日経スペシャル「ガイアの夜明け」 11月23日放送 第444回 息子たちの戦争~親の知らない 新“就活”戦線~
若者たちの働く場所は、どこにあるのか?今春の大卒の就職率は、60.8%。前年度からマイナス7.6%と、下落幅は過去最悪。大卒のほぼ6人に1人は就職も進学もしていない。今秋からは大学3年生の就職活動が始まった。内定の取れていない4年生たち、そして、前年に内定を取れなかった“既卒者”たちが入り混じりながら、“就活”が展開されている。日本特有の慣行として存在してきた「新卒一括採用」。政府、経済界、大学、そして学生たちの間でその是非をめぐり議論も起きている。大量の「就職留年組」を生み出す「新卒一括採用」は、日本経済の競争力向上を図るものなのか?ニッポンの就活は、このままで良いのか?若者たち、その親、企業の本音に迫る。 いっぽう、働く場所は自分で作ると、就活に見切りをつけ起業を目指す学生たちが増えている。その多くは、“社会起業家”。カネ儲けよりも、社会のためになるビジネスだという。高度成長時代の発想や仕組みとは違う、新しい「働き方」で、就職難時代に立ち向かう若者たち。だが、そう簡単に起業できるほど世の中は甘くない…。勤労感謝の日、いまニッポンで働くことの意味を、若者たちの群像で見つめる。
ノグチ君(仮名・23歳)は、A大学文学部4年。3年生の1月~就職活動開始、4年の夏まで面接など受ける。広告代理店を希望していたが、6月ごろに受けた会社に落ち、行きたい会社が全滅。ちょうどそのころ、就職活動の忙しさで授業の出席日数も足りなくなり、必修科目を落とす。これで留年が決定した。「広告を目指していたが、後半はメーカーにも手を広げていた。最後は何を志望しているのかも分からなくなっていた」大学の近くのアパートに一人暮らし、バイトはマージャン店。両親は留年には全面的には納得していない。団塊の世代の父親は、「留年を安易に決めたお前の考えは、甘すぎる!」と、就職先が決まらない息子にイライラ気味。ノグチ君は今秋から始まった3年生向けの会社説明にも出るが、企業側は4年生には興味はない。追い詰められた4年生のノグチ君が、どんなシューカツで就職を決めるのか? いっぽう、B大学のワタナベ君は2010年3月卒業。在学中は50社受けたが全滅。やっとのことで某メーカーから、在学中に内定を得ていたが、他の会社の最終面接の結果待ちをするため、辞退。ところがその会社から3月31日に「採用せず」の通知。翌日から“既卒”となってしまった。就職活動を続けるも、企業は「新卒一括採用」で既卒者には厳しい。 大学には、「新卒」の肩書が欲しいために敢えて留年を希望する学生が増え、大学側が授業料の減免をするというケースもある。こうしたいわゆる「偽装留年」が増えるようなニッポンの就職活動は、果たして健全と言えるのか? 今秋始まったシューカツの現場に密着しながら、考える。
関西のC大学の3年生、タカオさん。厳しすぎるシューカツの状況を見て、早々に企業への就職をあきらめた若者だ。タカオさんは、父親を早くに亡くし大学への進学は諦めていたが父親の遺産が入ってきたことで進学できた。その時の経験から、片親であるがゆえに進学を断念する若者を支援したいと考えるように。中学・高校生むけ学習塾を開設し、片親の子供には特別に低い月謝で通える学習塾を、立ちあげることにしたのだ。だが、ビジネス経験も資金もない若者が気持ちだけで、会社を興すことはできるのか?塾の部屋を賃借するため、早速、不動産会社との交渉に動いたが。 いっぽう、某農業大学に進学するも、就職先が決まらないまま卒業したリエさん。農業関連の企業や住宅メーカーを受けたが全滅した。農業への夢をあきらめず、現在は「ボランティア・バイト」という形で働いている。その名の通り、ボランティア色の強いアルバイトで、賃金は安いが、農業に関する専門的な知識を学びながら、企業などで働くことができる。将来は農園を自分の手で運営したいというリエさん。ところが、両親はそんなリエさんに就職してもらい、安定した仕事について欲しいと心配している。親子の葛藤の果てに、若者たちの将来に光はさすのか…?