番組概要
ジャーナリスト・池上彰の世界をじっくりとご覧いただく報道エンターテインメント番組です。池上彰がまさに動いているニュースの現場を実際に見て分かりやすく解説します!
池上彰 コメント
無言館には、戦争中に絵筆を捨て戦地へ行き、戻ることのなかった画学生たちの残した絵が多数展示されています。無言館の名の通り、絵は何も語ってはいません。しかし、そこに立ち、絵を見ることにより画学生たちの辛く悔しい思いを知ることができます。絵が語らずともたくさんの言葉を聞くことができる、そう感じました。ぜひご覧ください。
金山円 プロデューサーコメント
今回ロケをした『無言館』で、池上さんが思わず足を止めた絵があります。中村萬平さんが描いた『霜子』です。そこに描かれていたのは、まっすぐな眼差しでこちらを向く一人の女性でした。彼女は萬平さんの妻であり、そのお腹には新しい命が宿っていました。萬平さんは出征する際、「霜子よ、養生して立派な子を産んでくれ」と、祈るような言葉を残したそうです。その後、霜子さんは無事に長男を出産したものの、産後の肥立ちが悪くそのまま他界。戦地でその悲報を受け取った萬平さんもまた、あとを追うように戦病死しました。わずか26歳。東京美術学校で油画を学び、これからという若者の命でした。もし、あの戦争がなかったなら。萬平さんはきっと、愛する霜子さんと、健やかに育つ長男の姿を、何度も何度もキャンバスに描いていたはずです。しかし、その未来は一瞬にして奪われました。
無言館に並ぶ、戦没画学生たちの遺作。それは戦争によって未来を奪われた若者たちの「生きたかった」という叫びです。戦争体験者が少なくなっていく中、私たちはどうやってその理不尽さを語り継いでいけばいいのか。そのひとつの答えが無言館にあると思うのです。