日経スペシャル「ガイアの夜明け」 12月8日放送 第395回 食の攻防2009(1) コーヒー戦争~一杯に賭ける男たちの闘い~
日本では年間100億本の缶コーヒーと430億杯のコーヒーが消費されている。 その量はアメリカ、ブラジル、ドイツに次いで世界第4位。中でも缶コーヒーは8000億円の巨大市場だ。節約志向を背景に、割安さがうけ、カフェ以外で飲む消費者が増えているという。缶コーヒーメーカー各社は、シーズン毎に新商品を発売し業界内でのシェア拡大を図る。秋冬は缶コーヒーの消費が増える季節。コーヒー飲料メーカーの闘いがヒートアップしている。一方、コーヒー豆は、気候変動や投機による価格の乱高下で市場が安定していない。コーヒーの消費は右肩上がりで増えるものの、生産者が品質を維持するのが困難になってきているのだ。このままでは消費者もおいしいコーヒーを飲み続けられなくなる。その危機感から、「サステイナブル(持続可能な)コーヒー」という新しいコンセプトで、コーヒーの価値を上げようとしている男がいた。コーヒー豆はすべて輸入に頼るニッポン。1杯のコーヒーをめぐる知られざる闘いから、食糧資源確保の向かうべき進路を考える。
実は日本生まれの缶コーヒー。70年代に自動販売機が普及したのをきっかけに市場が拡大、今では年間販売額8000億円にまで成長した。メーカーも年間約120種類の新商品を投入する。売れなければ数週間で販売終了という厳しい市場だ。メーカー間の開発・販売競争は激化の一途を辿り、毎年、缶コーヒー戦国時代とも言うべき熾烈なシェア争いが展開される。その中で虎視眈々とシェア拡大を狙っているのが、シェア4位のアサヒ飲料だ。“朝専用の缶コーヒー”というヒット商品を持ち、去年も「金の微糖」という微糖の缶コーヒーがヒット。シェア3位の座が見えてきた。今回、来年の年明けに向けて準備されている、新商品の開発現場にカメラが入った。今回仕掛ける新商品に向け、開発チームが目をつけたものは・・・。
コーヒー・ハンターの異名をとる男がいる。大手コーヒーメーカーUCCの元役員、川島良彰さん(53歳)。川島さんはUCC時代を含め、28年に渡るコーヒー農園開発の経験を持つ。いま、取り組んでいるのは、大企業が作り出すコーヒーとは対極の「サステイナブル・コーヒー」=持続可能なコーヒーというもの。コーヒー豆は、相場や天候に左右され、投機目的にもされてきた。これに対し、川島さんは生産者に、品質に見合った対価を払い、良質な豆を生産・供給し続けられる仕組み作りを考えているのだ。そして目指すのは、世界最高級のコーヒー豆だ。川島さんはいま、コーヒー豆のおいしさと生産者の権利を守ろうと、世界のコーヒー産地を回っている。最高級のコーヒー豆作りは異国の生産者と心を通わす、地道な交流が必要なのだ。川島さんは「最高にうまいコーヒー豆」を調達したあかつきには、大きな勝負に出ようとしていた。それは、「ニッポンのコーヒーを変える」と言っても過言ではない、挑戦だった。