
火坂さんが薦める本
「燃えよ剣 上・下」/司馬遼太郎(新潮社)
幕末、近藤勇と共に新撰組を支えた土方歳三の生涯を描いた作品。動乱の時代に、剣にも恋にも命をかける姿に、火坂さんは「何とも言えないダンディズム」を感じ、「こういうものを自分も書いてみたい」と思ったそうです。
【ハートが熱くなる本】
実は「燃えよ剣」は、火坂さんが「早稲田大学歴史文学ロマンの会」に入り、最初の読書会で、読んでくるようにと言われた一冊。この本との出会いで、歴史小説にのめり込むようになり、一念発起、歴史小説家を目指すようになったとのこと。まさに火坂さんの人生を変えた本だったのです。
火坂さんは、この本についてこう語ります。
「読んだら燃える小説。ハートが熱くなって燃えて、何かやろうという気にさせる」
「歴史小説はいろんな面があるので、それぞれの人がそれぞれの胸に響く言葉があちこちにある。特に司馬さんの小説はあちこちにキラ星のような言葉が秘められている」
【歴史小説は"大人の小説"】
火坂さんは大学卒業後、10年間の出版社勤務を経て歴史小説家になりましたが、書いても売れない日々が20年続きます。しかし、それは"必要な日々"だったと今は思っているそうです。なぜなら「歴史小説は苦労を経験していないと書けない」から。「歴史小説は"大人の小説"なので、大人の心に響くものでないとダメ、そういう歴史小説を書けるようになるのは50歳過ぎてから」と。
【人間の生き様】
歴史小説にひかれた理由を訪ねると、火坂さんは次のように答えてくれました。
「人間の生き様がそこにある。成功した人間もいれば、失敗した人間もそこにいる。ほどほどの人間もいる。いろんな人生があるけど、そういうのを見つめるのが好きだった」
【現代人の心に響く武士の言葉】
火坂さんは最近、"悩める平成のサムライたちへ"向けた本を書きました。
それが・・・
■「逆境を打ち破った男たちの名言 武士の一言」(朝日新聞出版)
現代人が学ぶべきことが、戦国時代や幕末を生きた人たちの言葉にあると考え、武士の名言をまとめたそうです。「武士はもともと命がけ。だからその言葉は説得力、自分の人生をかけた言葉。それが現代人を、現代を生きる現代人の心にもストレートに響いてくる」と火坂さん。
また、戦国時代と現代の共通点として「価値観の多様化」があると言います。
「自分の生き方を見つけることが生きる術・・・。そんな中で悩み、考え、手探りで方法論を見つけていく。戦国武将も80%が滅びて、20%ぐらいしか生き残れなかった。その中で彼らは領国をどうやって治めていくか、経営者のようなことも彼らはやっていたわけです」
【本の"たすき"を渡す人を】
「"天地人"の題字を書いていただいた書道家の武田双雲さんを。根は実にピュアな人で、自分の生き様、心が書に出ているので、人の心を打つ書を書ける」
【森本智子の取材後記】
http://ablog.tv-tokyo.co.jp/morimoto/2011/01/post-116.html