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第59節 「想定」

サッカーを愛する皆様ご機嫌いかがですか?勝村政信です。

そんな訳で、第59節。

海外のリーグが一通り幕を閉じた。

これからは、選手の移籍先が新聞の紙面を飾り続けることになる。

先日、イングランドのフットボールリーグ・チャンピオンシップのプレーオフセミファイナルが行われていた。

プレミアリーグの一つ下のディビジョン。

日本に例えると、J2にあたる。

バーミンガム・シティVSブラックプール。

バーミンガムの監督はクリス・ヒュートン。
ブラックプールの監督はイアン・ホロウェイ。

プレミアでも指揮を執った監督である。

余談だが、ブラックプールには、ウエストハム、マンチェスターユナイテッドでも活躍した闘将、ポール・インスの息子、トーマス・インスが活躍していた。

時代の流れを思いもよらないところで味わえて、なんだか感慨深かった。

もう一試合は、ウエストハム・ユナイテッドVSカーディフ。

ウエストハムの監督は、ご存知ビッグサムこと、サム・アラダイス。
カーディフの監督は、マーキー・マッケイ。

自動昇格ではない4チームの戦いなのだ。

昇格の2チームは、すでにプレミアで戦うための準備を進めている。

それは、多くの選手、監督の交代をも意味する。

だが、チャンピオンシップの監督の名前を見るだけで、イングランドのリーグの凄さがわかる。

チャンピオンシップからプレミアに昇格すると、約120億円の収益があるそうだ。

他にも、活躍した無名の選手は、ビッグクラブに移籍して多額の移籍金がクラブに入る。グッズ販売などの売り上げも桁が変わるだろうから、まさに「桁違い」だ。

プレミアリーグの最終節が近づくと、優勝争いだけでなく、残留争いをしているチームが「手負いの獣」のように牙を剥く理由がよくわかる。

毎年、数えきれないほどの選手が誕生し、引退する。

同じように、コーチ、スタッフ、監督も誕生し、引退する。

そして、試合に出場できる「選手」の人数は限られている。

そして、試合にかかわることが出来る「コーチ」、「スタッフ」、「監督」も限られている。

だから歴史のあるリーグでは、「選手」も「コーチ」も「監督」も自分の能力を本人が熟知していなければならない。

今、日本の子供たちは、バルセロナに憧れている。

みんなメッシを目指す。

時代を象徴したチーム、選手だからだ。

子供が成長し、サッカー選手になる。そんなときに、バルセロナに入団することを夢見た子供は、決してバルセロナを目指さない。

そう、身の丈を知るのだ。

自分の能力を理解するのだ。

この作業は、しんどい。

だが、プロフェッショナルとは、成長するとは、こういうことなのだ。

欧州の国では、自分に対する理解力をも先を行っている。

日本の子供たちは、受験を経験している。偏差値というよくわからない数値を、いつの間にか熟知するようになる。

自分のGPSを自分につけることなのだ。

自分の能力にあった学校を探すことを、サッカーチームに置き換えれば、とてもわかりやすくなる。

アジアの極東のリーグは、開幕20年を経て、アジアでNo.1になった。

ということは、スタッフ、コーチ、監督もアジアNo.1ということになる。

だが、サッカーは欧州が世界を回している。

アジアが欧州と肩を並べる日はまだまだだ。

だが、自己能力を把握し、行動し、結果を残せば、大きな「成長」を遂げることができる。

今回のブレインは、ロンドンオリンピック男子サッカー代表監督、関塚隆さん。

こんなお忙しい時期に心苦しいが、日本中のサッカー野郎たちが、今最も、「声」の聞きたい監督なのだ。

収録では色々なお話を聞くことが出来たが、せっかくなので、FOOT×BRAINのMCのわたくしは、別角度から、関塚監督を考えてみたい。

敢えてオリンピックの話題から外れてみる。

西野朗監督以降とでもカテゴライズすればいいのかよくわからないが、アフター西野、一応「A.N」としておきますね。(なんだろ)

「A.N」の代表である関塚監督は、日本のサッカーの成長とともに、確実に育ってきた、世界基準の監督だと。もちろん、以前の監督のことを世界基準ではないとか、そういうことを言っている訳ではない。

世界中のサッカー情報が溢れ、選手の育成、練習方法、試合の戦い方、選手の交代のようなことまで、すべてが簡単に手に入り、終始選択可能な状況の中で成長してきた、世界中の監督を目指している人達と同じ地平に立って生まれてきて、実績を残した監督という意味である。

関塚監督は、その「A.N」でのスペシャリストの中のスペシャリストなのだ。

で、ようやく関塚監督のような人達が現れたことを喜んでいる場合ではなく、今後「どかどか」出てきてもらわないといけないので、その先を考えてみる。ということだ。

選手はもちろん、スタッフ、コーチ、監督もさらに底上げするためには、さらなる「想定」が必要になる。

何故、冒頭にチャンピオンシップのことを書いたかと言うと、ブラックプールもバーミンガムもウエストハムも前期はプレミアリーグに所属していた。

昇格して一時期、旋風を巻き起こしたが、後半に失速する。

だが、カテゴリーが上がっても活躍し続ける、選手、コーチ、スタッフ、監督もいる。

そんなチームは山ほどあった。

歴史があるリーグでは当然のことを理解し「想定」の度合いを深めるのだ。

旋風を巻き起こしたチームで、飛び抜けた選手、監督は、ビッククラブに引き抜かれる。

残念ながら降格してしまったが、宮市選手が加わって、日本でも有名になったボルトン・ワンダラーズ。

監督はオーウェン・コイル。

バーンリーを率いて昇格させ、旋風を巻き起こした結果、シーズン途中でボルトンに引き抜かれた。

バーンリーは1シーズンで降格し、今季はボルトンをも降格させてしまった。

チェルシーを解任されたビラスボアスとは、ライセンスを一緒に取った仲間だという。

ここでも考えなければならないのが、「想定」。

ビラスボアスの後任の、ロベルト・ディ・マッテオが快進撃を続け、FAカップ優勝をもたらし、CLのビックイヤーにも手が届きそうな勢いである。

ディ・マッテオはウエストブロムを率いてプレミアに昇格させたが、成績不振でシーズン途中で解任された。

ウエストブロムは、後任のロイ・ホジソンの指揮により、クラブ史上最高の11位にまで登り詰める。

ホジソンは以前、フラムでも実力を発揮し、リバプールの監督になるが、成績不振で解任されている。

だが、今季途中でイングランド代表監督に選出された。

そうなのだ。

関塚監督には、ロイ・ホジソンのような経験を積んでいただきたいのだ。

僕の勝手な「想定」では、関塚監督も、ベガルタ仙台の手倉森監督も、ディ・マッテオや、ホジソンのような「経験」を積む。

様々なクラブで能力を試して、失敗、成功を繰り返し、最終的に、さらなる大きな仕事をするのだ。

ここで大きな問題は、自分にはどんな能力があって、どんなタイプのクラブチームがあっているのか、を見極めるために、メチャクチャな経験と結果を、サポーターが容認出来る「才覚」をみせられるかどうかなのだ。

選手もそうだが、どんなにいい選手も、環境が変わると力を出し切れない時がある。

さらに環境を変えて、復活する時もあれば、そのまま浮き上がれずに消えてしまう時もある。

監督も、若手と組んだ方が力が出る。その逆。
ビッグクラブでの采配があっている。その逆。
J2の方が力が出る。その逆。
代表監督の方が力が出る。その逆。

自分にあった、様々な可能性を考え、経験する。

そして「想定」するのだ。

それは、サポーターも同じだ。

凄い監督が来たからといって、自分の応援するチームが救われるとは限らないのだ。

どのカテゴリーが自分にあっているのかを、「想定」して、実践して、結果を導き出す。

いきなりバルサの監督に抜擢されても力など出せる訳がないのと同じように、どのカテゴリーが最も自分の実力が出せる場所なのかを「想定」しなければならない。

そんなプロフェッショナルな「想定」が「成長」を生み「結果」を導き出す。

20年かけてJリーグがここまでの素晴らしい結果を出したように、A.N以降の監督が、ある程度の時間をかけ、成長を続けることで、アジアに進出し、欧州へ進出し、結果を残して、信頼を勝ち取っていけば、ドルトムント、バイエルン、インテル、ミラン、バルセロナ、マドリー、マンチェスターの2チーム等の監督になることが、夢物語ではなくなるのだ。

それが証拠に、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、ナンシー、モナコ、そして名古屋グランパスエイトの監督を経て、アーセナルの監督に就任して17年目に突入する。

以前も書いたが、今季は勇退論まで出たが、最終的には3位を確保し、チャンピオンズリーグ出場を獲得している。

こんな監督たちの仲間入りをする可能性を秘めているが、「A.N」世代のNo.1。

関塚監督なのだ。

だから、関塚監督も厳しい目で見守ることが、その第一歩なのだ。

欧州ビッグクラブの監督。

ぼくは真剣に「想定」し始めている。