| 日経スペシャル「ガイアの夜明け」 8月19日放送 第327回

台頭するPB商品 ~“価格”を制するのは誰だ~
値上げが止まらない。この夏も様々なモノの値段が上がった。食料品や日用品の値上げは、消費者の生活を直撃する。そこで俄然存在感を高めているのが、PB商品(プライベートブランド=自主企画商品)だ。流通チェーンなどが自ら商品開発を行い、メーカーに直接委託。宣伝費や物流費を抑え、ナショナルブランド(NB)より2割~3割安く消費者に提供できるという。その開発・販売の最前線では、イオン、セブン&アイの2大流通グループに負けじと、ローソンが「一律100円」のPB商品開発に力を入れ始めた。また大阪では、食品卸問屋が中小スーパー向けに激安PBを展開、特売品の目玉として人気となっている。一方、PB攻勢を受けるメーカーは、価格差に苦悩しながらも、付加価値をつけた商品開発で対抗。値上げの夏を乗り切ろうと奮闘する。果たして価格を制するものは誰か?物価上昇という向かい風の中、繰り広げられるシビアな戦いを追う。
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食パン、レトルトカレー、缶詰、大盛りご飯…。いつでも100円(税別)の「ローソンストア100」。昨年2月に業務提携した九九プラスと共同でPB「バリューライン」を展開している。他のPBと一線を画するのが、100円という壁。何でも100円なだけに、原材料高騰分を価格に転嫁できないのだ。そんな時、1リットル100円のしょう油で問題が発生した。製造を委託しているメーカーが悲鳴を上げたのだ。「あらゆるコスト削減で踏ん張ってきたが、もう限界だ」。容量減量は仕方がない。しかし、容量をどうするか…。一般的に醤油のペットボトルサイズは1リットルと500ミリリットル。いきなり半分の減量は、開発チームも納得できない。品質は落とせない、値上げも出来ない…開発チームの苦悩の中、NBには実現できない商品を送り出そうとする現場…。
PB商品に力を入れるのは、スーパーやコンビニにとどまらない。ホームセンター大手「カインズ」でも、日用品を中心にPB商品に力を入れ始めた。カインズホームで扱うPB商品はまだ10%程度だが、売上げ比率はすでに25~30%に達している。カインズでは、国内だけでなく海外で生産したり、店内の商品管理・陳列などに独自のシステムを導入するなど、徹底したコスト削減に努め、低価格を実現しているという。そして、商品開発の現場では、「安かろう悪かろうでは、消費者は振り向いてくれない。消費者が求めている機能だけを追求するのがPB」と担当者が走り回っていた。
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「このままでは、商品陳列棚をPBに奪われる…」。台頭するPBを横目で見ているだけでは、ナショナルブランドとはいえ生き残れない。そこで大きな決断をしたのが、中部地区を中心に展開する麺メーカー「寿がきや食品」。今年1月、原材料高騰による商品の値上げで、予想を超える売上げ減。カップ麺市場の主力であるドライ麺では、もはや低価格化の流れに勝てないと判断、“生めんタイプ”を看板商品と位置づけ、他社とは違う路線で生き残りを図る。それは、値下げだ。かき入れ時の秋冬に向けて売れ筋の“小さなおうどん”シリーズを値下げすると言う。その為、開発現場では地道なコスト削減の努力が行われていた。「原材料コストの8割も占める小麦粉の質を落とせば簡単にコスト削減につながるが…」ここは、国産小麦粉にこだわる寿がきや食品、質は落とせない。この値上げ時代にあって、どのように値下げは実現するのか!?
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大阪・中央卸売市場場外にある食品問屋「大阪地卵」。関西中のメーカーや問屋から商品をかき集め、徹底的な安価で売り出す。その倉庫には、自主ブランド「アルデ」として売り出しているPB商品があった。『うまくて安いモノが“あるでー”』という思いが込められたブランド名。現在は40種類あり、例えば砂糖、あんこ、小麦粉と原材料すべてが高騰した一口まんじゅうも10個で80円。PB商品を開発する余力のない中小スーパーにとって、大阪地卵のPB「アルデ」は大手に対抗する切り札となっている。
大阪地卵で目玉商品を買い付けるスーパーの仕入れ担当部長がいた。業績不振で倒産した総合スーパーの設備をほとんどそのまま使い、金を掛けずにリニューアルオープンするという。近くには大型店を控え、いくつものスーパーが撤退を繰り返してきた曰く付きの場所だ。部長がリニューアルオープンの目玉に据えたのが、PB商品アルデ。2リットル89円のアルデのお茶、しかも、それに79円の値札をつけた。文字通り赤字覚悟。オープン当日、狙い通り季節柄、お茶は飛ぶように売れていき、オープンはひとまず成功した。それにしても、今どき2リットル89円のお茶とは…。大阪地卵の安さの理由に迫る。
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