日経スペシャル「ガイアの夜明け」 5月18日放送 第417回 銀座デパート最終戦争 ~百貨店は新しい価値を作り出せるか?~
大きな岐路に立つ百貨店業界。高級路線を維持するのか?安売り路線にシフトするのか?生き残りを模索するその裏では、これまでの栄光を捨て百貨店の価値を再構築しようとする、試行錯誤が進んでいた。中でも、注目を集めているのが、ファストファッションが進出している東京・銀座だ。銀座を舞台に、ファストファッション、そして低価格路線に負けないために、様々な暗中模索が繰り広げられていた。真の百貨店の姿とは何か?ニッポンの百貨店の闘いをドキュメントする。
老舗百貨店・松坂屋の銀座店。高級ブランド・伊グッチの撤退のあと、若者に人気のファストファッション店「フォーエバー21」を入れた。4月29日にオープンしたこの店は、開店前に約1000人の客が行列を作るなど、ファストファッション人気が健在であることを示した。松坂屋では、いままでの高価格商品を売る、従来の “百貨店のビジネスモデル”自体が受け入れられなくなったと分析。「新百貨店モデル」を目指して、低価格でも人気のあるテナントは積極的に誘致していく戦略だ。これまでにない客層の集客が見込まれる一方、他フロアでもいかに買い物してもらえるかが、勝負になる。ファストファッションと組んだ「戦略」で何が、どう変わるのか?松坂屋、フォーエバー21の店舗内にカメラが密着、異次元を迎えた“銀座商戦”を追う。
最近7年間、「銀座一番店」の座を確保してきた松屋銀座店。百貨店再編の中で独立路線を歩んできた。松屋には「銀座の男市」という、百貨店の催事では最強の部類にはいるスーツの催事がある。去年も多くの百貨店がスーツ販売で苦戦する中、対前年比160%という記録をたたき出した。松屋のバイヤー、宮崎俊一さん(44)今年のGW商戦は、大勝負と位置付け、新たな「催事戦略」を練っている。その目玉商品が完全ハンドメードの3万5000円という、常識破りのスーツだ。このスーツをGWに投入するために、イタリア、中国を駆け回る宮崎さん。そのスーツ作りには、百貨店の新たな生き残りのヒントが…?
現在は独立して「ライフブランディング」という会社を運営している、元伊勢丹新宿店バイヤーの吉田泰則さん。「百貨店にはモノがありすぎる。お客に何が良い商品なのか伝わっていない。値段が高くてもかってもらえるやり方がある」と、2年前に“洋服購買代行ビジネス”なるものを始めた。客がどんな洋服を求めているのか、たんすの中まで見せてもらう「カウンセリング」でその人に相応しいスタイリング提案をしている吉田さん。新たな洋服購入代金の、15%をコンサルティング料として徴収するが、顧客は約1500人。毎年右肩上がりで顧客数は伸びているという。百貨店が売れないと嘆く前に、「しっかり客を見て、提案できれば、百貨店は生き残れる」と、話す吉田さん。百貨店から離れた消費者は、「格安・低価格」にだけ流れたのではないことを、吉田さんのビジネスから描き出す。