作家、島田雅彦さんからのご紹介

 

小説家でもあり、「劇団、本谷有希子」の主宰として、

演出も出がける 本谷有希子さん。

 

高校卒業後、上京。

自身の名前を冠した劇団を旗揚げし、10年以上 走り続けている本谷さん。

その 柔らかくホンワカした雰囲気からは想像できない

バイタリティーの持ち主なのです。

彼女が舞台演出する際、女優さんは覚悟と根性を持って臨まないと・・

と言われるほど、厳しい演出方法でも有名です。

 

 

その独特の世界観をもつ小説やエッセイも人気で、

私自身も、ファンのひとりです。

 

ハチャメチャだけど、人間の真の姿をグッとついたような過激な作品が

多いのですが、その彼女が、どんな本を薦めてくれるのか興味津々です。

 

「読み込みすぎてボロボロなんです・・」 と紹介して下さった本が こちら。

 

 

 

『 幸福について - 人生論 』        ショーペンハウアー 著

 

 

哲学者・ショーペンハウアーの晩年の作で

日本では1958年に出版され、未だに版を重ねるロングセラー本。

 

幸福について、というより

「人生とは何か。より良く生き抜く為に、どうしたらいいのか。」

について語った人生論。

とても賛成できないような項目も(笑)いくつかありますが、

自分にしっくりくる部分だけ取り入れて、生き方のヒントにするのがベストでしょう。

 

 

ページを開くと まず目に飛び込んでくる

『 幸福なんて、そう容易く得られるもんじゃない・・ 』

というような一言にしびれた と本谷さんは言います。

 

そう。

この本は、巷に溢れる いわゆる「幸福論」とは程遠く、

「幸福なんて無いけど、あえて近づこうとするならさ・・」 と、

お隣の 風変わりなおじちゃんが教えてくれてるような、人生論なんです。

 

他の哲学書にはみられない「毒っけ」満載で、

切れ味(言い切り)もよく、「だからこそ、信頼できる感じがあるのかな。」

と本谷さん。

 

印象に残っている項目を、幾つかご紹介します。

 

〇 健康な乞食は、病める国王より幸せである

〇 幸せになる能力の差は、「現実の受けとめ方」による

〇 賢者は「快楽」を求めず 「苦痛なき」を求める

〇 「人柄」は絶対的な価値。(誰からも奪われない)

〇 幸福になる1番の要素は 「心の朗らかさ」

〇 幸福の2大敵は 「苦痛」と「退屈」

〇 一番大事なものは「自分自身」 自己を愛する人こそ幸福

〇 才知に富む人間は「孤独」を好む

  「社交」はゴミみたいなもの、活動範囲は狭くするべし

〇 「知恵」と「勇気」も、幸福にとって重要な特性・・・       など。

 

 

中には 「社交はゴミ・・」 のように少し賛同しずらい項目も。

補足すると、「精神的に豊かな人は 集団で交わって暖め合う必要がない。

したがって低能な人ほど集まりたがる」 という理論。

取捨選択しながら(笑)読んでいくのがいいかもしれませんね。

 

 

『 人生はきれいごとではない。嫌な部分も含めた真実を知りたい 』 (本谷さん)

 

全ての物事の光と影を意識しながら生きてきた本谷さんにとって

この偽らない姿勢が貫かれたショーペンハウアーの一冊が、

深く心に響いたのでしょう。

 

一人で新たな道を切り開いていく中で

周囲の評価が気になって落ち込んでいた時期に

この本に出会い、救われたそうです。

 

今、何かで立ち止まり苦しんでいる人に、手にとって欲しい一冊。

「幸福」になれるのではなく(笑) 少しだけ肩の荷が下りるはずです。


「スミスの本棚」ホームページはこちら

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/

 

 

 

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