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2012年9月3日放送

世界に羽ばたく!ニッポンの技術(3) 世界一きれいな水を作る

沸騰現場の経済学

常に変化・進化を続ける世界経済。「未来世紀ジパング」取材団は、変化の起きている“沸騰する現場”に直撃取材!日本ビジネスマンが見たことのない世界の今をレポートする。
そして、スタジオでは遠くに思える世界の現場と日本の繋がり、さらには日本の未来にどう影響があるのかを分かりやすく、かつ専門的に解説。

世界に羽ばたく!ニッポンの技術(3) 世界一きれいな水を作る

日本では近年、より美味しく安全な水を求める人たちが増えている。その一方、アメリカでは60年に一度の大干ばつ、北京では60年来の大洪水など、世界が水に悩まされている。そこで注目されるのが、日本の水技術だ。日本の高度な水処理技術が、いま世界の水を変えようとしていた。

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放送内容詳細

日本が誇る世界一の水技術…逆浸透膜

 いまボトルウォーター市場が年間30%を超えるペースで成長している。「クリクラ」は日本全国におよそ50万件の顧客を持つ大手だが、その工場は…東京の町田にあった。一体、どこの水を使っているのか?工場の担当者に尋ねると「クリクラの原水は水道水。蛇口をひねれば出てくる水と同じ」と答えた。「クリクラ」のミネラルウォーターは人工的につくられていたのだ。それを可能にするすごい技術が逆浸透膜装置だ。髪の毛の10万分の1以下という小さな穴が開いたろ過膜なのだが、これで不純物を取り除き、純水ができるのだ。今や日本メーカーが世界シェア6割以上を占める、日本が誇る技術だ。この逆浸透膜は、海水から淡水を生み出すことも…水不足に悩む20以上の国々で活躍していた。

日本の水道が…カンボジアに“奇跡”

一方、カンボジアの首都プノンペン。日本の水技術が奇跡を起こしていた。プノンペンの水事情はどうなっているのか…家の中を見せてもらうと、人々が水道の蛇口から美味しそうに水道水をごくごく飲んでいた。24時間きれいな水が出る、これは世界的に見ても珍しい光景だ。そんなプノンペンの浄水場に日本人の姿があった。北九州市水道局・木山聡さんだ。長年に渡る内戦の影響で、最悪だったプノンペンの水道に、木山さんたちは北九州市の水道システムを導入、その管理方法をマニュアル化・徹底指導した。水道の水が気軽に飲めるようになっただけでなく、漏水率も6%という日本並みにまでなった。いまや“プノンペンの奇跡”と呼ばれるまでになった。

NAVIGATOR

吉村和就(グローバルウォータ・ジャパン)

1948年秋田市生まれ。大手エンジニアリング会社で営業、市場調査、経営企画に携わり、ゼロエミッション(廃棄物からエネルギーと資源創出)構想を日本に広げる。1998年より国連ニューヨーク本部に勤務、環境審議官として発展途上国の水インフラの指導を行う。現在、グローバルウォータ・ジャパンの代表を務め、日本の環境技術を世界に広げる活動をしている。
主な著書に『水ビジネス 110兆円水市場の攻防』(角川書店)『日本人が知らない巨大市場 水ビジネスに挑む』(技術評論社)などがある。

【WEB限定】未来世紀ジパング 特別編

未来予測

メコン川の水がすべて透明に

メコン川はカンボジア以外にタイやベトナムなど東南アジア5ヵ国にまたがり、約6300万人が生活用水として利用している。濁った川の水をそのまま飲んでいる人も多い。しかし、プノンペンのように日本の技術で水道を整備すれば、メコン川流域の各家庭の蛇口から透明な水が出るようになるのも夢ではない、と吉村は言う。
北九州市がカンボジアで20年以上に渡り国際貢献として技術指導をし、信頼感を得たことは大きいが、自治体のがんばりだけで大きなビジネスにはならない。水道事業経営のノウハウを持つ“官(自治体)”と、技術・コスト感覚・スピード感を持つ“民(民間企業)”が協力することが重要なのだ。2025年には100兆円市場になるという水ビジネス。官&民がお互いに足りないものを補完し合い、“オール・ジャパン”で世界に打って出ることが成功のカギだ。

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