日本唐揚協会会長が教える、絶品、珍品ご当地唐揚げの世界

2016年9月28日

日本唐揚協会会長が教える、絶品、珍品ご当地唐揚げの世界
カリッとジューシーな味わいがたまらない唐揚げ。お酒のつまみに、ごはんやお弁当のおかずにと、老若男女に大人気。ここ最近では、ご当地唐揚げの東京進出を発端に唐揚げ専門店が増え始め、世は空前の唐揚げブームに。そこで今回は、日本唐揚協会会長・やすひさてっぺいさんに、日本各地に分布するご当地唐揚げと今注目の唐揚げについてお話を伺いました。

中津からあげ/大分県中津市

日本唐揚協会会長が教える、絶品、珍品ご当地唐揚げの世界
「今の唐揚げブームは、“唐揚げの聖地”こと大分県中津市の中津からあげが東京に進出したことがきっかけと言えるでしょう。特徴は、薄衣で味強めのパリッとした食感。なぜ中津が聖地になったのかというと、まず文化が違う。唐揚げといえば各家庭の味がありますが、中津や近隣の宇佐では家庭で唐揚げを作る文化がありません。『寿司は寿司職人が握るもの』と同じで、『唐揚げは唐揚げ屋が作るもの』というのがこの地域の常識。各家庭にお気に入りの唐揚げ屋さんがあり、中津市には60店舗以上の唐揚げ専門店が存在します。実は、唐揚げ専門店発祥地をめぐって中津市と宇佐市とで争っていた時期があったのですが、中津市を“唐揚げの聖地”、宇佐市を“唐揚専門店発祥の地”に認定したことで、両市の唐揚げ抗争は一件落着しました(笑)」(やすひささん)

ザンギ/北海道釧路市

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「北海道名物の“ザンギ”は釧路が発祥です。現地の人は『唐揚げとザンギは違う』と言い張りますが、僕が実際食べてみたところ、味は一般的な唐揚げと特に変わりはありませんでした(笑)。ザンギの元祖は釧路市内にある『鳥松』で、こちらの店では骨付きの唐揚げを提供しています。ちなみにザンギという名前の由来は、中国語の炸鶏(ザージー)が訛ってザンギになったという説が有力です」(やすひささん) <店舗情報> 鳥松 住所:北海道釧路市栄町3-1 電話番号:0154-22-9761 営業時間:17時00分~翌0時30分 定休日:日曜日

せんざんき/愛媛県今治市

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「ザンギと混同されがちなのが、愛媛県今治市の“せんざんき”。よく、せんざん『ぎ』と間違われますが、正しくはせんざん『き』です。今治は昔から鶏を食べる文化があり、300年以上前から唐揚げが存在していたという説も。そのため、一部では“唐揚げの元祖”とされていますが、実際にその説を裏付ける文献は見つかっていません。普通の唐揚げが拳4分の1程度ならば、せんざんきは拳1個分くらいと大きいのが特徴です」(やすひささん)

山賊焼き/長野県塩尻市

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「長野県塩尻市の“山賊焼き”は、めちゃくちゃ豪快。素揚げしたもも肉に、にんにくが強烈に効いたパンチのある味わいと、両手で持たなきゃ食べられないほどの大きさで、その姿はまるでギャートルズ肉。ネーミングの由来は諸説あり、その昔、この地域の山を根城にしていた山賊が、旅人を襲ってものを取り上げていたことから、『鳥』『揚げる』ともじって“山賊焼き”になったという説がひとつ。もうひとつは、『山賊』というお店で出されていた唐揚げが山賊焼きというメニュー名で、それが県内に広がったというという説が有力。ちなみに『山賊』は今も塩尻市にあります」(やすひささん) <店舗情報> 山賊 住所:長野県塩尻市大門七番町10-1 電話番号:0263-52-0743 営業時間:17時00分~23時00分 定休日:水曜日

半羽揚げ/新潟県新潟市

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「半羽揚げの最大の特徴は、カレー味だということ。ズルイですよね、カレー粉かけたら絶対おいしいじゃないですか(笑)。理由は分かりませんが、なぜか新潟の料理ってカレー粉を使用したものが多くて、以前新潟の郷土研究家に聞いた話では、新潟は他の県を圧倒するくらいカレー粉の消費量が多いそうです。首から下の全ての部位が味わえ、味自体は塩ベースで表面が黄色がかっています。かなりデカイ!」(やすひささん)

手羽先/愛知県名古屋市

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「愛知県名古屋市にある『風来坊』が発祥の手羽先。捨てていた手羽先をなんとか食べられないものか? と揚げてまかないで食べてみたら、客に『それくれ!』と言われてメニューにしたのがきっかけ。一般的な唐揚げとは調理法が異なり、鶏肉を素揚げして、あとでタレを絡めるため表面がしっとりしています。そもそも、酒のつまみとして作られているので味が濃い!」(やすひささん) <店舗情報> 風来坊 栄店 住所:愛知県名古屋市中区栄4-5-8 エアリビル1F 電話番号:052-241-8016 営業時間:月~木17時00分~24時00分、金・土17時00分~翌1時00分 定休日:日曜日

チキン南蛮/宮崎県延岡市

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「チキン南蛮発祥の地は宮崎県延岡市。大分県の県北、福岡県の県南の地域は昔から養鶏が盛んで、九州全体に鶏肉を食べる文化が根付いていました。延岡市では揚げ鶏を食べていたそうですが、おそらく揚げものをさっぱりと食べたかったのでしょうか、まかないで南蛮漬けにして食べみたら『これはウマイ』と評判に。元祖は『ロンドン』(閉店)というお店ですが、ここのチキン南蛮にはタルタルソースは付いていません。タルタル付きを開発したのは『おぐら』という店が発祥。手羽先と同じく、後漬け型の唐揚げに属します」(やすひささん) <店舗情報> おぐら 大瀬店 住所:宮崎県延岡市大瀬町1-3-2 電話番号:0982-32-2357 営業時間:11時00分~22時00分 定休日:無休(不定休もあるため事前に電話で確認を)

個性派ご当地唐揚げにも注目!

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「ご当地唐揚げといえば、その地域の特産物をアレンジした変化球モノも多く存在します。まずは、岐阜県関市の『黒唐揚げ』。ひじきとしいたけの粉を衣にして揚げているのですが、とにかく真っ黒(笑)。見た目のインパクト大です。千葉県印西市の『みそぴー唐揚げ』は、唐揚げに味噌ピーナッツを絡めて炒めていて、肉汁に味噌のうまみとピーナツの香ばしさが重なり美味。また、広島県東広島市では、酒用のお米で作った米粉を衣にした『米唐』という唐揚げがあります。粉の挽き方が特殊らしいのですが、クリスピーな食感が楽しく、衣のカリッと感と肉のジュワッと感のギャップがとてもおいしいです」(やすひささん)

今、最もアツい唐揚げスポットは大阪と埼玉!?

各地にはその地方に古くから根付くものから町おこしで生まれたものまで、様々なこだわりの唐揚げが存在することが判明。ところで、次にブームとなりそうな注目のスポットはありますか? 「関西エリアだと大阪府高槻市。年に1回開催される『高槻祭り』で『高槻唐揚げ選手権』が行われるのですが、そのレベルがものすごく高い。競合店が多く、おいしくないとすぐ潰れてしまうから、それぞれが研究熱心で高槻全体がハイクオリティ。第2回大会で、スーパー銭湯『祥風苑』の唐揚げが金賞に選ばれたことは驚きでしたね。今や中津のような盛り上がりを見せています」(やすひささん) 関東エリアはいかがでしょうか? 「なぜか埼玉が強い。ツートップは、西の所沢と東の春日部。春日部のほうは海鮮塩ダレが主流で、唐揚げなのに食べると海を感じるんです。海なし県なのに(笑)。一方、所沢は竜田揚げ率が高い。2011年度からあげグランプリで最高金賞を取った『ひょうたん別館』が、竜田揚げということも影響しているかもしれません。ほかのエリアにおいても、おいしい店の味を軸に、そのスタイルを真似して広がるという傾向は多いですね」(やすひささん) <店舗情報> 美人湯 祥風苑 住所:大阪府高槻市塚脇4-20-3 電話番号:072-689-6700 営業時間:10時00分~24時00分 定休日:無休(設備点検のため臨時休業あり) ひょうたん別館 住所:埼玉県所沢市東町13-1 電話番号:04-2922-7799 営業時間:17時00分~23時00分 定休日:日曜日 ひとくちに唐揚げといっても味、形、調理法など多種多様。う~ん、唐揚げの世界って奥が深いですね! 旅先での楽しみのひとつに、「ご当地唐揚げ探し」を加えてみてはいかがでしょうか? <取材協力> 日本唐揚協会