2019.08.26

平野美宇が2種目で準優勝。日本勢は中国トップ選手不在の中、優勝なし<卓球 チェコOP >

準決勝で石川佳純を破った平野美宇 写真:新華社/アフロ


 卓球ワールドツアー2019シーズンの後半戦、そして東京2020五輪の日本代表選考レース後半戦の始まりを告げる真夏の2連戦が幕を閉じた。ブルガリアオープンから2週連続開催となったITTFワールドツアー「チェコオープン」<8月20~25日/オロモウツ>で日本勢は、平野美宇(日本生命)が女子シングルス準優勝。女子ダブルスでも平野が芝田沙季(ミキハウス)とのペアで準優勝を果たした。さらに混合ダブルスも水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)ペアが準優勝。いずれも優勝まであと一歩の惜敗とあって、どの選手も悔しさを隠せなかった。

【試合映像あり】平野美宇 悔しい準V。崖っぷちから猛追も一歩届かず。激闘の末に中国選手に屈する<チェコOP>

打倒中国を掲げ、東京2020五輪で悲願の金メダルを目指す日本にとって今大会、明るい材料となったのは平野の活躍だ。4月の世界卓球2019ハンガリー(個人戦)頃からじわじわと調子を上げてきた平野は、第3シードに入った女子シングルス1、2回戦をストレートで勝ち上がり、準々決勝では同じ19歳の劉ウェイ珊(中国)に3ゲーム先取されてからの大逆転勝ち。追い込まれてからもボールに食らいつく気迫あふれるプレーで準決勝に駒を進めた。

準決勝では同胞の石川佳純(全農)と対戦し、ゲームカウント4-1で圧勝。石川からワールドツアーで初勝利をもぎ取った。試合直後のインタビューで平野が「日本人対決なので、絶対に勝つって気持ちをすごく強く持てたのがよかった」と答えたのが印象的だったが、負けた石川にとっては悔しい敗戦となった。

 そして、決勝では前週ブルガリアオープンを制した陳幸同(中国)を相手に手に汗握る優勝争いを演じた。平野は陳にブルガリアオープンの2回戦でストレート負けを喫している。リベンジに力の入る一戦ではピッチの速い超高速ラリーを披露し、特にバック対バックのラリーやそこからの展開でどちらが先に1本取るかの勝負となった。この激しい攻防をリードしたのは陳。陳といえば、2017年アジア選手権で平野が丁寧、朱雨玲、陳夢という当時の中国トップ3を倒し優勝した後、平野対策として平野のコピー選手を務めた4人のうちのひとりである。あれから2年が経つとはいえ、平野を知り尽くす陳はゲームカウント0-3とし平野を追い詰めた。

 シーズン前半の平野であれば、そのまま最後まで押し切られたかもしれない。しかし、今大会はプレーも気持ちも強かった。第4、5、6ゲームを立て続けに奪いフルゲームに持ち込むと、8-6でリードし優位に立った。だが、ここからの陳の追い上げも凄まじく、5連続ポイントで平野の猛追を振り切り勝負に決着をつけた。

 試合には負けたものの、今大会の平野には複数の改善点が見られた。例えば6月のジャパンオープンでミスが相次いだ台上処理やフォア前サーブに対するレシーブがそうだ。とりわけレシーブのまずさから相手の3球目や5球目で打ち抜かれるポイントが極端に少なくなった。

また4月の世界卓球2019ハンガリー前まで「どうすればいいのか、よくわからない」と困惑していた打球の緩急もタイミングを掴んでいた。配球のコース取りも良くなって攻撃のバリエーションが増えた。そして7月のT2ダイヤモンド第1戦マレーシアの初戦敗退で、「もっと死ぬ気でやらないと」と大粒の涙を流していた、か弱い平野は消えていた。

この2連戦、大胆にイメージチェンジした彼女の髪の色に驚いた方も多かったのではないだろうか。今年3月に高校を卒業した後、少しずつカラーを入れてきた髪を思い切って金髪に近い色に変えた。本人にとってはこれが良い気分転換になっているようで、新しいヘアスタイルに「テンションが上がる」と明るく周囲に話す。平野に限らず東京2020五輪の代表選考レースに絡む選手たちは現在、想像を超える過酷な精神状態にある。いかにしてこの厳しい局面を乗り切るか皆、必死だ。彼女のイメージチェンジもサバイバルレースを勝ち抜くための、19歳の女子ならではの知恵なのかもしれない。

 他方、男子シングルスは世界ランク5位で第1シードの張本智和(木下グループ)が、ルーマニアの19歳で世界ランク115位のプレテアにフルゲームで初戦敗退。世界ランク10位で日本人2番手の丹羽孝希(スヴェンソン)もポルトガルのフレイタスに2週連続の初戦負けとなった。また同14位の水谷もドイツのフランチスカに2回戦で敗れるなど、いずれも精彩を欠いた。そんな中、台湾の18歳・林イン儒が準決勝でボル、決勝でオフチャロフといったドイツのトップ2を倒しツアー初優勝。T2ダイヤモンド第1戦の優勝に続き強烈なインパクトを残している。

(文=高樹ミナ)

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