第14話 『孫呉の慟哭、六駿鎮魂に揺らめく』
玉璽の奪還と引き換えに、呉軍はあまりに大きな犠牲を払うことになった…。都では勇者の弔いのため、孫権をはじめ、家臣や民に至るまで、国中が深い悲しみに包まれていた。そんな中で、陸遜は自責の念に駆られながらも、玉璽を自らの手で守ろうと決意。その所持を願い出るが、柱石を失った呉の軍議はまとまりを欠き、陸遜の処分を求める声まで上がるのであった。そして、共に戦った仲間を失った悲しみが、六駿の間にも亀裂を生じさせようとしていた…。
第15話 『憂いし陸遜、孫権の微笑に再起を誓す』
呉の国葬から三ヶ月、江東は雨期を迎えていた。長江の流れに守られ、呉の人々は暫しの安息の日々を過ごしていたが、陸遜の心は未だに晴れないままであった。そんな折、訓練中の六駿のもとを孫権が訪れる。食事係の陸遜は夕食の馳走を約束するが、孫権は執務に忙しく、夕餉の時間には現れなかった。以前から陸遜の浮かない様子に気付いていた凌統は、この機会に孫権と話してこいと勧めるのだが…。一方、その頃、劉備が建国した蜀の使者として、趙雲が魯粛の邸を訪れる。趙雲が明かした、孔明に託された密命とは如何なるものなのか…?
第16話 『関羽の咆哮、陸遜を撃ちて覚悟を迫る』
玉璽が再び呉から奪われてしまった。それは孔明が望んだことだと聞かされた陸遜は、戸惑いの色を隠せない。孔明は玉璽を奪い、何をしようとしているのか?果たして、本当に孔明の命令によるものなのか?その答えを出すために、陸遜は蜀への旅立ちを決意した。険路を越えて、蜀との国境地帯までたどり着いた陸遜と凌統が見たものは、劉備軍に追い立てられ、苦しむ民衆の姿であった。そして、憤る陸遜と凌統の前に、蜀の猛将、関羽が姿を現した…。
第17話 『草庵の再会、師弟の深縁益州に交叉す』
蜀の草庵で、孔明との再会を果たす陸遜。だが、孔明は玉璽の強大な力を使うべきだと主張し、変わり果てた師の姿に陸遜は悲痛な叫びを上げて草庵を去るのだった。さらに、孔明の命で張飛が陸遜の追撃を開始する…。
第18話 『桃園の義兄弟、蜀の山野にて絆の花を見る』
太史慈達の助けで張飛から逃れた陸遜と凌統は呉への帰還を決意した。一方、関羽と張飛は魏軍を迎え撃つべく、疑似玉璽の強大な力を再び手にする。自我を失うほどその力で、劉備と交わした誓いまでも、二人は見失ってしまうのだろうか…?
第19話 『猛き太史慈、中原の大地に仁王立つ』
呉の都へ帰還するため、荊州を通過する陸遜たちであったが、劉備軍を警戒しながらの移動のため、国境へ未だに辿り着けずにいた。その途上太史慈は、皆に進路を示し、六駿を導く役目を果たす呂蒙の姿に、軍師の資質を感じるようになる。そして、ようやく呉の国境が間近に迫った時、背後の江陵の町から火の手が上がった。他でもない、六駿を追撃してきた関羽と趙雲が放った、挑発の炎である。民を救うため荊州に戻るべきか? 孫権のため都に帰還すべきか? 六駿の道が、今、分かたれようとしていた…。
第20話 『呉下の阿蒙、若き智を用いてその身を起こす』
大切な仲間を失い、悲しみに暮れる六駿。そんな中、呂蒙は己を奮い立たせて道を急ぎ、ついに孫権と巡り会う。そして、孫権によって軍師に任命された呂蒙の指揮のもと、関羽を迎え撃つべく、新たな六駿の戦いが始まろうとしていた…。
第21話 『江陵の落日、武人の魂を侵奪す』
呂蒙の策によって、江陵で捕らわれの身となった関羽。孫権が下した処遇は、処刑でも解放でもなく、この地の民のために関羽の力を役立てて欲しいというものであった。主君・劉備とは違い、花ではなく大地に畑をと願う孫権の考えに、揺らぎ始める関羽の心。だがその時、関羽奪還に執念を燃やす張飛が現れ、江陵の城に襲いかかった。張飛は、関羽の帰還を心待ちにする劉備のため、擬似玉璽からさらなる力を得て、鬼神と化していたのだ。己の醜い姿を張飛に重ね合わせ、心痛める関羽。その弟への思いが、関羽を突き動かす。
第22話 『劉備乱心、凍てつく陰となりて江東を彷徨う』
関羽と張飛、桃園の誓いを結んだ義兄弟が、再び劉備のもとに戻ることはなかった。二人を思う劉備の強い情念が、呉の、六駿への激しい怒りへと変貌し、ついに動き出す…。
その頃、呉へ帰還した六駿のもとには、敗残兵となった魏の張遼が、不気味な報せを伝えていた。魏の軍勢は再び蜀に侵攻したものの、兵士は皆凍りつき、武将たちは煌星も叶わまま、敗れ去ったというのだ。蜀の侵攻を改めて警戒し、防衛線を張る呉軍。だが、怒りに燃えた劉備はものともせずに迫り、ついに呉の都を、凍てつく風が覆い始めようとしていた。
第23話 『雪原の孫仲謀、陸遜に従いて故国を脱す』
凍てつく風に覆われた呉の都を脱出し、陸遜とともに荒野を彷徨う孫権。既に呉の領内は、劉備がもたらした冷気に覆われ、白銀の世界と化していた。寒さに震えながらも、師への思いを募らせる陸遜。その思いを察した孫権は、陸遜の心を解きほぐすかのように、孔明との過去の思い出を聞き出すのだった。星を読む術、大地の気を取り込む術…陸遜の中には、今も孔明から学んだ全てが息づいており、改めて陸遜にとって師・孔明の存在が大きいことを孫権は悟る。
陸遜は、劉備と、そして孔明と刃を交えることができるのか?答えを出せぬまま、二人の逃避行は続く…。
第24話 『劉備の落涙、新たな光明を野に示す』
氷に覆われた山中で対峙する陸遜と劉備。巨大な煌星龍を従えた劉備は、全てを凍てつかせようと怒濤の勢いで迫ってくる。陸遜は懸命に劉備の説得を試みるが、悲しみに満ちた煌星龍の一撃を受け、ついに倒れ伏してしまうのだった。そんな陸遜の眼前では、劉備の放つ氷の花びらに襲われ、孫権が傷ついていく。大切なものを失いたくはない――陸遜の強い思いが、その内なる力を呼び覚まし、新たな希望の光を生み出そうとしていた。
第25話 『陸伯言、紅き星落つ五丈原に舞う』
赤き星が降りそそぐ五丈原――。この世の終焉を思わせる地で、陸遜と孔明、因縁深き師弟が静かに相見える。呉の都や中原の大地は、星がもたらす炎によって焼かれていき、孔明は、それさえもが世のさだめだとして、玉璽を手にしたまま滅びを受け入れようとする。しかし、陸遜は師の言葉を受け入れようとはせず、孔明から玉璽を取り戻し、希望を繋ぐため、ついに師との別れを決意する。陸遜伯言、諸葛孔明、ここに、二つの巨星が己の信念を賭して争う時が来た。玉璽がもたらす哀しき闘いに、果たして終止符は打たれるのであろうか……。