#14 「監視」
「キャルを自分の助手として育てる」ワイズメルからキャルを守るため、玲二は幹部会で大芝居を打った。抜け殻の様に暗殺を続けていた玲二。それだけに、彼がキャルに同じ道を歩ませたいはずなど無かった・・・。だが、幹部に啖呵を切った以上、それなりの体裁を整えなければ幹部を納得させる事は出来ない。特にワイズメルの追求は厳しいだろう・・・。キャルを守るための嘘・・・。それは、思った以上に玲二に重くのし掛かる・・・。
一方、クロウディアはワイズメルに疑惑を抱いていた。彼は組織内でクロウディアが力を得る事を快く思っていない。自分への牽制で取引を潰したとしたら・・・確かに辻褄が合う・・・。クロウディアは梧桐らの帰国を引き止め、秘密裏に玲二に監視させる・・・。梧桐組をエサにワイズメルを炙り出し、その尻尾を掴むために・・・。
#15 「再会」
『・・・あるわけがない・・・彼女は死んだ・・・俺がこの手で・・・なのに、生きてるだなんて・・・』
玲二が目を離した隙に梧桐組の室戸は殺された。殺害現場から足早に立ち去った女・・・一瞬だけ見えたその顔は・・・エレンに似ていた・・・。
「そんなはずは無い・・・」頭ではそう思うが、体は驚きで固まり逃げられてしまった。完全な失態・・・。エサだけ取られた釣り針の立つ瀬は無かった・・・。
またしても舎弟を殺された梧桐は激昂。梧桐の信用を取り戻すためクロウディアは、3日後に犯人を差し出すと梧桐に約束する。3日後・・・ホテルの一面ガラス張りの会議室で梧桐組のインフェルノ正式加盟が決まる。その時、敵は必ず動く。そう踏んだクロウディアは玲二にもう一度指令を与える。玲二に課せられたのは、無謀とも思える狙撃手を逆狙撃するカウンタースナイプ・・・。二度目の失敗は絶対に許されない・・・。
#16 「告白」
エレンの幻影に悩まされながらも、玲二はかろうじてワイズメルの懐刀ランディ・ウェーバーによる梧桐の狙撃を阻止する事が出来た。脅威は排除した・・・梧桐を狙う者はもう居ないはずだった・・・。しかし...安堵した玲二の耳に、聞こえるはずの無い2発目の銃声が轟く・・・。
会議室のガラスに穿たれる弾痕。突然の銃撃を裏切りと解した梧桐はまたも激昂する。一触即発の空気となった。首謀者ワイズメル、彼こそが全ての陰謀の黒幕だと梧桐とマグワイヤに静かに告げるクロウディア。彼女の示したインフェルノ流の"落とし前"により、事態は収束したかに見えた・・・。
だが、玲二の疑念は、消えはしなかった・・・。誰にも当たらなかった疑惑の銃弾・・・。一体誰が・・・?玲二の脳裏で再びエレンの幻影が踊る・・・。
#17 「真相」
『・・・おまえが思い出させてくれた・・・笑うことも、泣くことも・・・』
玲二はキャルとの生活で徐々に無くしていた感情を取り戻していた。自分はもう後戻りが出来ない・・・そう思っていた。でも、今なら・・・キャルと一緒ならば、普通の世界に戻れるかも知れない。玲二はキャルと共に生きる道を選ぶ・・・。そのためには、組織を辞めるか、逃げるしかない・・・その時、組織はどう出るか・・・。考え込んでいた玲二はリズィに呼び出される。
しかし、いつもの操車場で玲二を待っていたのは、銃を突きつけられたリズィ・・・そして梧桐組の面々だった・・・。梧桐は一枚の写真を玲二に見せる。そこに写っていたのは、室戸の死体の傍らで剃刀を手にした玲二だった・・・。はめられた・・・。だが、この状況では、弁解の余地は無い・・・。動揺する玲二に梧桐は、さらに驚くべき事実を語り出す・・・。
#18 「対決」
梧桐組を狙った一連の事件は、クロウディアの裏切り行為によるものだったのか?戸惑う玲二に、釈明をせず行方をくらましたクロウディア。その事実だけで裏付けとしては十分だった・・・。
即座にマグワイヤから、クロウディアと部下の玲二の抹殺指令が下る。キャルの身を案じ自分の部屋へと急ぐ玲二。だが、組織の動きは早く、駆けつけた玲二の目の前で住処は爆炎を吹き上げる。呆然とその場に座り込む玲二。キャルの名を叫んでも返事は・・・無かった・・・。
取り戻したかに見えた日常は、再び玲二の手からこぼれ落ちてしまった・・・。
全てを失った玲二は、あの廃工場へと向かう・・・。何もかも、ここから始まった・・・ならば、終わるのも・・・ここがふさわしい・・・。
#19 「約束」
インフェルノの取引を潰した犯人を調査する過程でキャルという少女に出会った玲二。だが、インフェルノ上層部は犯人の手掛かりを知るキャルを尋問にかけようとした。彼女を守るため、玲二は彼女を助手として訓練していると組織を欺くことに・・・。
キャルとの生活の中で、彼女の無邪気さに触れ玲二は次第に、異常な世界から人間らしさを取り戻していく事に気づき始めていた。キャルと一緒ならば過去の自分に戻れるかもしれない・・・。いつしか二人は互いにかけがえの無い存在となっていた。
だが、あの男、サイスが動き出す・・・。行方をくらまし、クロウディアへの復讐の機会を窺っていたサイス。クロウディア、梧桐組、ワイズメルと三つ巴の疑心暗鬼を煽り立て、それぞれを自滅へと導いた。そして、最後の仕上げとしてクロウディアのこれまでの陰謀をインフェルノの上層部に暴露しようと、サイスが暗躍する。
#20 「故郷」
ただ終わりだけを求め、全てを諦めた様子の玲二。そんな玲二にエレンは、これまで自分を生かし続けていたものが何なのかを打ち明ける。それは、命を助けられたあの日・・・玲二の「生き延びろ」という言葉だった。
負傷したアインとの唯一残っている約束のために・・・。玲二は彼女と共に生き続ける道を選ぶ・・・。
あれから2年後―、長い逃亡生活を経て、二人は日本に身を隠していた。夢のように平穏な日々、普通の若者の様に高校にも通い、このまま過去を忘れて生き続けて行く・・・、そのはずだった。だが、夢の終わりは唐突!・・・忘れていたはずの銃声が玲二を現実に引き戻すことに・・・。
#21 「憤怒」
忘れた事など無い、あのオルゴールの音色。亡霊を見て青ざめる玲二・・・。死んだと思い込んでいたキャルが、彼の前に立っていた・・・。
破られた約束に傷ついたキャルの心・・・。ひとりぼっちの少女の悲しみ・・・。そして自分を裏切った玲二に対する復讐だけを支えに、彼女はファントム・ドライへと変貌する。ドライが、玲二を狩り立てるつもりならば、戦いは避けられない・・・。だが、彼女の人生を狂わせたのは、他でもない自分・・・。果たして自分に彼女が撃てるのか?
玲二の苦悩は深い・・・。玲二の心中を察した江漣は、二人を戦わせてはならないとの思いに至る。そのためには、一刻も早く国外へ逃亡するか・・・さもなくば、玲二に代わり自らキャルを撃つしかないのか?! 3人のファントム(亡霊)は、本来持ち得ないはずの感情を交錯させる!
#22 「激昂」
キャルは江漣を礼拝堂に呼び出した。この2年間、自らを押し殺しインフェルノに飼われながらも、玲二を探し出す機会を伺い、彼を追い詰め、始末することだけを楽しみに生きてきたと江漣に吐露するキャル。一方、サイスから二人の居場所を告げられ礼拝堂へ駆けつけた玲二が目にしたのは、互いに銃を向け合う二人の姿だった。とっさにキャルに銃を向ける玲二。だが・・・トリガーにかかる指先は震える・・・玲二にキャルが撃てる訳がなかった。固まる玲二を差し置いて、キャルと江漣が同時にトリガーにかけた指に力を込め始める・・・。
#23 「決断」
リズィの乱入で興が冷めたのか、キャルは素直に退いた。2年ぶりの再会・・・しかし、玲二とリズィは互いに懐かしさにひたることはない。リズィは玲二にキャルを抑え切れなくなるのは時間の問題だと忠告し、クロウディアの分まで今を生きろと言い残し去って行く。
逃亡までの時間を稼ぐための切り札として、玲二は、彼に想いを寄せる梧桐組組長の娘・美緒を利用し、梧桐組の現若頭である志賀を介してインフェルノに圧力をかける。しかし、上層部の決定に納得の行く筈もないキャルは、玲二の前に単身現れる。
「お前の手にかかるなら・・・相応の報いだ。ただ、江漣・・・アインだけは見逃してほしい」
自分を捨てた玲二に、死んでも守りたいと思う相手がいる・・・。玲二の言葉にキャルは激昂し、玲二を殴りつけ立ち去る。だが、その夜どういうつもりかキャルは美緒の前に姿を現わす・・・。
#24 「対峙」
美緒という切り札を握ったキャルは、玲二との対決の場を指定するまで日本に留まれとプレッシャーをかける。美緒を犠牲に逃げる事など選べるはずも無い・・・。どうあっても対決はもう避けられないのか・・・。キャルの要求に従い、表面上は今まで通りの生活を送る玲二。
自分にキャルが撃てるのだろうか・・・? 切迫した事態に比して、考える時間は余りにも少なかった・・・。そんな折、江漣は留守電のメッセージだけを残し、玲二の前から姿を消した。美緒を救い、そして玲二を守るためにキャルの居場所を探り、彼女を撃つ・・・。
「あなたに江漣と呼ばれて以来・・・、私の命はあなたを守るためだけにある・・・」
それが、彼女の意志だった・・・。元ファントムのアインではなく、江漣としての・・・。
#25 「決着」
玲二の必死の捜索にも関わらず、江漣とキャルの行方は杳として知れなかった・・・。焦る玲二にキャルから解放された美緒からの連絡が入る。巻き込んでしまった事を今更悔やんでも取り返しはつかない・・・。しかし、美緒は何事も無かったかの様に江漣とキャルの居場所の手掛かりを伝え、そして二人の事を頼みますと、玲二を送り出すのだった・・・。
「明日になったらきっと忘れちゃいます。・・・だから玲二さんも、いつだってここに戻ってきていいんです」
全てを許し玲二を見送る女・・・美緒。身を捨てて玲二を守ろうとする女・・・江漣。純粋な想いゆえ全てを奪い壊そうとする女・・・ドライ(キャル)。三人の女・・・。そして一人の男・・・玲二。現在と過去・・・自分の愛した彼女たちの対決の場所は礼拝堂・・・。だが、贖罪も告悔も、今はまだ出来ない・・・。自らの手で因果に決着をつける・・・それまでは・・・。
#26 「江漣」
止まったオルゴールの音色・・・。静寂が支配する礼拝堂に銃声だけが響く・・・。玲二は自らドライ(キャル)と決着をつけた・・・。始まりは、ほんの少しの間違い。絡まった因果の糸をほぐすことは出来なかった・・・。だが、キャルは玲二に出会えてよかったと、彼の腕の中で安堵の笑みを浮かべる・・・。
彼女を悼む時間すら与えられず、玲二の耳に銃声が轟く。白いマスケラと突撃銃で武装した6人の少女たち・・・サイスの新たなファントムである『ツァーレンシュヴェスタン』が、玲二と江漣に襲いかかる。
「俺は・・・・・・殺す・・・間違いだらけで、どの約束も果たせなかった俺の人生で、絶対に守りたい約束...キミを笑わせるために・・・」
全てに決着をつけるため、江漣を解放つため、そして、守りたい約束のために・・・玲二は・・・殺す・・・。