ストラトヴァリウス、突然の乱入を
前にして・・・・
薄々、私も気づいていた・・・
言われなくともわかっていた・・
今夜、あえて、言おう。
心からメタルを愛する者として・・
「ヘビメタバラエティ」ってなんだよ!!
バラエティとか付けんじゃねえよ!
舐めんじゃねえよ!ヘヴィメタルを!
「ビー」じゃねえだろ!「ヴィ」だろ!
30年だよ!30年!
メタルにこの身を捧げて30年だよ!
ガツンとやってくれ!
裏切り者にガツンとやってくれ!
トルキよ!コティペルトよ!
地獄の業火で奴らを燃やし尽くしてくれ!
・・・そんな私の熱い想いを受けた二人の
フィンランド戦士・・・なのに・・・なのに・・・
彼らの胸に、燦然と輝く・・・ ゼッケン。
「ティモ」とカタカナで書かれたゼッケンが、
私には・・・・眩しすぎた・・・・
あぁ・・・神をも恐れぬ「ヘビメタさん」は、
今夜も、傑作を・・・生み出すのだった・・・・
「世界 ギターの弦 最速張替え選手権」
厳か、かつ、スポーツライクな鮎貝の実況が始まりを告げる。
鮎貝 「全世界、ギターファンのみなさん!お待たせいたしました。
『世界 ギターの弦 最速張替え選手権』が、いよいよ開幕となります。
ゲストの熊田曜子さん!・・・・いよいよですね」
熊田 「はい!ギターの弦というものは、いちいち張り替えるものだったんですね!」
そんな胸にキュンとくる受け答えになんなく返す鮎貝。
鮎貝 「はい!またひとつお勉強になったということでですね・・・
ギタリストのプライド、そして母国の名誉を背負ってですね、
この、熱き闘いがはじまるわけです。では、試合前の選手のみなさんに
お話をうかがってみたいと思います。
えー、今でもみなさんは御自身で弦を張られたりするんですか?」
米国代表マーティ・フリードマン選手が、スターのオーラを漂わせながら答える。
マーティ 「自分でやるわけないでしょ!」
そして、フィンランド代表ティモ・トルキ選手も答えた
トルキ 「NEVER・・・」
私のうろ覚えの英語力で翻訳するなら・・ いまだかつて、一度も、そんなことやったことねぇよ・・
という意味ではないかと思われる潔い答えであった。
セコンドのティモ・コティペルト選手が口をはさむ。
コティペルト 「I do it」・・・・・
ざわめく実況陣・・・・・ 歌って、弦張ってか、大変だなぁ・・・・
真っ赤なメガフォンがやけに似合うコティペルトの、影の努力が垣間見える感動的なシーンであった。
「位置について!よーい!スタート!」熊田の掛け声で、この世紀のレースがはじまる。
「ゴー!フィンランド!ゴー!」威勢のいいメガフォン越しの声援がコティペルトから発せられる。
トルキの肩をもみ、タオルで風をおくり、甲斐甲斐しくセコンド業務をこなしていくコティペルト。
「おおっと!!これは妨害ですかぁ!」
いきなりタオルでマーティを目隠しする コティペルト。
「イカサマだ!イカサマだ!」と抗議の声を上げるマーティ。
熾烈な闘いは進んでいく・・・・・
果たして前代未聞のレースは、我らが マーティ・フリードマンのまだ見ぬ姿を現出させるのだった。
やはり・・・・ 笑いの神は・・・・・・いつでも・・・彼に微笑む
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↑“フロイド・ローズ”で奮闘するティモ・トルキ。
サポートするティモ・コティペルト。
GO!フィンランド! |
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↑大悪戦苦闘、
米国代表、マーティ・フリードマン! |
「おやっティモ選手は、フロイド・ローズじゃないですか?」解説の久武。
「張替えや、チューニングが面倒なフロイド・ローズですねえ」と、鮎貝。
「じゃぁ、勝負見えたようなもんですね」
そんな予感が実況陣を支配する中・・・
マーティ 「ヤバイっすよ!・・・ちょっとだけタイムアウトだよ本当に!」
ペグに弦を固定するネジが脱落するというアクシデントが、マーティを襲う。
「回しすぎだ!回しすぎだ!!」日本代表、野村義男選手が嬉々として、合いの手を入れる。
しかし・・マーティを襲う悲劇はそれだけではなかった・・・
圧倒的な速さでトップを野村が走る。
「なんか、ゼッケンがエプロンに見えて職人のようですね」
「野村さん、早いですね。チューニングに入ってますよ!」
そんな野村への賛歌が、飛び交う中、ぎこちないにも程があるマーティの手つきに
鮎貝 「マーティ・・・プロとは思えないですね」と辛らつな言葉が浴びせられる。
あせりがミスを呼び、ミスがあせりに繋がる・・そんな無間地獄真っ最中のマーティーの素っ頓狂にもほどがある悲鳴が響く!
マーティ 「いやーーーーー!これ、しかも穴が違うんだ!!」
なんと!なんと!なんと! 4弦を3弦の穴に通すという驚愕の大失態!
鮎貝の非情なる実況が炸裂する!
鮎貝 「これが!これが!世界で一千万枚以上のアルバムを売った男の
姿でありましょうか!!」
あぁ、なんと素晴らしき、この光景!ぼくたちは奇跡の瞬間に立ち会っているのだ!
ビバ!マーティ・フリードマン!生まれついてのエンターテナー!
何故に?何故にここまで、美味しいところを持っていくことができるのか!
もういい!やめてくれ!このままでは・・・死んでしまう・・・笑いが・・・凶暴なる笑いが
私の息の根を止めてしまう!苦しい!死ぬぅぅぅぅ!
・・・・・しかし、神は・・・非情なる笑いの神は・・・ 容赦することはなかった・・・
マーティ 「あら?一個足りないんだ?」
もはや、何が起こっても驚くまい・・・かわいらしいマーティのつぶやき
「弦を見失ってるぞ」ざわめく実況ブース。
そしてギターを振り回し、弦を探すマーティ・・・・もはやその視線は落とした弦しか、
目に入らない・・・ ごつん・・・ がつん
鮎貝 「マーティ弦を完全に見失っております・・しかも、となりのトルキ選手のギターに
ギターをぶつけて・・・おっとトルキ選手、むっとしております。
マーティはいいかもしんないけど・・・」
そこには・・もはや スーパーギタリストを超越した、 真のスーパースターの姿しかなかった。
最高だ!・・・・マーティ・・・・君は最高だ!
果たして勝負の行方は・・6分09秒、 日本の野村選手が一着でゴール、
そして、
「出来たよ!出来たよ!」と、まるではじめてギターを触った少年のような
無垢な喜びを表す姿に、
出来てあたりまえだろ!と誰しもが思いつつも
10分52秒でゴールした 米国のマーティ選手が二着、
11分20秒と健闘しながらも 3着に終わったフィンランドのトルキ選手と
そんな結果に、ゼッケン姿が妙に似合いつつ 暴れまくるコティペルト選手、
という、日米フィンランドの闘いは、大団円で幕を閉じた。
あとには、 チューニングを終えた3本のギターと
三人のギタリスト
そして、 ひとりのボーカルだけが残った。
舞台は整った・・・・・ 果たして・・・・・・・
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