| 日経スペシャル「ガイアの夜明け」 4月10日放送 第258回

「生まれ変わる木造住宅密集地」
今、都市の再開発で、高層ビル、マンションが続々と建設されている。しかし、その一方で、なかなか手つかずの盲点と言われている場所がある。大都市に点在する木造住宅の密集地域だ。実はそうした地域こそが、震災の起きたときに最も被害を受ける可能性があり、大火災の発生源になる危険性も含んでいると言われている。阪神大震災の時にも、木造住宅の密集地が最も被害を受けた。防災上の観点からも本格的に再開発に取り組まなければいけない地域だと政府も考えている。
平成15年に政府は、もし地震が起きた場合、大きな被害を生じる可能性のある地域を「重点的に改善すべき密集市街地」として指定した。その面積は、全国で8000ヘクタール。これらの地域を重点改善地区として整備していくと宣言したのだ。しかし、権利者が複雑に入り組んでいるなど様々な理由からなかなか着手できていない。
そうした状況の中で、地元に根付き、住民一人一人と話し合い、この地域を安全な街に生まれ変わらせようとしている人たちがいた。番組では、木造住宅密集地の再開発に奔走する人々の姿を追った。
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| 【東京下町の再開発に取り組む ~平成蒲田行進曲~】 |
中小の町工場が集まる地域、大田区蒲田。この街もまた「重点的に改善すべき密集市街地」に指定されている地域だ。その蒲田に注目されている男がいる。大田区蒲田在住の田村文男さん。彼の会社、アイリスコーポレーションが行う木造住宅密集地の再開発事業というのは、家屋や店舗などをひとつに束ね、ビルにすること。当然ながら慣れ親しんだ、自分の土地を手放すことに不安を持ち、共同化に反対する住民も出てくる。また昔ながらの下町の風情が無くなることを惜しむ声もある。地権者一人一人に物語があり、問題がある…。そこで、田村さんは一人一人と話し合い、解決の道を探して日夜努力を重ねていく。田村さんはこうした仕事を15年ほど前から始め、今も続けている。
今年3月、以前に手がけた地域の共同住宅が竣工した。かつて共同化に反対していた親の代から続く眼科医は今、一番喜んでいるという。一体その理由は何か?
番組では木造住宅密集地が抱える問題点とその実態をリポートする。
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| 【複数の権利者・・・・木造賃貸住宅の再開発における難題】 |
住宅密集地は東京だけでなく全国の大都市に点在している。大阪では、高度経済成長時代に、出稼ぎにきた労働者やその家族が移り住んだ賃貸型の文化住宅などが密集して残っている。現代の長屋である。今では建物は老朽化、住民も高齢化し、府や市が幾度となく開発に取り組もうとしたが、なかなか思うように進んでいない。東京のケースとは異なり、賃貸住宅が多いので、実際に住んでいる人、建物の権利を持っている人、土地の権利を持っている人など、関係が複雑である。また、再開発した地域は、安全性が高まる分、コストもかかり、どうしても家賃も上がる。これまでその賃貸住宅に住んでいた住民は新しい住宅には住めないかもしれない。 そうした調整で起こる葛藤や困難の中でも、大阪府門真市では、再開発のプロジェクトが進んでいた。発起人は、光亜興産の高橋光利さん。高橋さんは言う。「人の痛みが分からないで街づくりをやると大変なことになる」。高橋さんの動きに街の人、市、府、そして国までもが注目している。父親の姿に影響され、同じ仕事についた川村光代さんも新たに開発する密集地域でのプロジェクトに関わっている。再開発に挑む親子の姿とその夢を取材した。
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