『覚醒』張本智和のWTTチャンピオンズ オフチャロフとの準決勝をDEEP解説!樊振東「張本は変わった」【卓球ジャパン!】

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10月29日放送の「卓球ジャパン!」は、WTTカップファイナルズの男子シングルス準決勝、張本智和vsドミトリー・オフチャロフ(ドイツ)の激闘をロンドン五輪銀メダリストのMC平野早矢香がDEEP解説した。

WTTカップファイナルズとは、男女それぞれ16名だけが出場できる年間王者決定戦。10月27日から30日まで中国・新郷で開催された。

日本からは男子は張本智和、女子は伊藤美誠、石川佳純、木原美悠が参戦した。女子が準々決勝までで敗れる中、張本はただひとり準決勝に進出。

その勝ち上がり方が凄まじかった。

1回戦でパトリック・フランツィスカ(ドイツ)、準々決勝では、中国のナンバー5である林高遠を破って絶好調のティモ・ボル(ドイツ)をいずれもストレートで破った。ボルといえば、かつては世界ランキング1位となり、中国と対等に戦った"ドイツの皇帝"とも言われた選手。そのボルを相手に張本は、まったく隙を見せない戦いぶりで完勝。解説の平野を唖然とさせた。

前の週にマカオで行われたWTTチャンピオンズでは、1回戦でマティアス・ファルク(スウェーデン)に破れた張本だったが、今大会では別人のような強さを見せた。

こうした悪い試合の後の立て直しが早くなったところにも大きな成長を感じると平野。世界卓球で49年ぶりに中国から2点を獲った実力が、定着しつつあるのだ。

「勢いだけではない本当の実力を身につけ始めた、覚醒のときみたいな感じがします」とMC武井壮も驚きを隠せない。

張本が準決勝で戦う相手は、オフチャロフ(ドイツ)。世界ランキングでは11位と張本の5位より下だが、東京五輪男子シングルスで銅メダルを獲り、今大会では世界ランキング1位の樊振東(中国)を破って勝ち上がってきた強敵だ。

張本との最近の対戦成績は4勝4敗と互角で、勝負の行方はわからなかったが、試合が始まってみると、張本のプレーにまったく穴がない。

以前から弱点だと言われてきた張本のフォアをオフチャロフが狙っても、張本はコートの近くでことごとくブロック。しかも、以前のように当てるだけのブロックではなく、わずかにラケットを前に振って回転をかけ返すカウンタードライブ気味のブロックだ。

オフチャロフにしてみると、攻撃しているはずが、想定よりもわずかに強い回転で延々と返ってくるためにミスが出てしまう。

世界卓球で張本に敗れた樊振東(中国)は、試合後「張本は変わった。がむしゃらに攻めてくるだけではなく、細かい部分もしっかり準備をしていて以前とは変化を感じた」と語ったという。

こうした、わずかの回転やコースの変化で相手にミスをさせる卓球は、実は中国選手たちがやっていることだと平野は語る。そのため彼らには張本の変化がよくわかるのだと言う。DEEPだ。

もともと、張本の強みは台の近くでのバックハンドの攻撃にあり、弱点はフォアハンドの非力さと言われた。強みのバックハンドをさらに強化するか、弱点のフォアを強化するかが重要なポイントとなる。

田勢男子監督の方針は明快だった。

「卓球は弱点を攻められるスポーツなので、今はそこ(フォア)に目を向けて取り組んでいます」

こうした方針が、カウンター気味のフォアハンドのブロックに表れているのだろう。

第1ゲームを張本が11-7で危なげなく取ると、第2ゲーム4-1からは、台から離れて17回も打ち合うラリーの末に張本が後陣からバックハンドを決めた。会場の観客はもちろん、スタジオの武井と平野も思わず拍手。

「これは"卓球ジャパン!"の名場面集に入れたいですね」(武井)

「必ず入ってきます」(平野)

そのスロー再生を見ると、台から下げられて押されているように見える張本が、打球の瞬間にクッと回転をかけていることがわかる。これが重要だと平野。

「卓球は速さのスポーツと思われがちなんですけど、実は一番重要なのは回転なんです」(平野)

第2ゲームも張本が取り、第3ゲームで張本が4-1でリードしたところで、オフチャロフがたまらずタイムアウト。しかしもうオフチャロフには打つ手がないことが傍目にも明らかだった。そのまま張本が第3、第4ゲームを取り、ストレート勝ちを収めた。

結果、張本は今大会でフランツィスカ、ボル、オフチャロフと、東京五輪男子団体銀メダルのメンバー全員をストレートで破ったことになる。先日の世界卓球で中国から2点取ったのに続き、とてつもない強さだ。

「張本選手が世界チャンピオンになるというのは、今までは夢のまた夢みたいなイメージでしたが、世界卓球と今大会の活躍を見ますと、これは"ある"んじゃないかなと」と平野。

卓球を知り尽くし、軽はずみなことは言わない平野がここまで言うのは、相当な確信があってのことだろう。

"その日"は近いのかもしれない。