今回のゲストは演出家の宮本亜門さん。
誰かの心に響くような「物語」を紡ぎだす天才であり、
常に全体を把握する 大きな眼と温かい心を持っている人です。
最近は、ミュージカルだけでなくオペラや歌舞伎など、
既存のジャンルの枠を超えた演出を手掛ける亜門さん。
最新作のミュージカルの稽古で多忙な中
稽古場にお邪魔して 話を伺いました。
初めてお会いした亜門さんは、
とってもとっても温かい方でした。
人間の心の微妙な動きや物事の趣に対する感度が
驚くほど研ぎ澄まされている・・そんな印象もあります。
亜門さんがお薦めしてくれた本が、こちら。
【 日本力 】 松岡正剛 × エバレット・ブラウン 著
一言で表わすと 『 日本復活のための 哲学書 』
とても深い内容ですが、読後感は非常にポジティブです。
日本が世界に誇れる「日本力」とは何か?
外からの目(異国の人)によって、
忘れかけていた「日本の根幹」を見つめ直します。
最近では日本=クールジャパンが定着し、
アニメ・漫画・ポップスが世界に強烈に発信されていますが、
それだけでしょうか? 日本の強みは。
昔から受け継がれてきた 「茶の文化、漆器、能」 伝統文化の
根底に流れる日本独自の哲学。
「わび・さび」 「引き算の美学」
人や土地の強い結びつき、万物がつながっているという感覚・・
日本が抱える問題に苦言を呈することが常になっている今、
私達でさえ見失いがちな、日本人のルーツやこれからのビジョンを
ポジティブに提示してくれます。
亜門さんの声と表情に、力がこもった瞬間がありました。
日本人の多様性について語られた部分。
「変人礼賛」 「異端児」という言葉を、亜門さんは嬉しそうに なぞります。
幼い頃から「普通じゃない、どこかはみ出している自分の存在」に悩まされ
引きこもりや対人恐怖症を経験している亜門さんにとって、
「異人な人こそ必要なんだ、その交わりから新しいものが生まれる」
そんな表現に、救われた思いがしたのかもしれません。
一人一人が皆 オリジナリティーを持っていて
異質なもの同士が集まって、日本という面白い世界を作り上げてゆく・・
『 道は一つではない。 いいじゃん僕でも! 』 (亜門さん)
その大きな自信が、
枠にはまらない柔軟なアイディアや発想を生み出しているのでしょうね。
日本はこれから、2020年のオリンピックに向けて
魅力を、さらに磨いていかなければなりません。
そのヒントになるような日本のコンテンツが たくさん詰まっている一冊。
「火山のようにエネルギッシュで、温泉のようにポカポカした人柄」
本の中で そう指摘されていたように、温かい「おもてなし」ができる
日本人でありたいです☆