサーブに変えてくると思いますが、それに対しては今までどおり速いチキータをドーンと打てるので、完成すればまさに何でもできる選手になります」(倉嶋氏)
倉嶋氏がもうひとつ注目したのは早田の戻りの速さだった。昨年の世界卓球のときなどは、早田がフォア側のボールを打った後、早田が邪魔になって張本が前に着くことができない場面があったが、この試合では早田が素早くバック側に戻っており、かなり練習を積んできていることがわかるという。
この例に見るように、全体的に早田が目立たない印象の決勝だったが、これは早田がつなぎに徹することで張本の力を引き出している結果であり、2人の連携が上手くできている現れだと倉嶋氏は見る。
こうした見事なコンビネーションで、"はりひな"は世界4位の強敵をストレートで破って優勝を決めた。
このまま進化を続けて行けば、中国との戦いにも期待が持てる。特に張本の横下回転チキータがどこまで効果を発揮するか見ものだが、倉嶋氏の予想は厳しい。
「前で受けると落ちるので、台から距離を取ってフルスイングしてくるでしょうね。中国選手はそういうのが無茶苦茶上手い」
厳しい戦いではあるが、パリ五輪で日本が金メダルに一番近い種目が混合ダブルスであることには変わりがない。2連覇に向けて日本勢のさらなる進化を期待したい。
「卓球ジャパン!」 BSテレ東で毎週土曜夜10時放送