- 2010年3月11日放送
- #19
『社寺工舎(前篇)』
伝統の心と技を受け継ぐ宮大工の世界を2週連続でお届けします。
前編は岩手県遠野市にある社寺工舎の本社から。
寺社の建築独特の材料や工程を紹介しながら、宮大工の仕事の魅力に迫ります。
宮大工 菊池恭二さん(社寺工舎代表)
お寺の新築工事を厳しい眼差しで見つめる宮大工の親方。
その腕は日本でも指折り!
奈良薬師寺の金堂・西塔復元など、
重要文化財の修復工事や神社仏閣の新築工事に携わって来た。
いにしえの技を今に受け継ぐ宮大工。
その奥深き世界とは・・・
岩手県遠野市
どこか懐かしさが漂うこの場所に宮大工たちの仕事場がある。
中はまるで体育館!
この広~い空間でどんな作業をしているのか。
これは現寸書きと言われ、
実際の大きさの部材をベニヤ板に書き写して型取りをする作業。
実物大の大きさで確認するので数ミリの微調整が可能になる。
ところで親方は何を書いているんですか?
「丸桁上端水(がんぎょううわばみず)
建物の水平の基準のすみになる。」
この現寸書きが出来ないと宮大工の棟梁にはなれない。
「だいたい早くても10年。
10年かかって、ようやく現寸を引けて、
実際、自分が差配をして建物が出来るっていうのは
物造りする人間の歓び、面白さ醍醐味である。」
建物の部位によって最も適した木材を選び、加工する。
大きくて年輪のある貴重な木材を使えるのは宮大工ならではの醍醐味。
「1500年とか2000年とかいう大きな災害とかなければ
間違いなく300年400年500年はもつ木なんですね。」
技が命の宮大工。
でも、イチバン大切なものは…

宮大工にとってイチバン大切なものは?
社寺工舎代表 菊池恭二さん
「人間ですね。みんなの力を借りて
建築を完成させるっていうのが
イチバン大事な事ですね。」
棟梁 安藤賢さん(宮大工歴13年)
今回、親方に見込まれ棟梁に抜擢されたのが宮大工歴13年の安藤さん。
腕は超一流なのだが…
「俺ダメ人間なんですよ。
棟梁ってまとめなければ
いけないじゃないですか・・・
そういうのが凄く
苦手な人間なんですよ。」
技術だけじゃダメ
今、宮大工の棟梁として大きな壁を乗り越えようとしている。
来週は仙台の建築現場から…
いよいよお寺の本堂が
組み上がる!
撮影後記
今回は、岩手県遠野にある「社寺工舎」を訪れた。
宮大工さんの取材と聞いて現場を訪れたが、僕の中で日本の匠!を楽しみにしていた。
早速取材をさせてもらうと、寺院や仏閣の建立や修復など、昔の伝統を今に伝え、それを形にする。日本の伝統を残す、熱い男たちの情熱や、技術が見えてきた。カンナで削る音、何百年、何年年の木々を裁断し、大きな柱などを、大勢の宮大工が集結して建物のパーツを作っていた。
原寸場と言われる現場では、1mmの狂いも許されない。真剣な目つきで菊池社長は仕事をしていた。菊池社長は、薬師寺や池上本門寺や毛越寺など、
様々な現場を手掛けてきた。そんな社長は穏やかな口調ながらも、内側からでる情熱や、想いが誰よりも強く、わき出ているように思う。厳しい現場の仕事もそれを後継する職人さんに、丁寧に、情熱的に、厳しい中にも愛情を持って接している。社長がイチバン大切だと言った「人間性」という言葉。
社長の仕事ぶりからも社長自身の人間性からも伝わる。
そんな社長が育てている棟梁の安藤さん。今は壁にぶち当たっていたが、社長の元で一生懸命伸びようともがいている。僕は、安藤さんと接しているうちに心の底から応援したくなった。技術や情熱、宮大工への想いを引き継ぎ、どんどん大きくなって輝く日が楽しみだ。
次回はいよいよ宮大工さんたちの手掛ける現場を取材に・・・。
どうぞお楽しみに!!




