マーダーボール
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マーダーボール慣れた手つきでカスタマイズされた車いすに乗り込み、トレーニングのためジムへ向かう男。長いヒゲと派手なタトゥーが印象的なマーク・ズパンは、ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)のアメリカ代表選手である。11年前の交通事故で四肢マヒ障害を負ったが、事故に遭う前から両親も手を焼く"荒くれ者"だった。車いす生活になった今でも、健常者相手に喧嘩を吹っかけ「俺が車いすだから引くのか?来い!殴り返してやる」と、性格はそのままだ。ウィルチェアーラグビーに参加するほとんどの選手が頚椎を損傷しており、同じアメリカ代表選手のアンディ・コーンは交通事故、スコット・ホグセットはケンカが原因で、ボブ・ルハノは子どもの頃の病気で両肘・両膝の先を失い、車いす生活を送っていた。

マーダーボール2002年、スウェーデン・イエテボリにて開催された第3回ウィルチェアーラグビー世界選手権大会。これまでの世界大会はアメリカが10年連続で優勝。トーナメント3日目、全勝で勝ち進むアメリカは、世界ランキング5位のカナダと対戦することとなった。カナダ代表チームでは、かつてアメリカ代表として数々の偉業を成し遂げたジョー・ソアーズが監督を務めていた。ジョーはアメリカ代表から戦力外通告を受けたことに納得できず、無断でカナダへ渡り、監督に就任していたのだった。元チームメイトとの対戦を前に「アメリカの戦術は古臭い」と、闘争心を剥き出しにするジョー。そんなジョーに対し、「彼は道端の火だ。小便で消してやる」とマークたちは罵り、アメリカ代表チームの作戦やサインを持っていった"裏切り者"だと反発心を強めていた。
試合は接戦の末、最終ピリオドへ。同点となり、残り時間30秒を切ったところでカナダが得点。残り時間10秒、アメリカの最後のパスは通らずに試合終了、カナダが勝利を収めた。初めて味わう敗北に打ちひしがれるアメリカ代表メンバーだったが、2004年アテネ・パラリンピックに次の目標を定め、カナダを倒し、再び世界の頂点に立つことを誓う。

同じ頃、ニュージャージー州のケスラー・リハビリ・センターに入院しているキース・キャビルは、4ヶ月前にバイク事故に遭って以来、リハビリ生活を送っていた。靴を脱ぐ事すら自分でできないという現実に絶望する日々。アメリカ代表チームのスコットは言う「最初の2年が一番辛い。治療が終わって退院しても、体はほとんど動かず、何ひとつできない。3〜4年は自立のためのリハビリだ」。また、「退院してから彼女とどうやってSEXしたらいいのか?」と悩むキースには、リハビリの一環として性生活のレッスン・ビデオも用意されていた。

一方、マークは高校卒業10周年の同窓会に参加していた。そこにかつての親友クリス・アイゴーの姿はない。11年前、サッカー部の祝賀会で泥酔したクリスの運転する車が事故を起こした。荷台にいたマークは車外に放り出され、13時間運河の枝に捕まったまま、ひたすら救出を待った。一命を取り留めたものの、マークの体には四肢マヒ障害が残る。それ以来、二人はお互いの正直な気持ちを話し合う機会を失ってしまったのだ。しかし、長い年月が経った今、クリスは当時の事故と正面から向き合うようになっていた。マークはそんなクリスをアテネ・パラリンピックへと招待する。

マーダーボールアテネ・パラリンピックまで3ヶ月。カナダ・バンクーバーで行われたシード決定戦で、再びアメリカとカナダが対戦。今度はアメリカが勝利し、第一シードの座を奪還する。
その後、マークはニューヨークの病院を訪れ、ウィルチェアーラグビーの説明会を開催する。そこにはキースの姿もあった。最初はためらいがちなキースも、「俺は車いすになってからの方が活動的になった」と話すマークや競技用の車いすの造形に魅了され、ウィルチェアーラグビーに興味を持つようになっていく。

そして遂に2004年のアテネ・パラリンピックが始まる。アメリカ代表チームは、5日間でドイツ、ニュージーランド、日本、オーストラリアを撃破、いよいよジョー・ソアーズ率いる宿敵カナダ代表チームとの対戦を迎える。果たして因縁の対決を制するのはどちらの代表チームか?!

 


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