現在67歳。60年代から70年代、日本のフォークブームの立役者となった。1975年、それまでの音楽業界の常識にとらわれない自由な活動を求めて人気絶頂だった井上陽水、泉谷しげる、井上陽水、吉田拓郎と共にレコード会社を設立し、世間を驚かせた。今年で音楽活動50周年を迎える。
■小室等さんが薦める本
「歳月/茨城のり子」(花神社)
著者の茨木(いばらぎ)のり子さんは、社会や個人の生き方を詩にした
戦後を代表する女性詩人。この詩集には先だたれた夫・安信さんへの思いが綴られています。
八十歳のわたしを想定してみる
どちらかがぼけて
どちらかが疲れはて
ちらっとよぎる
(中略)
けれど
歳月だけではないでしょう
たった一日っきりの
稲妻のような真実を
抱きしめて
生き抜いている人もいますもの
【"ラブレター"】
「この詩はラブレター」だと小室さんは言います。
夫への愛情が、茨木さん自身をも支えている・・・
人は支えられることによって、生きる勇気を与えられる。
そして人を肯定することができるようになる。
小室さんは、一番の反戦歌はラブソングじゃないかと考えるようになったそうです。
「人を愛し、肯定する心があれば戦争を起こすような憎しみの連鎖はなくなる」と・・・。
【言葉を探す】
当初、海外のフォークシンガーのように反戦や人権などのテーマを歌にしてきた小室さんは、ある日それに疑問を持ったそうです。「自分のやっていることが地に足が着いていないというか、わかってもないのに上から目線で自分自身が嫌悪した」
そんな時、茨木のり子さんと出会い、その後の小室さんの音楽活動は大きく変わりました。小室さんにいつも優しく「こっちの道じゃないの」と言ってくれる茨木さんは、日本語で書かれた現代詩を読むことを小室さんに薦めたのです。
「探している言葉がここにあった」と小室さん。
その後、さまざまな人の詩に曲をつけて、歌うようになりました。
それは音楽活動50周年を迎える今も続いています。
【本の"たすき"を渡す人を】
「サックスフォーン奏者の坂田明さん。親分肌で酒も強くて粋に感じることはどこにでも駆けつけて行く人…」
※坂田さんの登場は6月15日(水)です。お楽しみに。
次回はannex=番外編 作家・伊集院静さんの登場です。
【本の"たすき"を渡す人を】