『踏切』
2016年1月20日
暇つぶしに、幽霊が出るという踏切に車でやってきた学生たち。
写真を撮ったりと盛り上がる学生たちだが、ふと踏切の向こう側にいつの間にか車が停まっているのに気付く。
「あれも肝試しに来た連中かな?」
ボディはボコボコにへこみ、あちこちが錆び着いた紺色のセダンはやがてトロトロと踏切内に侵入してくる。
「…ズズ…ズズ」とまるで引きずられるように進むセダン。
「なんだありゃ…パンクでもしてんのか?」
車内は沈黙に包まれ、いつの間にか学生たちは薄気味悪いセダンの動向から目が離せなくなっていた。
が、距離が接近するうち、踏切内に差し込む街灯の明かりに照らし出され、次第にその異常な事態を彼らは認識する。
セダンにはタイヤがなく、タイヤがあるはずの部分には四つん這いになった血まみれの人間が4人いて地面を這いながら進んでいたのだ。
恐怖のあまり声を上げることすらできない学生たち。
この場所から離れようにも、車のエンジンがかからず、ただただ近くを通過していくセダンを見つめることしかできない。
運転席にも血まみれの女が乗っていて、彼らの横を通過している間こちらをジッと見つめているようだったが、当然それを直視することなどできなかった。
実際にはほんの数分の出来事だったのだろうが、まるで何時間にも感じられた。
ルームミラーで確認するがすでにセダンの姿はない。
なんとかやり過ごしたとホッと胸をなでおろす学生たち。
しかし次の瞬間、自らの体に「ズズ…ズズ…」と異常な振動が響き渡るのを感じた。
「…まださっきのセダンが近くにいるのか?」
だが周りの風景が微妙に動いていることからすぐにそうでないことに気付く。
学生たちの乗った車が進んでいたのだ。
「な…なんで?」
学生の内の一人がバックミラー越しに車の下を見ると、タイヤがあるはずのその場所には四つん這いの人の姿が。
扉は開かない。
…ゆっくり…ゆっくりと…踏切内に侵入していく学生たちの車。
パニックになっていて気付かなかったが、少し前から辺りには「カーンカーン」という遮断機の警報が鳴り響いていたようだ。
「ズズ…ズズ…」とまるでアスファルトで骨が削れるような嫌な振動を伝えながら、彼らの乗った車はちょうど踏切の真ん中あたりに到達しようとしていた。
やがて遠くから耳をつんざくような電車の警笛が聞こえ…。
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