日経スペシャル「ガイアの夜明け」 12月6日放送 第190回

2005年 宇宙への旅
~未来の100兆円市場に賭けろ~
ガガーリンの人類初の有人宇宙飛行から半世紀近く。冷戦時代には米ソ両国家が威信をかけて競い合った宇宙という名の戦場はいま、民間ビジネスにとっての巨大なマーケットになろうとしている。
アメリカでは数々のロケットベンチャーが、宇宙旅行のためのロケット開発に心血を注ぐ。そして日本ではついに、
宇宙旅行が民間人向けのツアー商品として売り出された。
天空にビジネスの夢を賭ける人々を追う。
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今年10月。アメリカ南部ニューメキシコで、宇宙イベント「Xプライズカップ2005」が開催された。
そこにはロケットベンチャー各社が、格好のアピールの場として多種多彩な宇宙船を運びこんでくる。
その中でも注目を浴びたのが、宇宙船「XP」。これを開発するロケットプレーン社は圧倒的な資金力を背景にして、宇宙旅行実現にもっとも近い存在と目されている。
「金が無ければ技術は進歩しない」――。そう言い切る副社長のチャック・ラワーさんは、さらなる資金調達を目指してXカップに乗り込んだ。狙うは投資家の獲得。5億円の資金をどこに投資しようかと悩んでいる投資家との熾烈な攻防に密着する。
一方、対照的に「技術が無ければ金は手に入らない」と、ひたすら技術を追求するのがXCOR社。その開発コンセプトは、安くて安全な宇宙船を造ること。Xカップでは自慢の格安ロケットエンジンを搭載した「EZロケット」のフライトに挑戦する。
宇宙一番乗りを目指してデッドヒートを繰り広げる宇宙船ベンチャー。勝つのはどこだ?
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宇宙旅行の波が、ついに日本にもやって来た。旅行業界の最大手、JTBが宇宙旅行への参入を表明したのだ。その舞台裏には、1人の脱サラ旅行マンの姿があった。
30年勤めた旅行代理店を去年4月に退社した横山龍宏さんは、アメリカの宇宙旅行会社スペース・アドベンチャーズの日本支社を設立した。そして、スペース・アドベンチャーズが狙いを定めていた日本マーケットに宇宙観光時代をもたらそうと動き出す。旅行業界のガリバー・JTBと組んで “夢物語”をビジネスにするべく奮闘する横山さん。
果たして、宇宙旅行は売れるのか。
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2002年の2950億円をピークに頭打ち状況になっている日本の宇宙開発予算。これに対しアメリカは、年間約1兆5000億円を超す予算を宇宙に注ぎ込んでいる。一方、中国は「神舟6号」で2度目の有人宇宙船打ち上げを成功させた。日本の宇宙開発は後れを取っているといわざるを得ない。
そんな中、企業と大学がタッグを組み宇宙に進出すべく設立された小さな組織が北の大地にあった。HASTIC(北海道宇宙科学技術創成センター)。2002年、地元企業と北海道大学が中心となって設立されたNPO法人だ。
そのHASTICが開発した低コストロケットに、アメリカのロケットベンチャーが目を付けた。「Xプライズカップ」で注目を浴びていた、ロケットプレーン社である。日米ベンチャーの夢は、この低コストロケットをロケットプレーン社の宇宙船に搭載すること。さらには、北海道宇宙空港構想にまで及ぶ。
果たして、HASTICは日本の宇宙開発に風穴を開けられるのだろうか?
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