闇芝居 3期


都市伝説まとめ

『試着』

2016年1月13日

彼氏とのデートでショッピングモールにやってきた女子大生。
今日は彼女にとって19度目の誕生日。
彼女が喜ぶプレゼントを選ぶ自信がなかったのだろうか、「プレゼント買いに行こうか」と彼にを誘われたのだ。
ちょうど流行りのワンピースが欲しかった彼女はデートだということも忘れ、理想の一着に出会えるまで、明らかに疲れの見える彼を連れまわした。
「ねぇあの店も見たい!」
「…うん、行っておいで」
「一緒に行くの!」
疲労困憊で待ち合わせの時よりも2~3歳年をとったようにさえ見える彼の手を引き、店に入る彼女。


若い女性ばかりが溢れかえる店内で所在なく佇む彼を余所に洋服選びを始めると、ふと思い描いていたイメージにピッタリのワンピースがラックにかかっているのを見つける。
すぐに駆け寄り、ワンピースを手に取ろうとしたその時、同時に手を伸ばしてきた他の客に力強く手首を掴まれる。
「…痛っ!」
見ると彼女の手首を掴んでいたのは髪が長く薄気味の悪い女だった。
女の着ている服はところどころ色あせているどころか擦り切れ、とてもファッションに興味があるようには見えない。
血色の悪く骨ばった女の細い指は、彼女の手首に力強く食い込んでいた。
 「…あの…これ私が先に見つけたんですけど」
 そう言って睨みつけると女は我に返ったように彼女の手を離し、何やらブツブツとひとり言を呟きながら去って行った。
「…なにあれ?気持ち悪い」
 だが理想のワンピースを見つけたことでテンションの上がっている彼女は、気味の悪い女の事などすぐ忘れ、サイズを確認する為、試着室へと入る。


袖に腕を通し、背中のファスナーを閉めるとややきつかったが、何とか着られそうだ。
と、スカートのすそがほつれているのが目に入る。
「これぐらいなら自分で直せるか」
改めて目の前の鏡に視線を戻すと試着室の中…自分の背後にさっきの気味の悪い女がいつの間にか満面の笑みを浮かべ立っていた。
女は、驚きのあまりポカーンと開かれた彼女の口を両手で掴み、乱暴に押し広げると、あっという間に足を入れ、手を通し、まるでつなぎでも着るかのように体内に侵入してくる。
うめき声すらあげることのできない彼女は、指先から少しずつ体の感覚や自由が奪われていくのを感じていた。


やがて女が完全に体内に入りきった時、鏡の前で理想のワンピースを着てポーズを決める自分がニタリと笑いながら言った。


「このワンピースを着ているあなたを試着したかったの」



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